[BlueSky: 1431] Re:1423 尋ねごと。


[From] "ITAHASHI Shiho" [Date] Mon, 21 Feb 2000 14:11:09 +0900

みなさま

こんにちは、板橋@ほとんどROMです。

>> 皇居のお堀の水の色って、緑色じゃないですか。あの色を景観だか何だかの理由で保
持するために定期的に宮内庁かなんかが、着色しているという話を聞いたことがあり
ますが、これは本当でしょうか?

ええっっ!!!こんなふうに思う人がいるなんてびっくりです。

>> プランクトンか何かでしょうか?

人工的に着色しているのではありません。
発生させないための対策にがんばっています。
沢山の方がおっしゃっているように、皇居のお堀のペンキみたいな緑色は、アオコ
(水の華、ブルーム)です。ふつうの池の緑色と違うでしょう?(池の色は、水質、
植物プランクトンの組成により異なりますが)
アオコを構成する微生物は、シアノバクテリア(ラン藻)という細菌の一群です。酸
素を発生する型の光合成をします。
また、水中の窒素が少ない時に、空気中の窒素ガスを取り込み栄養とすることができ
る細胞を持っています(窒素固定)。
ふだんから水中にいるのですが、ある条件下で、あるラン藻だけが異常増殖すると、
ああいう色になります。
植物プランクトンが増殖するには、一定の栄養(バランス)が必要です。一つの栄養
だけが多くても増殖できません。栄養塩(窒素--硝酸イオンなど、リン--リン酸イオ
ンなど)濃度もさることながら、バランスが大事と思います。また普通は栄養不足気
味なので、他の藻類や細菌と栄養の取り合い(競争)をしています。
例えば、適正な窒素/リン比に比べ窒素比が低い時、他の藻類にとっては増殖が厳し
くなりますが、らん藻には窒素固定能があるので、増殖(競争)に有利になり、大量
発生する、というようなことが考えられます。
しかし、山の中のきれいな湖でもアオコが発生するところがあるそうですし、アオコ
の発生機構、温度や栄養塩などの条件については、詳細はよくわかっていないようで
す。

アオコは嫌われ者ですが・・・・・・嫌うだけではかわいそう。
地球史的には・・・他の光合成細菌は酸素を発生しないので、シアノバクテリアから
植物につながったのではないか、と考えられています。元々地球には酸素は少なかっ
たのですが、シアノバクテリアが出現してから、地球上の酸素が爆発的に増えました。
酸素は元々生物にとって毒ですが(活性酸素とかよく聞きますね)、酸素呼吸は効率
が良いので、酸素耐性と酸素呼吸を獲得したことで、生物に大変動が起こったようで
す。・・・というような話も面白いですよ。

なんか脱線しましたが・・・。
あたりまえの自然の姿を知って欲しいですね。

[BlueSky: 1428]西さん曰く
> ところで千葉ディズニーランドには作り物の池がありますが、あの水は明らかに着色し
ていると思うのですが、・・・・・・
>
> あれを子供は自然な色と誤解するのではないかと思って以前から気になっていました。

これはもっとびっくりですね。本当に、誤解されると困ったもんだ・・・。

ということで、ではまた。


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板橋 志保
東京薬科大学生命科学部細胞機能学研究室
191-0392 東京都八王子市堀の内1432-1
TEL 0426-76-7141(直通) ex3074
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E-mail ita@ls.toyaku.ac.jp
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