一ノ瀬です。
#1485葛貫さん<
売れ行きにマイナスだから表示しないとすると、これは政治・経済的な
配慮ということですよね。(安全性に自信がないから表示できないんじゃ
ん、と警戒心を強められても仕方がないですよね。)
>
米国とEU諸国は、自国農業の保護育成を狙って、長年に亘って深刻な
対立を続けてきています。米国がEU(以前はEC)を保護主義、と非難
すれば、EUが米国の輸出補助金を批判する、といった具合です。
日本のコメ問題を思い起こすまでもなく、農業と農家の保護は非常に重
要な政治課題なのです。
葛貫さんのご意見は、この両勢力の内、EUにとって喜ばしい内容とな
っています。たとえ政治的な観点からの議論が不可避だとしても、自分自
身が、一方の勢力のプロパガンダに乗せられていては真実は見えてきませ
ん。
まずは、両勢力の主張を相対化して理解し、プロパガンダから自由にな
る必要があります。
「安全性に自信がないから表示できないんじゃん」
というような指摘は、
「GM技術では米国に太刀打ちできないから、足引っ張りをしているんだろ」
という論法で反論できてしまいます。こんな議論をしていて、何か真実が
見えてくるのでしょうか?
国際政治の世界は、対立する勢力によるプロパガンダ合戦、という側面
を持っています。そんな中に迂闊に頭を突っ込むと、却って、真実が見え
なくなりはしないでしょうか?
ただし、EUの動きを見ていて、一つ気づいた点があります。
利害の上からは、明らかにGMを歓迎できないはずのEUが、今のとこ
ろ、GM作物の安全性について、アメリカに対して有効な反論を展開でき
ていません。これは、過去の、農産物輸出入に関する熾烈な争いを思えば、
不思議なことです。
「サンプリングの仕方、統計処理の仕方、どの位の時間の経過の中で評価
しているか等、研究方法自体の適正さ」(#1485)
をチェックすることで、"GM安全論"が突き崩せるようなものならば、彼
らがとっくにやってのけていそうなものだとは、思いませんか?
科学的な反論が出来ないから、市民の感性に訴える、という戦術で米国
に反撃している、、、、それが今のEUの姿だろうと、私は見ています。
--------------------------------
葛貫さん<
同時に、世界人口60億人のうち12億人が肥満し、12億人が飢餓に
瀕しているという状態を、どうするのかという問題も重要だと思います。
肥え太り、高脂血症、糖尿病、心臓病等で、病院通いしている飽食者が、
既得権を行使して、より一層、自分の周りに物やお金を集めようとしてい
るイメージは、何ともグロテスクです。
>
反GMを掲げる人たちは、私の目には、この、醜くグロテスクな生き物
に映ります。
GMをやめて既存農法に戻すと、農薬の使用量が増すか、収穫が減少し
ます。
農薬の使用増は、環境負荷を高めます。
あるいは、収穫が減れば、より多くの耕地が、先進国の反GM派の人々
の食欲を満たすために占有されることになります。これは、非先進国の人
々に回る食料が減少することを意味します。
結局、世界のどこかで新たに飢える人が出る。
#1456葛貫さん<
餓えて瀕死の人達を前にしたら、その人達の餓えを満たすことが、自然
を破壊したり、多少のリスクをおかしても善で、最優先事項になるかもし
れません。
>
この発言を裏返すと、
「飢えて瀕死の人が目の前でさえ出なかったら、良心に痛痒を感じない」
という表現になるでしょうか。
これでは偽善だと思います。
(注)この記事が最新である場合,上記「次の記事へ」はデッドリンクです。