[BlueSky: 2119] Re:2118 ウイルス進化論


[From] "Y.Kuzunuki" [Date] Mon, 3 Jul 2000 16:40:36 +0900

こんにちは、葛貫です。


邑瀬さん:

>実験室では、細菌を人為的に形質転換を行いうる細胞(competent cell)にす
>るので、自然界でもまったく同じ機構で遺伝子のやりとりが行われているかど
>うか分かりませんが、自然界では我々が想像している以上に頻繁に遺伝子の水
>平伝播が行われているようです。
>

>したがって、自然環境というマクロなレベルで論じる場合、どういう分類の細
>菌がどれだけいるという捉え方には限界があると思います。様々な機能をコー
>ドした遺伝子プールが存在し、細菌(細胞)はそれらを包むカプセルに過ぎな
>いという捉え方を私はしています。つまり、遺伝子プール内において遺伝子の
>種類自体は変わらず、環境条件によってどの遺伝子が台頭してくるかが違うだ
>けで、その他の遺伝子は環境が変化したときの予備軍として密かに受け継がれ
>ているのではと思います。


20年ほど前、細菌の化学分類(当時は科学ではなく化学だった)の
はしりのようなことをしていたので、邑瀬さんの考え方、納得できます。

これから、微生物は、何を基準にして、分類・同定するか、いろいろ問題
になって来るのでしょうね。
24種類もの異なった形態に変身するというフィエステリア・ピシシーダ
は、生活史全体を見極めず、形態分類で扱っていたら、別種に分類
されていたかもしれないし・・・・・・。

しかし、「様々な機能をコードした遺伝子プールが存在し、細菌(細胞)は
それらを包むカプセルに過ぎない」と、表現すると、何か、すごいですね。

個と全体の関係というか、何処までを「個」として考えるかに関する
視点を変えると、全く違う世界が見えてくるような気がします。

また、逆に、「ミニマム・ゲノム・プロセス」の生存にかかわる遺伝子等
最低限必要な遺伝子以外を取り除いた汎用ホストに特殊な酵素を
つくる遺伝子を組み込み、化学工業製品の原料となる物質を分泌さ
せたり、蓄積させたりする、という方向にも、つながるような気がします。

面白い視点、ありがとうございました。





▲前の記事へ ▼次の記事へ △記事索引へ △青空MLトップへ

(注)この記事が最新である場合,上記「次の記事へ」はデッドリンクです。