[BlueSky: 130] FW:[P-Africa:01657]


[From] 栗原 智昭 [Date] Sat, 17 Jul 1999 11:40:57 +0900

Environ ML, BlueSky MLのみなさま


下記は僕の友人である池永栄介氏が、アフリカ開発ML(Positive Africa
ML)上にてタンザニアにおける観光開発とエコツーリズムの現状について概
説した発言です。

Environ 、 BlueSky 両ML参加者にとっても参考になる内容を含んでいると
考えましたので、本人の了解を得て、ここに転載します。
便宜上一部分を省略しました。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
Date: Mon, 12 Jul 1999 22:44:37 +0900
From: "池永 栄介" <eisuke@jf6.so-net.ne.jp>
Reply-To: jambo-lst@y7.com (P-Africa)
To: jambo-lst@y7.com (Positive-Africa ML)
Subject:[P-Africa:01657]

はじめまして。
タンザニアのTourism Industryのほぼ9割は
terrestrial tourismで、そのほとんど100%は
野生生物保護区に隣接しているか、またはその中で展開されています。
野生生物が一番の売りなのでしょうがないのですが。
観光開発自体はのばなしされているのと同じです。

例えば、ngorongoro conservation area authority(NCAA)はタンザニ
アの保護区で一番、観光の収入があります。多分年間2〜300万ドル
は入ってきてると思います。(今はもっとかも)
NCAAは他の国立公園と違い保護区の中にマサイ族が住んでいます。
"CO-EXISTENCE OF PEOPLE AND WILDLIFE"という政策を行い原地人、
つまりマサイの人に環境保護の為の観光開発を理解してもらおうとして
始めたものです。
しかし現状はインド人、白人資本のホテルが次々と建ち、
今ではそのホテルで働く人たちの村までできました。
そして隣接しているlake manyara national park一帯では、その観光の
おこぼれを狙ってmto-wa-nbu villageに爆発的に人が集まってしまった。
結果manyara湖自体は侵食により湖面積が激減し、水質汚染であらゆる
ところに多大な影響が、ここ10年間で出てきました。
最終的にはその観光開発を許可する人にまで行くけど、問題はタンザニ
アの観光産業が外国の資本に頼り過ぎている点だと思う。
恐らくタンザニアに入ったほとんどの観光収入は再び外資系観光会社を
通して外に流れていっている。
外資系航空会社、振り込み先銀行などの大きな組織から始まり、最後に
現地人が手にするのはほんのわずかなお金。
観光はやっぱり現地に収入が入ってきてこそ、利のかなった観光と言え
ると思います。
貴重な希少野生生物を取り扱うだけにとても今のタンザニアにおける
観光開発は危険としか思えません。

しかしTANAPA(Tanzania National Park)、NCAAも少しずつですが
収入を目的とした観光から、保護を目的とした観光開発へと移していこ
うとしています。(ECO-TOURISMをやり出そうとしている。)
TANAPA,NCAAが掲げるECO-TOURISMの目標は主に3つあります。
*現地人主体による運営
*観光収入のほぼ100%を現地還元
*保護教育を目的とした観光
これを実行するにはかなりの料金のアップ(1日の観光客を制限する為)
を強いられ、またそこまでしても観光的魅力がそこになければ経営が
なりたたないという現実的な難点があります。
ウガンダの公園はその点ECO-TOURISMが成功的に行われています。
ゴリラ、チンパンジーという世界的に人気がある観光材料を持ち、
極端な人員制限(予約1ヶ月待ちとかある)、車を利用しない(あくま
で観光は徒歩)、動物にストレスを与えない為の時間制限などなど、
そして観光料金は激高(5〜600ドルはとる)。
それくらいしないとやはりECO-TOURISMは成り立たないのです。

僕が見てきたタンザニアの観光開発といえば、まずINFRASTRUCTURAL
DEVELOPMENTの事を考え出します。交通手段の為の滑走路、道路整備、
物資支給の為の隣接村への経済的援助、水を確保する為の井戸掘り、
発電所の設置、それに携わる人の生活場所の確保などもろもろの開拓部
隊が自然を切り開く為に押し寄せます。
MIKUMI NATIONAL PARKを見れば分かると思いますが、場所的にルアハ、
セルーに隣接しミヨンボフォレストの生態圏にはいっています。しかし
あすこには公園の真ん中にタンザニアとザンビアをつなぐHIGHWAYが通っ
ています。もう少しミクミを避けてもっとドドマよりに道をひけたと公
園関係者は言っていましたが、ミクミの南部に小さい村が多数点在しそ
こを無視して道をひくわけにはいかなかったらしいです。
もちろん交通事故、PHYSICAL DISTURBANCEなどで命を落とす動物も少な
くはなく、公園の意図に反しながらも他の選択肢がなかったからです。

去年ぐらいに開園したばかりのUDZUNGWA NATIONAL PARKはいまほそぼそ
とですがECO-TOURISMをやっています。1ヶ月の入園者が数名という状
況なのでWWFが2002ぐらいまで無償で資金と運営をバックアップし
ています。雨期には陸の孤島になるくらいの極地ですが今後新しい観光
活動を押しすすめていくには絶好のチャンスな場所だと思っています。

(後略)

