[BlueSky: 1213] Re:1206 ゴミ焼却炉の小型分散・・


[From] "Takashi Goto" [Date] Thu, 23 Dec 1999 22:42:47 +0900

一ノ瀬さん

後藤です。

まずは各論からお答え及びお詫びします。

・カルシウム添加によって小型炉でもダイオキシンが発生しなくなる
 かもしれません。だからといって小型分散化は大反対ですが、結
 果的に上げ足を取ってごめんなさい。

>後藤さんは、メーカー側の主張を、あまりに鵜呑みにしてしまってい
>るように感じられます・・
・そうですね。一般論としては、技術開発とそれによる量産化、廉価
 化には期待すべきだと思います。でも、小型分散化は反対です。

>実際に摂取量が減ってきていることが明らかな以上、日本人の健康
>維持を根拠とする限り、ダイオキシン対策は特に急ぐ必要はない・・
・ダイオキシン類対策は急ぐべきだと思います。過去への反省の意味も
 あります。

>ダイオキシン対策も、ゴミ焼却対策一辺倒ではいけないことに・・
>一部の農薬やPCBが排出源として疑われていますが例えばPCBの
>処置にもかなりのお金が必要に・・・
・PCBの化学処理が公定法になっても、お金がかかりますが、これは
 国も予算を組むのでこちらに行かなくなることはないです。むしろ、ご
 指摘の農薬が心配ですね。

>大型焼却炉のために莫大なコストを背負い込んでしまうと・・
・おっしゃる通りです。ぼくは小型分散化にも反対だし、大型化にも反対
 です。でも、比べるなら、大型化のほうがまだましだといいたいんです。
 というわけで、基本的には一ノ瀬さんと同じ考えなんですが、小型分散
 化を恐れるあまり、別の答えを選んでしまうんです。

I wrote:
>  ぼくは現場での運転管理に信頼が置けません。役人であれ業者
> であれ、現場の末端までモラルではもちろん、罰則で縛ることすら
> 不可能なのは、現在に至るまで不法投棄野焼きを平然と行う連中
> がまだいっぱいいることからわかります。
一ノ瀬さん wrote:
>  この発言には、実際の現場で働く人々に対する、露骨な蔑視が
> 感じられて、不愉快です。

 ぼくはML上で自分の経験則でモノを言ったり書いたりするのは好みま
せんが、今回は実は経験をもとに書いています。

1)ぼくは毎日、産廃業者相手の仕事をしていて、上記モラルの話は、
  持論というよりかれらの意見の受け売りです。優良業者の集まりの
  社団がありますが、一番苦心しているのが、会員への教育と悪質
  業者対策です。仕事のせいで子供さんがいじめられるなど、見てい
  てかわいそうです。
2)かつてゴミピットに入ってサンプルを取る仕事をしていたころ、現場担
  当者の指示で、なんだかわからないまま、不適正処理の揉み消しを
  手伝わされていました。ぼくだけでなく、同業者も同様の行為を日常
  的にやらされていたそうです。後で自分のしていたことの意味がわか
  って腹が立ちました。これは行政の仕事でしたが。
3)これまでに数十度不法投棄の現場を見、何度かは現場でやくざまが
  いの担当者(?)に脅されました。同僚の仲間は車を壊されました。
  すべて最近のことです。悪質どころではなく、命の危険を感じたことが
  あります。
4)行政関与の廃油処理施設の不法投棄を、海上保安庁の協力で暴露
  したことがあります。そこの所長は行政の天下りでしたが、従業員に
  指示して不法投棄させていました。彼は書類送検されましたが、末端
  よりもこうした偉い悪人の方が、化学的知識があるだけタチが悪いです。
5)友達がごみ処理プラントで働いていますが、蔑視していません。当然
  でしょう。ここについては、ぼくの書き方が悪かったですね。誤解を招
  いてすみません。

>”不法投棄”すなわち、無法を行う人間と、真面目にゴミ処理業務に
>従事する人々を一緒くたにして、見下し、軽蔑した物言いをしている。
>後藤さんが「直接にも間接にもゴミを全く出していない」のならいざ知
>らず、ゴミを排出しているのなら、こういう発言はすべきではありません。

 これは誤解です。分けた上で、「不法投棄野焼きを平然と行う連中
がまだいっぱいいる」という事実を言っているんです。普段優良業者の
方々と毎日付き合っているだけに、悪質業者にははらわた煮え繰り返っ
ている次第です。困るのは無法者が優良業者の5倍はいることですね。

>社会の側が、こういう目と態度をもって廃棄物処分業に接する中で
>は、その業務に従事する人々は、自らの仕事に対する、誇りとモラ
>ルを維持することが困難になります。

 おっしゃる通りです。

>だいたい、「現場の末端の運転管理に信頼が置けない」というのな
>らば、大抵の工場は閉鎖しなければなりません。
>  致死性の毒物を扱う工場は、世の中にごまんとあって、日々”信頼
> できない連中”が作業を行っているのですから。
>  確たる根拠もなく、”信用できない”と主張するよりも、いかにして信
> 頼を置けるようにするか、知恵を絞るべきです。

 この部分もその通りだと思います。

>  私が、ゴミ焼却炉の小型分散に注目するのは、一つには、ゴミ焼却
> 場をより身近なものになれば、市民の監視の目が届きやすくなると
> 期待するからでもあります。
>  運転員も、各地域から雇用すれば、自分自身にも降りかかってくる
> ことで、いい加減なことはしにくくなります。
>逆に、相手が巨大なゴミ焼却プラントとなると、いかに市民が監視の
> 目を光らせようとしても、隅々にまで目を光らせることは、可能でしょう
> か?私は不可能だと考えてはいませんが・・

 ぼくは不可能だと思います。なぜなら、人一倍環境に関心がある自分
でも、たぶん市民として監視できないと思うからです。時間的にも知識・
経験的にも不可能です。環境カウンセラーなどの専門家市民を総動員
しても不可能でしょう。
 残念ながら、小型分散化には、その運転管理をするのが自分だとして
も、いまだもって賛成しかねます。
 ただし、運転員の地元雇用のことは、いいアイディアだと思います。

 前回の自分の反論の仕方はずいぶん失礼な物言いがあったと反省し
ています。

ではまた。

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後 藤   隆 [ Takashi Goto ]
[mailto:takapi-@sf6.so-net.ne.jp]
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