[BlueSky: 1459] Re:1453 遺伝子操作と農薬


[From] Akifumi Murase [Date] Sat, 04 Mar 2000 02:24:55 +0900

ムラセです。GMについては、今は慎重派です。

1.食品としての安全性

導入したい遺伝子がどこに入るかわからないので、予期せぬ物ができるかもし
れないというのは、確かに今までの育種と違う点です。しかしながら、予期せ
ぬものができて、しかもそれが有害である確率は非常に低いと思われます。む
しろ、通常の天然の食品にもともと含まれている有害物質によるリスクの方が
ずっと大きいでしょう。つまり、すべての食品に少なからずリスクがあるわけ
で、利害のバランスに応じて取捨選択していく必要があります。すべて確率で
す。絶対に安全というものは絶対にありません。安全基準とは、確率という連
続したものに便宜的にあえて線をひいているだけですね。

GMを反対する意見の多くは、遺伝子操作という「よく分からない物」を敬遠す
る本能からきているように思います。ガンの原因についてのアンケートにこん
なものがありました。ガンの疫学者の考えでは、普通の食べ物、タバコ、ウイ
ルスの順に多かったのに対し、主婦の回答は、食品添加物、農薬、タバコ、大
気汚染... と続きます。また、あるテレビのインタビューでは、ダイオキシン
が怖いとタバコをくわえながら答えているおじさんが映っていました。このよ
うに、「よく分からない物」に、特に自分の意志とは関係なしに直面すると、
とにかく避けてしまうことがよくあるものですね。

2. 生態系への影響

生物間の遺伝子の伝播(やりとり)は、案外頻繁に起こっているようです。導
入した遺伝子が近くの雑草でも見つかったという報告もあります。特定の機能
を持った遺伝子を大量に野外に持ち出すことは、かなり危ないと私は思います。


かつて私は、遺伝子操作による植物育種に魅力を感じていました。それは、乾
燥や塩害に強い作物を作れば耕作可能地が増えて、その結果森林の破壊も防げ
ると考えたからです。しかし、例えばマラリアに対する薬の開発が行われない
のと同じように、途上国での需要しか見込めないものに対しては、(お金にな
らないので)技術的に可能であっても実現されにくいことがしばしばあります。
農薬と抱き合わせにするという極めて商業主義的な目的にGMが使われたことに、
とてもやりきれない気持ちがします。


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