[BlueSky: 19] はじめまして


[From] "Kaz. Yokoyama" [Date] Fri, 09 Jul 1999 16:52:37 +0900

青空自由大学の皆様

はじめまして,横山@農環研です。

本名和成,通称和尚といい,発言も行動も本名モードと和尚モードが存在します。

農業と環境についての研究所,農林水産省 農業環境技術研究所に勤務しています。

この道に入るきっかけは,学生時代,世界の環境と食料の問題について考える機会を
得たことで,そのためもあって農業と環境,両者の共存を何時も考えています。

仕事は,土壌微生物群集の複雑性と安定性の理解です。

その過程で,温暖化,酸性雨などの気候変動や人工化合物や遺伝子組換え生物の
土壌微生物生態系に与える影響評価・予測技術の開発を行っています。

現在最も興味のあることは,複雑性の科学的理解ですが,残念ながら,未だ満足の
できる段階まで来ていませんので,私の中では「科」をとって複雑学と勝手に称して
います(呼びかけ人紹介参照)。

ここで,突然ですが皆様に問いかけがあります。

先進国では食料は過剰状態に見えますが,世界の飢餓人口は現時点でも約8億人に
達し,来世紀の初頭から2020年付近をピークに食料の世界的逼迫が予測されて
います。その中で,耕地の不適切な管理や経済性の名の下に世界の耕作可能面積は
年々減少し続けています。一方,日本では消費される豪華な食料を賄うために,国内の
総耕地面積の約2.4倍(1200万ヘクタール)の農地を海外で使用しています。
このことを皆様はどのようにお感じになりますか?

現実はどうでしょうか?一方で,環境問題や,健康問題に関心が有ると答える人が,
スーパーでは傷一つない果物,シミ一つない大根を何の疑問もなく平気で買っていきます。
そのスーパーへは当然のように車で出かけ,車の中はエアコンにコンポにカーナビです。

これっておかしいと思いませんか?科学技術で何とかしろと言われるでしょうか・・・?

確かに,産業革命以来,科学技術は人々に「不可能を可能にする」夢を与えてきました。
しかし,21世紀の科学技術は「不可能なことを不可能であると知る」ために用いられる
べきだと考えています。その上での人類の持続的生存の可能性を追求することに科学
的英知を用いるべきであることをもっと知るべきです。今こそ豊かさの意味を問い直すべき
です。そして,それが出来るほど人類が賢明になるために,科学も技術も,このMLも役立
てられることを切に願います。

時々(しょっちゅう)和尚モードで暴走しますが,宜しくお願いします。

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Kaz. Yokoyama kazunari@affrc.go.jp


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