こんにちは、葛貫です。
佐川さん:
>下水汚泥の再利用についてですが、約1/5しか有機肥料化されていませ
>んが、これは、コストの問題の他に、現在の都市下水は、産業排水も処理し
>ているために、有害化学物質によって汚染される可能性があるためです。
安井至さんの「市民のための環境学ガイド」http://plaza13.mbn.or.jp/~yasui_it/
の日経の官製リサイクル論http://plaza13.mbn.or.jp/~yasui_it/RecycleGov.htm
の中で、コンポストに関する下記のコメントが載っていました。
・・・・前略・・・・
A君:食品をすべてコンポストにすると日本中が窒素過剰になるといった
問題は、百も承知だということですか。
B君:当たり前だ。そんなのは、常識以前だ。マスバランスというものを考
えれば、すぐ分かる。日本は、エネルギーベースで食糧の自給率が
40%。ということは、60%の食糧は輸入されていることになる。
田畑に窒素肥料が必要なのは、窒素はアミノ酸の原料としてすべての
生物にとって必須だし、なおかつ、植物というものは、豆類などの例外
を除けば、大気中の窒素を利用できないからだ。となると、その田畑で
取れた作物分の窒素を、翌年は補う必要がある。ところが、60%もの
食品が輸入されていれば、その食品が含む窒素は、外国の田畑から
取り出したものだから、それを全部日本の田畑に戻せば、窒素過剰に
なるに決まっている。だから、全部を戻すことは、最初っから考えては
いけない。
・・・・中略・・・・・
B君:有機系は、一般に土壌・水質汚染を加速しやすい。なぜならば、有機
系肥料は遅効性なので効き目を適切に判断するのが難しいから、
ややもすると、過剰施肥になる。これは、有機農法の欠点なんだ。
そこは、農家の工夫を期待。
・・・・後略・・・・
この問題は下水処理時に、生じるコンポストも含めて考えていいのでは、と
思います。食品輸入国である日本(周辺海域も含めて)には、窒素、リン等
の生体を構成するのに必須な元素が蓄積されて行く。
何処で読んだのか思い出せないのですが、米国等、輸出国では農地の生産
力が低下している、という記事があったように記憶します。
中学校だか高校の生物の時間に、「植物の生育は、その植物に供給される
諸養分のうち、その量が最少のものに制限される。(養分以外の生育因子の
制限も受けるし、因子間の相互作用も考え合わせる必要があるけれど)」
という、「最小律」というものを習いました。
窒素は根粒菌などをいじって、空気中のものを効率良く利用する方法を考え
ればいいし、炭素も空気中にある。リン、硫黄なども肥料として割合と容易に
補えると思う。(C,N,Pのフローに関する文献は、よく、目にします。)
最小律が、植物の生長(農地の生産力)に影響するなら、輸出作物によって、
その土地から流出してしまうCa,Mg,K,Na,Cl,Fe,Cu,Zn等々も補って、収支を合
わせなければ、まずいですよね。
素人の私が思いつくくらいだから、もう専門家がきちんと対策をたてていると
思うのですが、溜まる方も、不足する方も、問題を抱えることになるのですから、
物質循環は、なるべく狭い範囲で収支を合わせるようにすることを考えた方が
いいのでは、と思いました。
(水不足や気象条件の影響の方が大きいかもしれませんが・・・・・)
(注)この記事が最新である場合,上記「次の記事へ」はデッドリンクです。