[BlueSky: 1965] Re 栄養塩類と細菌叢


[From] "Hiroyuki Sagawa" [Date] Sat, 6 May 2000 23:02:44 +0900

みなさん、葛貫さん、こんにちは、佐川です。

レスありがとうございます。

佐川【1863】:
> > 例えば、みんなが石けんを使って米のとぎ汁を捨てないようにな
> > ったとすると、どうなるのか?
> > 下水処理場が持っているはずの処理能力を発揮できなくなって
> > しまい、BODの非常に高いまま、河川に放流されることになります。

葛貫さんwrote:1964
> 琵琶湖の植物プランクトンの群集構造は、それほど富栄養化が進んでい
> ない北湖では、湖水中の現在より数週間前の窒素量の影響があらわれ
> ているそうです。富栄養化が進んでいる南湖では、栄養塩以外の要素が
> 支配的に働いていると考えられ、現在の植物プランクトン群集は、その後
> の水質に影響を与える可能性が考えられるそうです。

花里孝幸氏の『ミジンコ』(名古屋大学出版会)によれば、植物プランクトン
と動物プランクトンはお互いに影響しあって、絶えず変化し続けおり、それ
が湖沼全体の生態系や水質に重大な影響を与えている。とのことです。
ミジンコの生態ひとつとっても、非常に複雑で、“恐るべしミジンコ”・・です。

 #私の部屋にある、メダカ水槽は、日光の当たる明るい場所に置いて
 #あるにもかかわらず、なぜかガラスに藻が生えない。水換えは何度
 #もやっているんですが、それでも生えてこない。で、別の水槽には、
 #しっかり藻が生えてくるわけです。何とも不思議なわけです。
 #小さい水槽がこれですから、琵琶湖でのプランクトン群集の動態なん
 #て、分からなくて当然のような気がします。

葛貫さんwrote:1964
> 対象水域が内湾・湖沼なので、下水処理場とは、勝手が違うかもしれませ
> んが、「みんなが石けんを使って米のとぎ汁を捨てないようになった」とす
> ると、微妙に保たれていた窒素とリンの濃度のバランスが崩れて、処理に
> 都合の良い微生物の群集構造が崩壊してしまうのかもしれません。

下水道が整備されても、河川や湖沼がなかなか綺麗にならないのは、今の
下水処理のシステムでは、窒素・リンの除去が難しいためですよね。

で、窒素の除去率を高めるために反応槽の一部を嫌気状態にして、脱窒素
反応を促すわけですが、このときに大量の有機物を必要となるために施設
によってはメタノール添加をします。ですが、これでは運転コストが高くなりす
ぎるので、多くの処理施設では排水中の有機物を利用するわけです。
つまり、各家庭でのBOD削減の努力は、窒素除去の面からはマイナスとなっ
てしまうわけです。

葛貫さんwrote:1964
> 曝気槽中の活性汚泥というと、好気性菌が多いように思っていましたが、
> 通性嫌気性菌の特徴を示す物質も、結構な割合で検出され、フロックの中等
> が嫌気的な条件になっていたり、微小な空間で、酸素を巡る熾烈な(?)競争
> が起こっているのかもしれない、と思ったのを憶えています。

『自然の浄化機構の強化と抑制』(技報堂出版)によれば、田んぼの泥の中
でも、好気状態の中でも局所的に脱窒素が起き、より深い脱窒素層の中で
も好気部があって、一様ではない、と、いうことですね。

#曝気槽では何が起こっているのか? に興味があるのですが、
#なんせ、相手は目に見えない“微生物”ですからねぇ・・・。


> 長くなってしまいました。
> 佐川さんの質問の答えとして、ピントはずれだったら、ごめんなさい。

いえいえ、とんでもないです。とても参考になります。


 $花里氏の『ミジンコ』に書いてあったのですが、尾瀬沼にも魚を放流
 $しているそうですね。
 $何で尾瀬にまで放流するのかちょっと理解できないのですが・・・・。


佐川でした。



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