[BlueSky: 1349] Re:1345 雇用対策とし


[From] "Kaz. Yokoyama" [Date] Sat, 29 Jan 2000 14:39:05 +0900

一ノ瀬さん,MLの皆さん

ちょっとくどくなりますが真面目に反論させていただきます。
一ノ瀬さんの義憤に似た感覚は頭では同感です(本当です)。

にもかかわらず,私は現実問題としてまだまだ,

> 「雇用維持のために公共事業はやめられない」

と考えています。
しかし,「無駄な」公共事業をする余裕ははっきり言って今の日本には
有りません。この辺は政府内部でも認識されています(前回資料)。

ちょっと誤解されそうですが,日本の台所事情を一番熟知しているの
はやっぱり大蔵省でしょう。そして彼らだって,巷に言われるように,
馬鹿でも悪人じゃないし,殊更日本をダメにしてやろうという陰謀は
無いですよ。この辺は掛け値無しに認めるべきです。それでも上手く
行かないのがこの現実という複雑さの悩ましい所なんですが・・・・

その意味で,今回の堰のような,大型施設は「人口問題」の時にも触
れましたが,額面通りの費用の他に構成に維持更新の出費を強いる意
味でも不適当であると考えます。

「公共事業=無駄」論を標榜される方は,この辺に論理の混濁が有る
のでは有りませんか?一部のメディアのように責任の無い立場の方々
はその場その場で,政府の無為無策を指摘すればスッキリするでしょ
うが,実際はそれだけじゃ済まないという一例を申し上げたのです。
勿論,私は何も政府の代弁者ではありません。改善すべきことも非常
にたくさんあり,改革を断行するべきです。そのためにもこのMLの
様な存在は,冷静な世論の代弁者として大変有意義と考えます。

> --------------
> *理由1.公平を欠く
> 「残りの75%は、なんらの恩恵を受けていない」
(中略失礼)
>  日本の景気がなかなか本調子にならないのは、この、25%(或いはそれ以
> 下)を残りの75%が、重い負担を背負って支えていることに、一因がありま
> す。

この点は葛貫さんが少し指摘されていますが,100−25=75という
小学校の算数の様に出来ていないのが社会です。一ノ瀬さんには一般シス
テム論を学んでみれることをお勧めします。一業種で25%と言うのがど
れほど大きな意味があるか解るでしょう。日本は戦後の復興期を経て,明
らかに土建国家になってしまったようです。それは,その波及範囲の大き
さから来る利益分配効率の高さが集票力として機能したからです。そこに
資金を供給したのが護送船団としての財政ー金融コンプレックスです。
不愉快な話ですが,こうなってしまったのです。しかし,こんなことが何
時までも続くわけが有りません。昨今の底なしのように感じられる社会・
経済萎縮は,この国のシステムがもうどうにもならないくらい劣化してし
てまっていことを如実に表しています。ですから,一ノ瀬さんの義憤(真
剣な意見をちゃかして喜ぶ卑劣官とは異なり)全く同感するものですが,
「悪即斬」で斬ってしまったら。システムが壊れてしまうでしょうと言う
ことです。

> --------------
> *理由2.社会保障との混同である

先ず申し上げておきますが,公共事業の目的は社会保障だなんて誰も考えて
ないと思います。社会に供給され,実際に流通する金の量が増えれば,結果
としてホームレスが少なくなるだろうとは思いますが。今現在は現に流通量
が減少していることが,我々には不景気観やホームレスとして見えているの
です。

それとちょっと議論が横道にそれますが,ホームレス問題を社会保障で解決
しようという考えには部分的に反対です。どんなに身体の弱い人でも労働の
対価としてお金を得るべきだと思います。極端な例を除き,社会保障だけで
はホームレスの問題は解決しません。

(前略失礼)
>  仮に、1000億円を公共事業に費やす場合、その1000億円は、最終的
> には関連産業まで含めて、関係者の所得になりますが、途中でかなり目減りし
> てしまいます。
(中略)
>  これに対して、社会保障で1000億円使えば、このような無駄は生じませ
> ん。

