[BlueSky: 2059] 実話:見ようとしなければ、けっして見えない環境


[From] "gengorou" [Date] Wed, 7 Jun 2000 00:21:13 +0900


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実話:見ようとしなければ、けっして見えない環境
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この話は、初めて私がネットに流す物、いえ、初めて他者に話す
ことです。、まだ、少年犯罪が世間を騒がせる前の話です。
息子は今16歳。
私たちが経験したことは、ある一人の人間(担任)に出会ってし
まっただけの経験かもしれませんが、最近の警察の「身内大事」
の組織人間の思考や、問題が起きたときの学校のコメントなどを
知るにつけ、どうも私たちだけの経験ではなかったと思いますの
で、お話しすることにしました。

警察と同じで、何もないときには何も問題は無いのですが、ひと
たび遭遇すると、おそらく、この私たちの経験と同じになると思
います。私は横浜在住なので、この話に出てくる私たちが度々訪
れた教育委会は、横浜市教育委員会です。
長いですが、お読み下さい。

−−−−
息子は小学年高学年のとき突然、頭をかきむしり暴言を吐くようになりました。
それまでは「お父さん、ボクね・・・」と、いろんな事を話してくれる可愛い
息子だったのに、突然「お前なんか、殺してやる!!死んじまえ!!」と。
形相も変わった息子を別人ではないかと思いました。息子の逆上に言葉通り、
私が悪いと思い、何度か息子に「なにか、嫌なことでもしたか?」と聴きまし
たが、「うるせー!馬鹿野郎!」ばかり。。
数日後、息子は学校へ行かずノートにあることを書きました。
「みんなが望むとおり悪い人間になってやる・・・」と。。。
このノートに息子が書いたことを読み、私たちは、「これはもしかすると、学校
でとんでもないことが起きている」と思わずにはいられず、私たちは学校に電話
をかけました。私たちが息子が書いたメモのことを先生に話すと、担任の先生は
開口一番に「お宅の息子さんは協調性がないで、みんなから『うるさい』と言わ
れています。」と、言われてしまいました。確かに息子には協調性は無いかもし
れませんが、「息子の叫び」を心配してうかがったのに、息子の心配はせずに非
難の言葉が出たことで、私たちは、保護者である私たちが時間をかけ「息子に起
きていたこと」を一から調べようと決心しました。
一体、家で暴れるている息子に何が起きていたのかと。。。


担任の先生は「息子がとても悪い」というばかりで、校長は「担任がそう言って
いるのですからそうなのでしょう」でした。ところが担任以外の先生達や、息子
の他のクラスの友人の言葉は、その逆でした。おとなしいとか、息子に助けても
らったとか、荷物を持ってもらった、やさしいという感謝の言葉もありました。

ところが、担任だけが違ったことを言うのです。息子と同じクラスの子ども達か
らも息子の様子を教えてもらおうとしましたが、おかしな事に誰もが口を閉じて
なかなか話してようとはしてくれませんでした。
子ども達が何かを考えている、あるいは恐れているようだと感じました。

学校という塀に囲まれ、教室という空間は、視ようとする者には、本当に見えに
くい場所で、学校からも「他のお子さんに悪影響があるので」と、見学なども断
られました。学校の校長からは「お父さん、自分の子どもを困らせるような事を
したら可哀想ですよ」という言葉。。

この出来事の結果としては、「息子に何が起きていたか?」を半年かけて調べ、
全てが分かり学校長に知らせました。しかし学校長は知ろうとしないために、何
度も事実とその証拠(嫌な言葉)を持ち込んで、半年後、やっと学校長が泣きな
がら息子に手をついて謝り、ことは一応、終わりました。私たち夫婦もその事に
気がつかなかったことを、息子に泣いて謝りました。(詳細は後述)

話が前後します。。
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(子どもの味方)
調べに際して、教育委員会へ何度も話を持ち込みましたが、学校の問題だと、
校長の判断を仰ぐように言われました。しかし私たちは授業参観のために学校
へ入れて貰えませんでしたので、行政機関へも相談に行きました。ところが国
の児童の人権擁護委員会は全て元学校長のOB、県の心理相談室も学校関係者
のたまり場。弁護士に学校での調査の協力をお願いしても「教育関係は歯が立
たないので出来ません。お父さん、今一番手強いのは右翼と教職員です」との
答え。
私たち親は、この弁護士の言葉を聞いたときは、やっかいな問題を持ち込んだ
息子を恨みました。しかし、そう思った時に、反対に「そうか、こういう大人
(私)がいるから子どもが犠牲になるのか」と気が付き、命がけで息子に何が
起きたかを調べようと決心しました。息子への「何かは」まだ起きていたよう
だったので。

