[BlueSky: 1929] イメージと実際の効果 下水道編


[From] "Hiroyuki Sagawa" [Date] Sat, 29 Apr 2000 18:49:12 +0900

みなさん、田嶋さん、こんにちは、佐川です。

【田嶋さん】
> そうですね、一般的に常識とされていても、実はとんでもない話は
> 多くありますから。この点は私も理解しているつもりです。
> ただ、佐川さんの例がちょっと?と思ったので発言させてもらって
> います。

石鹸の例が、?? ということですね。 
 #このような、ツッコミは非常に有難いです。

【田嶋さん】
> つまり、米のとぎ汁を流さなくなってもその影響は無視できるという
> ことですね。安心しました。

米のとぎ汁の影響は無視できるレベルですので、流しても、流さなくても
どちらでも良いです。要するに“趣味”の問題ですね。
ただ、庭付き一戸建てにお住まいの方なら、毎日実行できるでしょうが、
集合住宅にお住まいの方には、毎日実行するのは非常に難しいでしょう。
 
【田嶋さん】
> もう一つ石けんを使用すると下水処理場の能力を発揮できなくなると
> 言う点については、まだ納得できません。
>
> 限られた例ではありますが
> 1.以前、富士市や三島市で特定の団地に石けんを配布し、下水処理場
> の水質を評価したことがありましたが、石けんを使うと流入水のBOD
> は高くなるが放流水のBODは合成洗剤を使用していたときより低くな
> ったと報告されています。

この実験(三島市の)では、BOD除去率が向上していますが、同時に
排水量が約10%ほど減少しています(実験前で約820立米、実験時
で約760立米)。
この規模で排水量が10%も減少するというの大きな影響力があります
ので、この実験だけではハッキリしたことは言ませんし、この実験結果
を、処理水量が100,000立米を越えることもある都市下水に拡張する
のは、ちょっと無理があるのではないかと思います。

【田嶋さん】
> 2.合併浄化槽管理業者の話ですが、排水の目標値であるBOD20p
> pmがなかなか達成できなかったけれど、ある家庭でBODが5ppm
> 以下であった。調べてみるとその家庭は石けんを使用していた。
>  また、私の職場の人の家は合併浄化槽を使用していますが、やはり業
> 者からは石けんを使用するように指導されています。

家庭用の合併浄化槽と下水処理施設は、基本的な原理は同じですが
曝気槽での滞留時間が合併浄化槽は下水処理施設の数倍となり、また
合併浄化槽ではバルキング対策をする必要がないので、石鹸使用により
BOD除去率が向上するという、管理業者さんの報告は、その通りだと思
います。
ですが、下水処理施設と合併浄化槽は違う処理システムですので、下水
処理施設においても石鹸使用が有利とはならないと思います。

【田嶋さん】
> 3.私が以前行った実験ですが、下水処理場から活性汚泥を入手し、実
> 験室内で模擬的なばっ気槽を作ってCOD除去に合成洗剤や石けんが影
> 響するかを調べたことがあります。結果は1〜10ppm程度の濃度で
> 合成洗剤はCOD除去効率を下げましたが、石けんはかえって向上させ
> ました。また、合成洗剤を使用した活性汚泥はバルキングを起こして沈
> 降性が悪くなりました。

活性汚泥は、刻々と変化するものですので、この実験だけでは何とも言
えないですね。何せ実用運転では滞留時間を過ぎたら放流しないといけ
ないですから。

  #実験を行ったということは、水処理の専門家なのでしょうか?

> 下水道関係でおそらくこのような調査はされていると思いますが、いか
> がでしょうか?

当処理場では、このような実験は実施していません。このような実験を
継続的に実施できる人員と予算を確保している施設は、ごく一部でしょう。

> あと、大雨の後、金属石けんが流れ込んで処理場の効率を落とすと言わ
> れていますが、大雨の場合流れ込むのは金属石けんだけじゃないですよ
> ね。
          ・・・・・・・ 中略 ・・・・・・・
> すなわち、大雨で問題となるのは石けんだけじゃない、このような特殊
> な操業状態の時は別の問題で、通常の操業状態時の話をした方がいいと
> 思います。

確かにその通りですが、放流される汚濁成分は少ない方がよいと思います。

> この点については中澤さんと同意見です。
> 広域下水処理場は大量に汚水を集めないとちゃんと稼働しない点が問題
> だと思います。市民が努力して排水のBODを下げたら、かえって放流
> 水の水質が悪化するなんて納得できないですよね。

それは、都市生活の特性ですから、我慢しないとしょうがないと思います。

しかし、三番瀬という非常に優れた窒素除去装置を潰してしまうのは、何と
ももったいない話ですね(私も中澤さんと同意見です)。



▲前の記事へ ▼次の記事へ △記事索引へ △青空MLトップへ

(注)この記事が最新である場合,上記「次の記事へ」はデッドリンクです。