紺野さん,MLの皆さん
和尚.横山@農環研です。
> 高校生の半数「科学は世の中を複雑にする」 若者の理科離れ
>国立教育研究所調べ 1995年と98年の比較
> 「科学の発明は世の中をあまりにも複雑にしてきた」47.9%(14.4%増)
> 「科学的な発見は益より害を多くもたらす」38%(7.3%増)
これは多分にマスコミのプロパガンダが効いているのではないでしょうか。
実際,科学のしていることは世界を複雑にするのではなく,複雑な世界を
単純にして理解することですから。
私の印象では,科学技術の発達は世界から複雑さを奪っているのでは?
と考えています。つまり,複雑性を容認できなくなってきているのではないかと。
例えば「価値観が多様化している」とよく言われますが,実際は逆で,多様な
価値は用意されているが,それへの対応はむしろ単調,極端な話,「是か否か」
です。用意された価値観(パターン)に合っていなければ即棄却される世界で
非常に窮屈に感じられます。
そのような適応困難な世界を高校生は,「容易に解けない」と言う雰囲気で,
「複雑」と表現しているのでしょう。実状はむしろ,人間社会は複雑性を失い,
それと同時に柔らかさや強かな復元力を無くしかけていると思います。
私の目からはそのような単調な世界が,非常に同質な行動様式を産み,
同質の集団内での過当競争を引き起こしているように見えます。研究の世界でも
学会に行くと,トレンディーな研究のオンパレードで,そのような研究者間では,
研究速度の競争が激烈,学生を労働者にしています。
この際,せめて芸術家や研究者くらい,異質で複雑さを容認するライフスタイルを
体現したいものだと考え,変なことをいっぱいしています。
言い訳ですが・・・・(笑)
Kazunari Yokoyama, Ph.D.
Soil Microbial Ecology Lab.
National Institute of Agro-Environmental Sciences, Japan
Phone:+81-298-38-8300
Fax:+81-298-38-8199
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