[BlueSky: 2049] Re:2042 「しつけ」はどこで?


[From] "takaaki kaneko" [Date] Mon, 05 Jun 2000 12:45:09 GMT

はじめまして。金子といいます。
公務員をしている1男(3歳)1女(小1)の父親です。
最近、盛り上がっている教育に関する話題について、私も一言。

小学校の教員の男女比の問題ですが、少なくとも子どもの教育に関しては、
男女比っていうこと自体を問題にする必要はないんではないでしょうか?
もちろん、女性の社会進出とかジェンダーとかについては、別の問題です
し、教育機関の組織論としては、男女の構成比を問題にするということは
あり得ると思います。しかし、子どもへの教育者が男女半々でなければ、
教育上よくないとするならば、それは性によって教育方法(内容)が違う
ということを前提にするのであって、かえって性による違いを前提にした
議論になってしまうのではないでしょうか?

仮に小学校の教員を男女半々にしたとしても、新たな運用ルールを設けな
ければ、子どもによっては、小学校の間中、男性(女性)の担任だったと
いうことも起こり得ます。その子は、運悪く教育の機会を奪われたことに
なるのでしょうか?私自身は、どうしてもそのようには思えません。

教員の男女の構成比に偏りがある場合に、問題が生ずるかもしれないのは、
まさしく「女性の社会進出」やジェンダーの問題をどのように教えるのか
というところで、特定の傾向が出てしまうのではないかという点だと思い
ます。実際に出ていると言えるのか、あるいは出ると推測できるのかとい
う点に関しては、私自身専門家ではないので、なんの資料も持ち合わせて
いませんが、男女の構成比に偏りがある職場にいながら、ジェンダーの問
題を日常的な課題として捉えることができなかったり、逆に過剰反応のよ
うな対応から周囲の理解を得られないといった光景を何度か(何度も?)
目撃しました。確かに、こうした組織上の問題の解決は、重要です。です
から、職場としての小学校の男女構成比の問題は、速やかに是正すべき問
題だと思います。しかし、男女構成比を是正したからといって、教育方法
(内容)が是正されるわけではないのではないでしょうか?

ちょっと、話を変えます。
私は東京都品川区に住んでいます。御承知の方もいらっしゃるかもしれま
せんが、品川区はこの4月から公立小学校の選択自由化を実施しました。
それがいいか悪いかについては、ここでは触れませんが、昨年の秋頃から、
新聞、テレビなどでも、全国初の試みということで結構取り上げられてい
ました。そうしたところ、実際、この4月に小学校に入学した上の娘が私
に「小学校の自由化って何?」ときくではありませんか!娘自身が何か深
い問題意識を持っていたわけでは(全く)ないようでしたが、娘の話に合
わせて、いろいろ説明してやりました。

何を言いたかったかというと、今の子どもは、こうした外部からの情報か
らどうしても切り離せないということです。例え、テレビを見せなくても、
友達からきいてきたりしますし、簡単に言ってしまえば、子どもの社会も
一昔(以上)前に比べてずっと情報化が進んでしまっていると思います。
そうした中では、いいこと(例えばこうすべきだ)だけを教えるという
のは不可能で、社会的に問題になるようなこともあって、なぜ問題か、ど
のように考えたらいいか、どう対処したらいいかということをも合わせて
教えていかなければならない(場合によっては、一緒に考えていかなけれ
ばならない)のではないでしょうか?

先ほど「ジェンダーの問題をどのように教えるのか」と書きましたが、
多分、我々大人がいつどのように教えようかとか考えるより先に、そうし
た問題があることを知ってしまっている(あるいは感じてしまっている)
のだと思います。もちろん、善悪の判断以前の問題として、例えば、先生が
女性ばかりだとしても、何も感じない子もいるでしょうし、何かを感じて
いる子もいるかもしれません。でも、感じるにせよ感じないにせよ既に
その時点で教育の端緒(子どもにしてみれば成長の端緒)は始まってしま
っているんじゃないでしょうか?大人が慌てて何かするのも、あるいは気
づかずに何もしないのもそれ自体が(当否は別にして)教育効果を持って
いると思います。

子ども達の感じていることに大人達が気づかないこと(気づいたこと)、
もしかしたら子ども達が感じていること自体について、大人達が問題と気
づいていないのかもしれないこと、それらのことがすべて子どもの教育に
直結してしまっている(子ども達が勝手に情報収集して学習してしまう)
そういう状態に今あると思います。

もちろんその効果は、親なり教員なりの行動に由来する場合に大きいのは
言うまでもないことでしょうが、巷に教育効果という観点を無視した情報
(例えば、ニュース番組にしたって、子どもが見るという前提では作られ
ていませんよね。)あふれているが故に、子どもたちがどこからどれだけ
教育効果(というか影響)を受けているのか、我々大人たちが把握し切れ
ていないのではないでしょうか。

あえて誤解を招くような言い方をしてしまいますが、小学校の教員の男女
構成比に偏りがあっても全く構わないんじゃないでしょうか。子どもたち
が身近に触れられる社会の実態がそこにあって。そこから、何をどう教え
ていくかが子どもたちには、一番重要ですから。ある事実があったときに
その善悪以前の問題として、その事実を見逃さないことがまず肝心であっ
て、そこを大人達が手助けできれば、子ども達は自分で進んで行くんでは
ないでしょうか。

逆にしつけの問題やいじめの問題を考えたとき、大人の立場から何がいけ
ないのかやどう考えたらいいのかという理念はいくらでも説明(教育)で
きますが、本当に子どもたちが何を見ているのか、どう感じているのかが
分からなければ、その説明は子どもたちの心には届かないと思います。

私自身、自分の子どもたちが何を見ているのか、例えば自分の行動をみて
どう思っているのか、すごく不安になることがあります。そうすると、
今度は子どもの方も不安になってしまうんですよね。そんなときは、自分の
方がしっかりすれば、子どももしっかりして大丈夫なんですが、でも、
それは対症療法に過ぎない部分があるという気がしてなりません。

全く勝手なことを書きましたが、みなさんのご意見をお聞かせいただければ
幸いです。


takaaki_kaneko
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