[BlueSky: 1476] Re:1474 遺伝子操作と農薬


[From] Akifumi Murase [Date] Tue, 07 Mar 2000 15:48:41 +0900

ムラセです。

星野さん:
> バイオ研究者の主張:
>  これからも人口が増え続け、2050年には150億人に達する。このためには
> 病害虫、雑草、干ばつ、冷害、塩害に強い植物の育成が必要である。我が国
> も20〜30年後に予想される食糧危機の回避のためにGMを取り入れる必要が
> ある。

私は少なくとも我が国における食糧問題には楽観的です。現在の自給率は約40
%です。(家畜の飼料を入れるともうちょっと減ると思いまが。)

現在我が国では供給された食料のうち少なくとも40%は食べずに捨てています。
まずこれを減らすことにより、増産しなくても不足分をかなり補えるはずです。
また、家畜の飼料はほとんど輸入飼料に頼っていますが、これは国内の農産物
残渣(ざんさ)などを使うよりも安いことが主な理由です。(つまり、国産飼
料はあるがほとんど利用されていない。)世界的食糧危機になれば当然輸入物
が高くなるので、現在のような価格差は解消されるはずです。

もう一つ重要なのは、農業形態の変化です。我が国の農業は基本的に世襲制で
す。しかし、各地で新規就農の動きがありますし、また規制緩和により企業も
農業をできるようになりつつあります。近い将来には大規模化によって作業効
率もあがり、収量も増えると予想されます。(いくつかハードルがあるのです
が、ここでは省略します。)したがって、自給率を大幅にアップすることは十
分可能です。

これに加えて、水の問題があります。エネルギー問題ばかりが注目されている
印象がありますが、もっと近い将来には世界中で水(淡水)が足りなくなりま
す。幸いにも我が国は先進国の中でも数少ない、水の心配をしなくてもよい国
です。

食糧危機の回避のための一つの手段としてGMを利用することはもちろん考えら
れますが、やはり生態学的影響(特に遺伝子の伝播)をなんとか評価しない限
り、応用に持っていくのは難しいですね。

私は直接はGMを扱っていませんので、[1459][1465]の内容が十分だとは思って
いません。GMによって起こるかも知れない問題、また「それは違うよ」という
箇所がありましたら、ぜひご教授いただけたらと思います。
to 星野さん、あるいは詳しい方...


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