[BlueSky: 1272] Re:1265 情報の整理


[From] ymizuno@yo.rim.or.jp (水野義之 Y.Mizuno) [Date] Sat, 15 Jan 2000 10:52:42 +0900

こんにちは、水野義之(物理学会)@京都女子大です。

葛貫です。
>大塚さん:
>> 臨界事故のについての水野さんの講演([1225]からたどれます)にも
>>ありましたが、我々はもっと情報を処理できる能力−科学リテラシーを
>>はじめとして−を身につけなければならないし、日本のジャーナリズム
>>の質も上がらなくてはいけないと感じます。

葛貫さん:
>同感です。
>JICSTの会報で時々、目にしていたのですが、
>科学技術関係の学協会約500を対象に学術論文情報をデジタル化し
>インターネット上に公開する計画が実現しつつあるようです。

この電子化+ネット化計画には、実は、私自身もちょっと関係しているので、
これを機会にちょっと紹介します。これは、もともと、日本物理学会と日本応用
物理学会の論文誌(というか提案が、というべきか)が、そのヒナガタとなった
計画で、私自身は日本物理学会のWWW委員長などをやっているので、ちょっと関係
しています。要するに、日本応用物理学会のものを、科学技術庁+科学技術振興
事業団で音頭をとって開発+システム公開し、また日本物理学会の経験を基礎に、
広く使えるものを、ということで、文部省+学術情報センターさんが、開発の
音頭をとられました。2つのシステムは、相互に関係していますが、前者は、
どちらかといえば小さい学会向けで、全部、おまかせタイプ、後者は
どちらかというとサーバーの維持管理などを(従ってシステムのカスタマイズ
なおdも)自分でできるような、ちょっと大きめの学会向けで、そういう環境を
それぞれ、念頭において開発されています。現在、システムの公開に向けて、
最終調整の段階でありまして、公開時期もそろそろ検討を、といったところ。

これによって、全分野の学術情報が、将来的には、一般の方々+その分野の
非専門家(みなが、そうでしょう)にも、利用できるようになる「ハズ」であり
ます。

現状ではどの分野の専門家も、その分野の専門家であるだけ、という場合が
多いでしょう。従って、このようなオンライン化活動がうまくいくと、

現在の専門家社会の在り方が、将来的には、大きく変化する可能性を意味する
でしょう。

そうなった時、何が必要なのか。あるいは、なぜ、そういう活動を重要であると
思うのか、ということですが、これは、やはり、この「世界」にとって、学術
情報の重要性がもっと広く理解され、認識されなければいけない、と思うことと、
どの分野においても必然的に進行している専門分科傾向に対する、下支えを
誰かが、しないと、ますます、自分の専門しかわからない(他の分野には興味さえ
も、持ちにくい)という状況が進行し、それは、この「世界」の安定的維持に
とって、やはり具合が悪いと思うからです。


>「情報は公開している。必要なことを読み取れなかった君たちが悪いんじゃん。」
>と言われないためにも、学者と一般市民の間を取り持つ質の良い科学ジャーナ
>リズムが必要になるのだと思われます。

私は、これは、「学者」(いえ、誰でも)自身が、出来るようにならないと
いけないと思います。いわゆるコミュニケーション能力、というわけですね。

市民の問題が解決できない学問なんて、やっぱりどこかおかしい、と思う
わけです。

もちろん、科学ジャーナリズムにも期待してはいますが、いまの商業主義
にまみれた在り方の中で、すぐにはよくなると思えない。我々が、自分たちで
やった方が、はやいし、よっぽどいいものが出来ると確信します。

ちなみに、こういう主張は、私は「情報ボランティア」(NECクリエイティブ)
という本の第7章とそれに続くQ&A に書いていますので、よろしかったら、
見てみてください。その原稿部分は、次のところにも上げてあります。
ご参考までに。
http://www.yo.rim.or.jp/~ymizuno/info-vol-book-199805.html







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Yoshiyuki MIZUNO 水野 義之(大阪府 茨木市) ymizuno@yo.rim.or.jp
Office: 京都女子大学 "現代社会学部" http://www.cs.kyoto-wu.ac.jp/
mizuno@kyoto-wu.ac.jp Tel&fax: 075-531-7104 fax: 075-531-7012
 


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