[BlueSky: 164] Re:159 新しい形質の導入


[From] "Nagamine, Takafumi" [Date] Fri, 23 Jul 1999 11:13:39 +0900

STAFF研の長峰です。

> 小宮さん
> 確かにそうですね。もちろん組み替え植物に限らず、全ての遺伝子
> 組み替え生物が人や環境に脅威を与えるでしょう。

誤解を受ける書き方をしてしまったようです。
私は「害虫や除草剤に耐性を示す遺伝子を導入したような組換え生物」が問題だと思っているのです。そして、「これらの問題は近い将来解決できるもの」の1つとして、形態形質の遺伝子操作を私は考えています。例えば、豚は長い年月をかけた育種改良によって胴体が長くなっています。これは、肉の中で最もおいしいロース(脊椎に沿って肩から腰にかけて走っている筋肉)が少しでも多くとれるようにするためのもので、品種によっては野生種よりも椎骨や肋骨の数が多くなっています。これを遺伝子操作によってさらに増やしてやっても、環境には影響しないと思います。

> アメリカでは..(略)..トリプトファン..(略)..インスリン様成長因子..(略)

トリプトファンの問題は、トリプトファンを抽出した時(抽出する元が遺伝子組換え生物だったかどうかは忘れた)に残っていた成分が毒性を示した事件で、そもそもメーカー(日本のメーカーだった)が、アメリカの貧困層の人たちが食料代わりに大量に摂取することを想定していなかったためにおこった事件だったように記憶しています。だいたいトリプトファン自体大量に取ると体に良くないです。それから、インスリンについては、組換えによって大量に生産できたために生じた問題ですが、要はその使用方法(投与量や投与期間など)に問題があったのだと思います。ですから、いずれも遺伝子組換えそのものに罪があったわけではないと考えています。


以下本題から外れますが・・・・

> 人間という種は絶滅してしまうかも
> しれませんが、その後にはまた新たな自然がうまれる事でしょう。

私もそう思います。細菌を相手に研究していると、こんなところで生きているやつがいるのか!とか、こんなことをやってもまだ生きているやつがいるのか!なんて思うことがあります。

> しょっちゅう故障を起す原子炉は
> ますます数を増していき…。

実は、私は遺伝子組換えと原発となんだか似ているものを感じています。いずれも人間に取って有益なものを生み出す、多分人類が生き残っていくために必要な技術です。でも、その技術が不完全なまま見切り発車で実用化されて人類に対する驚異を生み出しています。なぜそんなに急いで実用化しないといけないんでしょうね?お金が評価の基準となっている中での競争の弊害がこういうところに出てくるんでしょうね。



長峰 ∴nagamine@gene.staff.or.jp∴



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