本当にこんなこと考えているのですか?上にも述べたように,社会を潤す
のはお金の存在量ではなく,流量です。途中で目減りしている様に見えて
それが流量を増しているのです。海外への流れも日本が世界の一員として
存在する限り何ら無駄では有りません。

>
> --------------
> *理由3.持続不可能である
>
>  その理由は説明するまでもありません。借金だらけです。
>
>  社会が必要としなくなった土木事業は、規模を縮小して、従業者も別の産業
> に移らざるを得ません。

ゼネコンを始め,建設業界が最初に述べた国策と一つになって保護され,
社会的ひずみの温床の中で自己変革の痛みの道を取らなかったことは,
責められても仕方が有りません。その点で,持続不可能という意味からも
一ノ瀬さんに賛成です。ただ,必要が無くなったかどうか,縮小すべきか
どうかは,短兵急には決められません。ゼネコン不要論も有るようですが,
急激な変化は,何が出てくるか判らない不気味さが有ります。その一つは
債務の問題です。生保,銀行,ときましたがゼネコンには手を着けかねて
居ます。一つには景気回復に水をさす危険性を考慮してでしょうが,また
金融システム不安に飛び火するのを恐れているのではと言うのが,例によ
って私の悲観的観測です。しばらくはゆっくりやるしかないでしょう。

> と指摘されるのはその通りですが、それでは、このまま借金を続けろと言うの
> でしょうか?
>  そんな、出来ないことを言っても無意味です。

国の借金は利子を払っていけている間は可能です。組織の信用が保たれて
いるからです。しかし,それももう限界です。その意味で,これ以上の
借金をするのなら,何かとんでも無い目算があると考えるべきでしょう。
その一つが,(調整インフレとは言っていますが実は,コントロールが効か
なくなった)大幅なインフレ,もしくは大規模な国際紛争による世界的な
需要爆発です。

どちらにしても一層弱者を苦しめるこんなことを許すことは決して出来ませ
ん。社会保障が既にパンクしている,つまり保障をしているだけでは,持続
してゆけないことはご存じですよね。

>  公共土木事業に費やす金は節約して、社会保障と、転職支援のために費やす
> 方が、まだ将来への展望が開けます。
>
>  それとも、横山さんは、何か妙案をお持ちなのでしょうか? 

何度か申し上げましたが,長期の策としては教育を抜本的に変えることです。
人の言うことに従うだけのロボット人間製造を止め,自分で考え(この考え
ることは,単純素朴思考ではない深く複雑な熟考のことですよ),考えたこと
は直ぐ実行する勇気を持ち,自らの行動が他の誰とも似ていなくてもへこたれ
ない強力な個性と覚悟をもった人間を一人でも多く育てることです。そして,
そう言う人間が少数でもいたら,自分と同じ馬鹿じゃないからといって虐めな
いで未来への投資として皆で育てることです。この点教育者の方には特にお願
いしたいです。

短期の案としては,今でも出来る人間が新しい行動を起こすこと,そして行動
を通して最初に言った歪んだシステムを変えろと訴えることです。その行動を
代案として提示し,こうすれば良いのだと示すことでしょう。そのために私は
複雑問題解決型ネットワークシンクタンク(長い^^;)DGC総合研究所を作り
ました。2月から本格稼働します。政府や財界にも直接意見し,具体的な施策
を提示して行く積もりです。実際に引き合いもあり,な〜んだやっぱり必要と
されてたんじゃないかって感じています。青空シンクタンクも作ったらって
言ってたでしょう?

最後に最も困難なこと,実力以上に華美になった生活レベルと引き下げること
です。これは,どの政治家も言いませんね。そんなことを言ったら選挙に勝て
ない。つまり,ほとんどの国民が反対するからです。貴方もそうでしょう?

嵐が来ることを知らない人は気楽なものだなあ,と最近よく感じます。
そこで一句「目覚むれば,何故か空しき空徳利」
MLに投稿するのも空しくなります。
合掌


横山 和尚/DGC総研


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