[BlueSky: 1635] Re:1633 「遺伝子組換


[From] "Kaz. Yokoyama" [Date] Tue, 4 Apr 2000 11:12:54 +0900

中澤 さん

当日は慌ただしい日程の中で興味深い議論展開を誠に有り難うございました。
その上,この様な臨場感ある要約を有り難うございます。総括作業をする者と
しても非常に有用なものとして活用させていただきます。

当日の発言,会場からの質問など現在テープ起こしし,出版等,公開に向けて
作業が開始されました。農林中金総研の蔦谷さんを始め,日経BPの宮田さん,
国際日本文化研究センターの白幡さんも紙上でのリターンマッチを期待するとの
コメントを頂いております。当日喋り足りなかった,或いは未消化の部分は
改めての議論が展開されることを期待しております。

そこで,私が個人的に印象に残った発言を幾つかあげると,

> GM問題は,自給を考えるには良い契機になった。現在は,科学の
> 戒律チェック段階(?)にあるといえる。

1)この部分の前提となった,「科学は最も解りやすい戒律を持つ宗教である」
と言う白幡氏の言明(変にMLで沸騰するのを避けるために外したのですか?),

2)同様に白幡氏の「尤もらしい説明をすればするほど物事は胡散臭くなる」と
宮田氏の立て板に水の講演を強烈に皮肉ったカウンターパンチ発言,

3)中澤氏の「自らの食料生産手段を持たない大都市は巨大な難民キャンプを
連想させる」というさりげない一言,

4)同様に中澤氏がアンケートでの質問「将来の飢餓の可能性」に対する応え,
「流通システムに依存する現在の食料供給はシステムに不具合が起きた場合は
いつでも飢餓が発生する危険性をはらんでいる」ときっぱりと言われた一言,

などでしょうか。遺伝子組換え問題が高度に政治経済問題であることは,図らも
参加者各人から異口同音に指摘されたことであり,ここでは割愛します。その上
で,

私の中の結論としては,極微量で長期に渡る深刻な害が「環境ホルモン」によっ
て知られるようになった時点を境に,最早どんな物,どんな技術,行為にも絶対
の安全は論じることが不可能に成った。そんな中で,遺伝子組換え技術が「本当
に」安全かどうか(実はこの質問がアンケートでは最も知りたい疑問として提起
された)のみを議論することは空虚と言わざるを得ない。有り体に答えるとすれ
ば,「本当はわからない」と言うしかない。この問題も含め,複雑で予測不可能
な未来において「本当に」持続的生存を期すのであれば,個々に主体性を持って
物事の実相を見つめる深い考察と,「私は違う」と言う,そして行動する事に価
値を見いだすような「多様さを許容する主体社会」を,他ならない我々の手で現
出させること。そのことこそが,数々の自らコントロールもできない負の財産を
生み出し,借財と共に後生に託して行く愚かな世代が,それでも「強かに生残す
る意志」として未来の世代へ残して行くのメッセージとすることしかない,と言
うものです。

自分でもじれったいくらい中途半端さは否めませんが,単純に出来ない現実の難
しさを受け入れたいと思い,公開過程を経て,更に練って行きたいと存じます。
今しばらくのお付き合いを宜しくお願い申し上げます。

ところで,
最近はこのMLでも食料のことを多面的に議論する雰囲気が生まれてきたことは
大変素晴らしいことだと感じていますが,私の感覚では,どれだけ準備をしても
やはり飢餓は起きてしまうだろうと感じています。

これは自らの欲望をコントロール出来ない人間が辛うじて崩壊を免れるための
自然の安全弁ではないかと考えるからです。ですから,その問題の比較的身近に
いる人間の関心は,既にその後の復帰の問題に移りつつあるように感じます。

エネルギー,人口,食料,環境,社会体制等々が将に「テンチュウサツ」状態に
成る2025年周辺に注目しましょう。このMLにはその頃責任有る立場に居る人も
屹度多いはずですから^_^;)

では
横山 和尚/DGC総研


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