*** 息子に起きていたこと******
当時、息子は本は良く読んでいましたが話がうまくできません。そのためか息
子は度々、教室という密室でぬれぎぬを着せられ、親が心配するからと親にも
言えずに、1人で戦っていたようです。息子が私たちに話せなかったのは、自
分に起きていたことが分からなかったことも原因していて、現象の話なので説
明も出来ずに、また親では対処できないことだとも子どもなりに考えていたよ
うです。また、あとから分かったことなのですが、担任の教師に暴力を振るわ
れていたことも大きな原因でした。全てが教室という閉ざされた空間と、心と
いう目に見えない現象の出来事が、我が子に起きていました。

息子のクラスには、先生に対して暴言を吐く生徒が数人いて、その生徒を先生
自身が怖がるために「息子を精神的に追いつめる状況を他の生徒に見せ」、ク
ラスを「見栄えのよいクラスにまとめ上げる手法」が取られていました。
息子が「ボクは悪くない!!」「また、ボクが悪いの?」と訴えても、担任は
「なんで、そういうことを言うの?みんながそういっているじゃないの!」と
他の一部の生徒の発言を取り入れ、話すのが極端に「のろい」息子の話には耳
も貸さなかったようです。息子は、嫌なことから目をそらしていたのかもしれ
ません。結果的にはいつも無実の罪を着せられているような状況になっていま
した。
「解決すべきという、強い目的意識が、早急な対処を生むトリック」に先生自
身がはまりこんでいたのではないかと思います。
上司に求められるクラス運営の強要が問題かもしれません。あるいは、教員室
での人間関係が、無理なクラス運営を生んでしまったのかもしれません。

−−−−−−−

暴力を受けた記憶は今でも息子にはありません。息子への暴力があったことは、
私たちが度々クラスを見に行くことで、それを見ていた生徒が、私たちが学校
に行くようになってから、2ヶ月後くらいに私たちに語ってくれたことで分か
りました。
息子への暴力を見た生徒は他に5〜6人もいました。

なぜ、子ども達は、早く言ってくれなかったのか。
学校の中には「見せしめの刑」「集団心理を利用した脅迫」などあらゆる手法
で子ども達をおとなしくさせる方法がとられていたようでした。
(生徒も先生も気が付かない。ちょうど、親が子を虐待するときの構図に似て
いるようです。
恐ろしいのは、教師さえも、そのことを認識していないことです。自分たちが
何をしているのかを知らないことです。子ども達も、なぜ言いたいことも言え
なかったのか?それは、自分たちが知らない抑圧を受けているので、大人に説
明できないでいるからだと私は思います。あるいは子どもにはそれが学校だと
思うからなのかもしれません。
もし、自分の身に何が起きているのか知っている子がいても、そのことを親に
話しても、親は知りもしない学校の先生の笑顔を信用するだけで、聞く耳と思
考を持っていないのを知っているので話せない。。親は親で、「問題がないほ
うがいい」という希望が、見える世界を限定させてしまっているのかもしれま
せん。それは、子どもが苦しんでいることを見るのを恐れるための心の自己防
衛のせいかもしれません。


***「子どもの権利条約」について*******
ところで、学校から「児童の人権に対する権利条約」をもらって読んだ方はい
らっしゃるでしょうか? この「子どもの権利条約」には子ども達や親にこの
趣旨・内容を知らしめることも唱ってあります。(条約の加盟の大きな目的は
知らしめることなので。。)
日本が国連の「子どもの権利条約」に加盟したのは、全世界の中でも最後に等
しい158番目です。子どもの人権だけでなく自分の人権がなんたるかも知ら
ないのが日本の社会のようです。知らない親に子供は助けを求められるでしょ
うか。
私も、人のことは言えません。息子を助けるために法律書や心理学書、哲学書
(考える方法)を初めて読んだのですから。

子ども達が、今、叫んでいるのは事実です。その原因が子ども達の環境にある
のは確かなのです。子ども達は自分たちの身に何が起きているか「有意識」で
は分からなくても、「無意識」が気が付いていて、頭をかきむしっているよう
に思えます。それでも、子ども達は愛する親が苦しむことを口にしようとせず
に、自分で解決しようとする内に脳が麻痺して行くようです。仮に知らされて
も親は、聞いたという認識もない親がいるようです。
おそらく、鈍感な子ども達、世渡りのうまい子達は、自分を鈍感にすることで
この環境を乗り切って行けるでしょう。しかし、皮肉なことに、「個性的であ
れ・多感であれ」という教育方針を一生懸命に守って、個性、すなわち自由と
はを知った子ども達は、矛盾した環境に気が付いてしまうようなのです。

私が、事実を調べるときにも、また、息子の思いを代弁するときも、教育関係
者から、巧みな心理的な脅かしはたくさんありました。私たちさえ「たじろぐ」
言葉を受けたときに感じたことは、「大人でさえ、恐ろしいのに、子ども達は
もっと恐いだろうな。。」でした。