池永栄介。
eisuke@jf6.so-net.ne.jp

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
以上です。

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栗原智昭<KURIHARA, Tomoaki>   福岡県春日市
e-Mail <tomo.kurihara@nifty.ne.jp>
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差出人 :INET GATE eisuke@jf6.so-net.ne.jp
送信日時:1999/07/12 23:00
題名 :[P-Africa:01657] 三盛満子様へ

Date: Mon, 12 Jul 1999 22:44:37 +0900
From: "池永 栄介" <eisuke@jf6.so-net.ne.jp>
Reply-To: jambo-lst@y7.com (P-Africa)
To: jambo-lst@y7.com (Positive-Africa ML)
Subject:[P-Africa:01657] 三盛満子様へ

はじめまして。
タンザニアのTourism Industryのほぼ9割は
terrestrial tourismで、そのほとんど100%は
野生生物保護区に隣接しているか、またはその中で展開されています。
野生生物が一番の売りなのでしょうがないのですが。
観光開発自体はのばなしされているのと同じです。

例えば、ngorongoro conservation area authority(NCAA)はタンザニ
アの保護区で一番、観光の収入があります。多分年間2〜300万ドル
は入ってきてると思います。(今はもっとかも)
NCAAは他の国立公園と違い保護区の中にマサイ族が住んでいます。
"CO-EXISTENCE OF PEOPLE AND WILDLIFE"という政策を行い原地人、
つまりマサイの人に環境保護の為の観光開発を理解してもらおうとして
始めたものです。
しかし現状はインド人、白人資本のホテルが次々と建ち、
今ではそのホテルで働く人たちの村までできました。
そして隣接しているlake manyara national park一帯では、その観光の
おこぼれを狙ってmto-wa-nbu villageに爆発的に人が集まってしまった。
結果manyara湖自体は侵食により湖面積が激減し、水質汚染であらゆる
ところに多大な影響が、ここ10年間で出てきました。
最終的にはその観光開発を許可する人にまで行くけど、問題はタンザニ
アの観光産業が外国の資本に頼り過ぎている点だと思う。
恐らくタンザニアに入ったほとんどの観光収入は再び外資系観光会社を
通して外に流れていっている。
外資系航空会社、振り込み先銀行などの大きな組織から始まり、最後に
現地人が手にするのはほんのわずかなお金。
観光はやっぱり現地に収入が入ってきてこそ、利のかなった観光と言え
ると思います。
貴重な希少野生生物を取り扱うだけにとても今のタンザニアにおける
観光開発は危険としか思えません。

しかしTANAPA(Tanzania National Park)、NCAAも少しずつですが
収入を目的とした観光から、保護を目的とした観光開発へと移していこ
うとしています。(ECO-TOURISMをやり出そうとしている。)
TANAPA,NCAAが掲げるECO-TOURISMの目標は主に3つあります。
*現地人主体による運営
*観光収入のほぼ100%を現地還元
*保護教育を目的とした観光
これを実行するにはかなりの料金のアップ(1日の観光客を制限する為)
を強いられ、またそこまでしても観光的魅力がそこになければ経営が
なりたたないという現実的な難点があります。
ウガンダの公園はその点ECO-TOURISMが成功的に行われています。
ゴリラ、チンパンジーという世界的に人気がある観光材料を持ち、
極端な人員制限(予約1ヶ月待ちとかある)、車を利用しない(あくま
で観光は徒歩)、動物にストレスを与えない為の時間制限などなど、
そして観光料金は激高(5〜600ドルはとる)。
それくらいしないとやはりECO-TOURISMは成り立たないのです。

僕が見てきたタンザニアの観光開発といえば、まずINFRASTRUCTURAL
DEVELOPMENTの事を考え出します。交通手段の為の滑走路、道路整備、
物資支給の為の隣接村への経済的援助、水を確保する為の井戸掘り、
発電所の設置、それに携わる人の生活場所の確保などもろもろの開拓部
隊が自然を切り開く為に押し寄せます。
MIKUMI NATIONAL PARKを見れば分かると思いますが、場所的にルアハ、
セルーに隣接しミヨンボフォレストの生態圏にはいっています。しかし
あすこには公園の真ん中にタンザニアとザンビアをつなぐHIGHWAYが通っ
ています。もう少しミクミを避けてもっとドドマよりに道をひけたと公
園関係者は言っていましたが、ミクミの南部に小さい村が多数点在しそ
こを無視して道をひくわけにはいかなかったらしいです。
もちろん交通事故、PHYSICAL DISTURBANCEなどで命を落とす動物も少な
くはなく、公園の意図に反しながらも他の選択肢がなかったからです。

去年ぐらいに開園したばかりのUDZUNGWA NATIONAL PARKはいまほそぼそ
とですがECO-TOURISMをやっています。1ヶ月の入園者が数名という状
況なのでWWFが2002ぐらいまで無償で資金と運営をバックアップし
ています。雨期には陸の孤島になるくらいの極地ですが今後新しい観光
活動を押しすすめていくには絶好のチャンスな場所だと思っています。

三盛さんがどんな観光開発の資料を御探しか詳しく分かりませんが、私
が知っている文献は『アフリカ、危機からの脱出』昭和62年ユニセフ発
行があります。また観光開発について直接タンザニアの人にお聞きもで
きます。
putanapa@yako.habari.co.tz
(Planning Unit of Tanzania National Park)
にMrs.Noelia宛てに英字で質問してみて下さい。
パンフとか資料は送ってくれると思います。

池永栄介。
eisuke@jf6.so-net.ne.jp



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