[BlueSky: 210] 米企業の世界支配? Re:64


[From] Minato Nakazawa [Date] Fri, 30 Jul 1999 10:50:47 +0900

中澤です。

今田さん,こんにちは。2週間以上前のメールの,しかも一部分
だけへのコメントで恐縮ですが,

今田さん:(改行部分は変更しています)
> グロ−バ−リゼ−ションに踊らされて、米企業の意のままに全世界が
> 金儲けの実験台になっているのが、実は実状なのだと思います
> 来世紀は環境の中でも一番人口問題が世界に重くのしかかり、食料
> 及び種子を握った米企業に形を変えた奴隷として隷属させられることは
> 容易に想像がつきます
今朝の信濃毎日新聞によると,来日中のアーロン米商務長官が
都内で講演して,日本政府が一部食品に遺伝子組み換え作物使
用の表示義務化を検討していることについて日米貿易の障害に
なる可能性を示唆したそうです。

この新聞記事を読んで,今田さんの発言(上の引用)を思い出し
ました。明らかに政府への圧力なのに,こういうのは内政干渉
にはあたらないのか? と不思議に思います。米商務省という
のは,明らかに米企業の利益を代表しているわけで,今田さん
ご指摘の通りだなあと感じたわけです。

日本政府も米国農産物に依存する危険は1972-1973年の大豆戦争
(日本で消費される大豆の96%は輸入物で,当時はその大半が
米国からの輸入だったので,米国農務省が突如大豆輸出契約更新
を唱えたことにより大豆価格が急騰した事件)あたりから学んで
きたとは思いますが,米国農務省や商務省は,いまでも日本に
同じ形の圧力をかけてきているわけですね。米国が国際経済戦略
商品にしているのは,大豆だけではなくて,カリフォルニア産の
柑橘類なんかもそうなので,安全性の問題ではなくて,戦略商品
としての商品価値という経済的理由からポスト・ハーベスト用
農薬類を使ってきたという問題もありますが,いずれにせよ,
米国からの圧力というのは戦後ずっと続いてきたものでしょう。
【参考文献:市川定夫(1993)「環境学」藤原書店, pp.330-334.】

今回のアーロン長官の発言を深読みすれば,ぼくが[78]で紹介した
ように,先頃「食料・農業・農村基本法」(新農基法)が成立して
食糧自給率向上を目指すことが宣言されたので,米国政府側としても
危機感をもっているのかもしれないとも感じます。日本政府も,この
点に関してはそんなに馬鹿じゃないと見直しているので,簡単に
圧力に屈しないで欲しいと希望しています。

=====
Minato Nakazawa, Ph.D. <minato@sv3.humeco.m.u-tokyo.ac.jp>
Department of Human Ecology, Univ. Tokyo


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