私たちが事実を次々と調べて行く過程で、学校の私たちへの態度も変化して行
きました。学校からの全校父兄への一方的な通達。暴力を見たという生徒達へ
は、「見た」と言った後の態度の豹変。事実を示すとその事実隠し、校長が認
めた後も、当の先生は、「息子さんが覚えていないのと同じで、私も覚えてい
ない」とニコニコ笑顔で、校長も「うん」とうなずいていました。息子は一言、
「この先生、イヤダ!」でした。

調べている過程で、良いこともありました。息子が以前のように話をしてくれ
るようになりました。「お父さん、ボクもう大丈夫だよ。死んだりはしないか
ら。学校の先生達がどうしてああなるのか分かった気がするから、ありがとう」
と言ってくれました。その時は、以前の私の可愛い息子がもどってきた気がし
ました。

学校が息子にしたことを認めなくても、息子のクラスメイトが事実を話してく
れ、私たちはいろいろなことを知りました。息子が2年生の時から、4年間も
遠足や学習の班である1人の自閉症の子どもと同じ班になり、ずっと面倒を見
てきたこと、遠足の時に道路にフラフラ出るその子の面倒を見るのに疲れ、
「バカ!そっちは危ない」と言ったとたんに、「イジメだ!イジメだ!」と騒
がれ、担任からは、そのようなことのせいで、授業からはずされたこと、その
児童と遊んでいるときに、じゃれ合っているのを、暴力と騒がれ、皆のいる校
庭で一時間も先生からとがめられたこと、、などなど、、まだまだ、たくさん
のことが分かりました。
息子が担任に代わり自閉症の子どもの面倒を4年間見ていたことの理由を聞く、
と「息子さんがそういうこと好きそうだし、良い教育を受けたと思って下さい」
と感謝の言葉もなく、感謝しなさいとのことでした。ひどい話ですが、あえて
抗弁するなら「では、なぜ、その良い教育の機会を他の生徒にもあげようとし
なかったのか!!」となるのではないでしょうか。。

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おそらく、精神環境でも出来事は、気が付かぬ者達には永遠に知り得ね世界だ
と思います。目と扉を開いた者にしか見えない恐ろしい環境が子ども達の環境
にはあると思います。
もちろん普通の子には恐ろしくない環境です。しかし、ちょっと群から離れた
場合には、とても恐ろしい環境だと(私は)思います。
素敵な先生はたくさんいらっしゃると思いますが、息子が中学にあがると、子
どものために発言してくださる先生が管理化された学校の中では疎まれている
ことも、悩みを持つ先生達が我が家にやってきて話されていました。
「うち(当校)では一割は常に登校拒否児童がいますが、全国的には少ないほ
うなんです。信じられますか?私の子どもなら公立の学校へはいかせません。
このこと学校は父兄達には教えませんが・・」というような事もおっしゃって
ました。「暗黙の内に、文字にされていない内部規定のようなものが存在する
のも学校という組織の中にはあるかもしれません」ともおっしゃっていました。

見ようとしない者には見えない。知ろうとしない者には分からない。人間とい
う精神体の環境とはそういうものではないでしょうか。
私としては、見ようとしない者、知ろうとしない者、見たくない物事それ自体
が悪いと決めつける思考を持った人間が非常に嫌いです。

精神的な発芽をする年代の子ども達が環境をどう見ているか、そしてどのよう
な状況におかれているかは、精神的な発芽という不安定で過敏な脳をもって体
験してみないないと、おそらく分からないことだと思います。
少なくとも精神的な目を所持している方でないと、精神的な環境で起きる抑圧
感は体験できないと思います。
私の経験からすると分かる大人は少なかったのですが、子ども達は、私が分か
る大人だと知ると人が変わったように話し始めます。私も、息子から教えられ
るまでは、分からない人間でした。

最後に、その後、息子は前のように学校生活を楽しんで、中学では人生の恩師
となる先生も幾人かつくり、今は、高校生活をエンジョイしています。
しかし、私は、今でもこのときのことを思い出すと、恐くて体がふるえます。
そして、同じように苦しんでいる子ども達を知り、「ああ、人間の目には、
消えた者はいないから目にはいらないのだなぁ〜」と思います。
苦しむ者は、肉体でも精神でも、街には姿を見せずに、また学校にも姿を見せず
に、家に寝ていたり、病院のベッドにいたり、あの世にいるので、、人間には
見えないことは、いないと認識されるのだなぁ〜と思っています。また、
子どもにとって本当の保護者は親だけです。しかし、その保護者が目が見えな
かったり、弁が立たない場合は、子どもは親を困らせない行動を取ると思いま
す。

私も家内も当時は、人前で話すのも苦手でした。
そのために、恐ろしいことは見ようとしなかった。
そのために、私たちは、危うく息子を失うところでした。。

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  いっつも、あわてて書いているので
支離滅裂、乱文、お許しください。ゲンゴロウ。。。。.。
gengorou@m08.alpha-net.ne.jp
http://www.alpha-net.ne.jp/users2/gengorou/
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