[BlueSky: 1921] Re:1913 イメージと実際の効果 下水道編


[From] 田嶋 晴彦 [Date] Fri, 28 Apr 2000 13:22:19 +0900

佐川さん みなさんこんにちは。田嶋です

(佐川さん:1912)
> 各家庭での努力が無駄だと言いたいのではなくて、少し方向が違う
> のではないか? 皆さんの努力を実り多いものにするためには、
> ちょっと角度を変えて考えた方が良いのではないか? と言いたい
> のです。

そうですね、一般的に常識とされていても、実はとんでもない話は
多くありますから。この点は私も理解しているつもりです。
ただ、佐川さんの例がちょっと?と思ったので発言させてもらって
います。

(佐川さん:1863)
> 例えば、みんなが石けんを使って米のとぎ汁を捨てないようにな
> ったとすると、どうなるのか?
> 下水処理場が持っているはずの処理能力を発揮できなくなって
> しまい、BODの非常に高いまま、河川に放流されることになります。

(佐川さん:1912)
> SS成分の増加による活性汚泥の沈降性の向上の方が期待できます。
> 下水道にとって米のとぎ汁はプラスに作用すると思われます。
> もっとも、下水処理場の処理能力からすると影響力は無視できるほど
> 小さいのですが。

つまり、米のとぎ汁を流さなくなってもその影響は無視できるという
ことですね。安心しました。

もう一つ石けんを使用すると下水処理場の能力を発揮できなくなると
言う点については、まだ納得できません。

限られた例ではありますが
1.以前、富士市や三島市で特定の団地に石けんを配布し、下水処理場
の水質を評価したことがありましたが、石けんを使うと流入水のBOD
は高くなるが放流水のBODは合成洗剤を使用していたときより低くな
ったと報告されています。

2.合併浄化槽管理業者の話ですが、排水の目標値であるBOD20p
pmがなかなか達成できなかったけれど、ある家庭でBODが5ppm
以下であった。調べてみるとその家庭は石けんを使用していた。
 また、私の職場の人の家は合併浄化槽を使用していますが、やはり業
者からは石けんを使用するように指導されています。

3.私が以前行った実験ですが、下水処理場から活性汚泥を入手し、実
験室内で模擬的なばっ気槽を作ってCOD除去に合成洗剤や石けんが影
響するかを調べたことがあります。結果は1〜10ppm程度の濃度で
合成洗剤はCOD除去効率を下げましたが、石けんはかえって向上させ
ました。また、合成洗剤を使用した活性汚泥はバルキングを起こして沈
降性が悪くなりました。

下水道関係でおそらくこのような調査はされていると思いますが、いか
がでしょうか?

あと、大雨の後、金属石けんが流れ込んで処理場の効率を落とすと言わ
れていますが、大雨の場合流れ込むのは金属石けんだけじゃないですよ
ね。下水管に付着した油分や、底に沈殿している泥も流れ込んで通常と
は異なった操業状態になると思います。極端な話、大量に流れ込む下水
を処理できないため一部は未処理で垂れ流すしかないという話も聞いて
います。
すなわち、大雨で問題となるのは石けんだけじゃない、このような特殊
な操業状態の時は別の問題で、通常の操業状態時の話をした方がいいと
思います。

> BODが減ったからといって、処理効率は向上しません。逆に悪くな
> ってしまいます。では、どうすれば良いのか。節水をすればよいの
> です。排水の量が減れば、BODが多少高くても処理効率は維持で
> きるからです。
> これは、ある程度以上のBODがなければ、効率的な処理が出来な
> いという、活性汚泥法という技術上の特性のためです、

この点については中澤さんと同意見です。
広域下水処理場は大量に汚水を集めないとちゃんと稼働しない点が問題
だと思います。市民が努力して排水のBODを下げたら、かえって放流
水の水質が悪化するなんて納得できないですよね。
それに、広域処理場だと市民が下水のことに関心を持たなくなって、
「水に流せばおしまい」というような考えが広まる恐れもあります。

水俣市が環境政策でいい形を取っています。焼却場や下水処理場は市内
の見える場所に設置し、市民一人ひとりが自分の出した排水やゴミの行
方がわかるようにし、身近な問題として環境問題に関心を持つよう啓蒙
しています。
高度成長期のような、とにかく大規模化、効率化という考えも見直す必
要があるのではないでしょうか。






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