[BlueSky: 165] Re:156&159 新しい形質の導入


[From] "Nagamine, Takafumi" [Date] Fri, 23 Jul 1999 12:11:08 +0900

STAFF研の長峰です。

> 後藤さん
> つまり、遺伝子操作による種子開発によって、多国籍企業による種子の独占が一
> 層進み、土着農業をどんどん破壊していく気がします。

この問題は倫理的な問題だし、遺伝子組換えに限った問題でもないと思って触れていませんでした。

経済的なことは良く分からないので、知っているところだけ書きます。

このスレッドは、小宮さんの酪農が工業になるとの指摘から始まったのですが、実は養鶏ではすでにそうなっています。ブロイラーは1日でも早く成長させるために24時間明るくしてひたすら餌を食べるようにしているし、産卵鶏は卵をほぼ毎日産める期間だけ(1年くらい)ケージの下にベルトコンベアーのある施設で採卵して後は肉にするという状況(すべてではないが一般庶民が口にしているものの多くがそう)です。そして、これらの高い生産力を支えているのが海外の企業の持つ鶏の原種です。日本はこの原種から交配してできた種親を輸入し、その数世代下の個体を生産に使っています。世代を経るに従って生産能力が低下するので、また種親を輸入することになります。つまり、植物で言うところの種を、すでに企業に握られているわけです。植物の種についても特定の企業が生産しているものが大多数だと思いますが、その方面の方どうでしょうか?

遺伝子組換え技術はこのことをさらに助長するとは思いますが、そう簡単には集中しないように思います。ブロイラーのような完全密閉管理型ならば可能ですが、野外の環境に影響を受ける作物や家畜は、少数の品種だけでは対応できないと思います。

> 小宮さん
> 遺伝子組み替え..(略)..農業も大規模経営、大量生産型になっていく..(略)

生産高率をあげるためにそうしないわけにはいかない状況です。しかし、何に対する生産効率かを考える時期に来ているかも知れません。1つは環境への影響(最近農水省が持続型農業と言い出している)、もう1つは生産に費やしたエネルギーです。今の農業は昔に比べて遥かに単位生産辺りのエネルギー消費量が高くなっています。





長峰 ∴nagamine@gene.staff.or.jp∴



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