[BlueSky: 2156] Re:2142 命


[From] "Kaz. Yokoyama" [Date] Fri, 14 Jul 2000 13:47:34 +0900

後藤@帯畜大 様

お互いお久しぶりです。芽室の生臭和尚です。

> 一年ほど前、青空MLが創設された当時、メールを投稿しまくって(今
> とはちょうど逆ですね)ひんしゅくをかったことがあります。

ひんしゅくなんてとんでもない!でも今回は久しぶりに後藤さんの言葉に触れ
嬉しい限りです。大きく成長した青空MLでは多くの立派な環境シンパの方々
が誠に尤もなことが述べられるのを拝見し、我がことの様に嬉しく存じており
ます。

> ・・・ただし、「自殺」や「他殺」しか道がないような人格的窮地に陥
> れば、「個人の尊重」などは二の次の問題となるのは自明でしょ
> う:この文章では、「自明」となるような条件設定をしたから、
> 自明なのです。

何年か前のお正月の深夜に、筑紫哲也(漢字に自信なし)氏司会による若者
の討論番組ありまして、ある若者が「何故人を殺してはいけないのか?」と
言う問いかけを真面目に発したことが議論を呼んだことが有りましたね。

その時に思った私なりの答えは「中央アフリカの内戦地帯に立って考える」
でした。そう言う真摯な疑問を持つ人には是非とも、飢餓と内戦、伝染病
で40まで生きることが幸運と言われる場で考えてほしかったです。何故
なら、人は残念ながら経験を通してしか真の知識を得られないからです。

そう言う意味で、憤慨して常識論を振り回す大人の学識経験者の発言に少な
からず失望したものです。むしろ私は、そんな「常識的には馬鹿げた」質問を
しない大多数の若者も私も生命の価値についての真の知識を持っていない可
能性が大であることを危惧します。私を含め多くの人は、学習によって身に
付けた穏当で現実的な対処としてこの問題を処理しているのでしょう。勿論
これは悪いことではないし、仕方ないことですが、自分の本当の姿を時には
意識しようと勤めることも大切だと感じました。

最近お会いした北海道小清水町在住の獣医師竹田津実さんの話しをご紹介
します。彼は現在、家畜糞尿や澱粉廃液などによる水系の汚染を土壌微生
物により浄化する取り組みを地道に指導しておられて、小清水町の酪農家
や畑作農家、澱粉工場の排水処理に着実な貢献をされていました。その彼
が、古くから(映画キタキツネ物語よりもっと以前)の知り合いで自然
保護活動家から何故もっと発言したり、運動しないのか?と良く詰問され
るそうです。これに対する彼の意見は「実行することで十分だ」とのこと
です。

土壌微生物の世界は私の研究テーマでもある訳ですが、誠に曖昧で、目の
前の現象が何故起きているのかを、科学的に説明困難な場合が多く、彼の
取り組みに対しても、今でも、理解されない役人や農家の方からは罵声と
嘲笑を浴びせられることが有るそうですが、彼はその様な人にこそ発言す
るのだそうです。「理由は分かりません。しかし事実です」と。実際、
彼らの取り組みにより、富栄養化が著しかった網走湖が綺麗になり初め、
最近では治水行政は彼の言葉に耳を貸すようになったそうです(残念なが
ら農水関係を除き)。

私は彼の生き様に感動しました。そして何故かその話しを聞いた時、私の
実家の玄関に飾られていた一枚の色紙を思い出したのです。いつもは気に
も留めなかった色紙には以下のような短い詩が書かれていました。

「真理は寒梅の如し、風雪に耐えて咲く」と、

また何処かでお会いしましょう。
和尚@芽室


▲前の記事へ ▼次の記事へ △記事索引へ △青空MLトップへ

(注)この記事が最新である場合,上記「次の記事へ」はデッドリンクです。