[BlueSky: 1212] Re:1206 ゴミ焼却炉の小型分散・・


[From] "一ノ瀬 威" [Date] Thu, 23 Dec 1999 21:08:22 +0900

 一ノ瀬(尼崎市)です。
 いささか長文になってしまいました。

後藤さん<
 ぼくは現場での運転管理に信頼が置けません。役人であれ業者
であれ、現場の末端までモラルではもちろん、罰則で縛ることすら
不可能なのは、現在に至るまで不法投棄野焼きを平然と行う連中
がまだいっぱいいることからわかります。

 この発言には、実際の現場で働く人々に対する、露骨な蔑視が
感じられて、不愉快です。

”不法投棄”すなわち、無法を行う人間と、真面目にゴミ処理業務に
従事する人々を一緒くたにして、見下し、軽蔑した物言いをしている。
 後藤さんが「直接にも間接にもゴミを全く出していない」のならいざ
知らず、ゴミを排出しているのなら、こういう発言はすべきではありま
せん。

 社会の側が、こういう目と態度をもって廃棄物処分業に接する中で
は、その業務に従事する人々は、自らの仕事に対する、誇りとモラ
ルを維持することが困難になります。

 確かに、そういう中では、仰る通り危険なことも出てくる事になるか
も知れません。
 でも、その原因を作ったのは一体誰なのでしょうか?

 だいたい、「現場の末端の運転管理に信頼が置けない」というのな
らば、大抵の工場は閉鎖しなければなりません。
 致死性の毒物を扱う工場は、世の中にごまんとあって、日々”信頼
できない連中”が作業を行っているのですから。
 確たる根拠もなく、”信用できない”と主張するよりも、いかにして信
頼を置けるようにするか、知恵を絞るべきです。

 私が、ゴミ焼却炉の小型分散に注目するのは、一つには、ゴミ焼却
場をより身近なものになれば、市民の監視の目が届きやすくなると
期待するからでもあります。
 運転員も、各地域から雇用すれば、自分自身にも降りかかってくる
ことで、いい加減なことはしにくくなります。

 逆に、相手が巨大なゴミ焼却プラントとなると、いかに市民が監視の
目を光らせようとしても、隅々にまで目を光らせることは、可能でしょう
か?
 私は不可能だと考えてはいませんが、後藤さんの考えではいかが
でしょうか?


<一ノ瀬<「排出者がゴミの処置(焼却orリサイクルなど)に責任を
持つ」というルールを、社会に定着させる事の方が、将来に向けて重
要では・・>>
後藤さん< 
 そうですが別議題です。

 別議題ではあるけれど、切り離して論ずる事は出来ません。

 ゴミ問題は、優れて社会的な問題です。
 その解決を、「ダイオキシン発生抑制」という技術一辺倒で図れば、
「大型焼却炉しかない」「しかし金がかかって困る」という、袋小路の
議論に陥るしかありません。

 ゴミ処理を、社会の中にどう位置づけるか、という視点を持たなけれ
ば、自分たちが必要とする技術すら見えては来ません。


------以下、各論-------

後藤さん<
 ただ、RDFは最近頭打ち尻つぼみですが、これは、単に住民の反
対が激しいだけでなくて、用途がないままに導入された反省からです。

 私がRDFを持ち出したのは、
「カルシウム添加でダイオキシン発生は抑制される」
事を証すためです。
 文章が拙いために誤解を招いたのかも知れませんが、後藤さんの
コメントを見る限り、カルシウム添加によって、小型炉でもダイオキシ
ンが発生しなくなる、という点については、異論が無いようです。
 そう理解して置いてよろしいのでしょうか?


後藤さん<
 量産するには消耗品の原価が高いし。これはどうしようもないです。

 20年以上前、自動車の排ガス規制が議論されだした時、どの自動
車メーカーだったか、「世界中の白金を、排ガス処理装置に使っても
不足する」から、「不可能だ」「高価すぎる」と主張していたのを思い出
しました。でも、実際には、全然問題なく実現できました。
 ゴミ焼却炉の排ガス処理は、確かに難しい技術ですが、小型化は、
まだ未開拓の領域です。こういう分野では、研究開発の余地は多く
残っているものです。
 後藤さんは、メーカー側の主張を、あまりに鵜呑みにしてしまってい
るように感じられます。


<一ノ瀬<(3)ダイオキシン=ゴミ焼却、は、どの程度本当か?>>
後藤さん<
 摂取源と排出源の問題は分けた方がいいのでは。

 分けるとして、後藤さんは、どちらを重視すべきだとお考えなので
しょうか?
 実際に摂取量が減ってきていることが明らかな以上、日本人の健康
維持を根拠とする限り、ダイオキシン対策は特に急ぐ必要はないこと
になります。

 また、ゴミ焼却量が増えたにもかかわらず、環境中のダイオキシン
濃度が減っていた、ということは、ゴミ焼却以外にも排出源があること
になります。平岡教授が、他に大きな排出源が存在する可能性を、否
定しておられたとは思えません。

 当然、ダイオキシン対策も、ゴミ焼却対策一辺倒ではいけないことに
なります。
 一部の農薬やPCBが、排出源として疑われていますが、例えば
PCBの処置にも、かなりのお金が必要になります。

 大型焼却炉のために莫大なコストを背負い込んでしまうと、PCB対策
が必要となっても「お金がない」という事になりかねません。

 「大型焼却炉」は、そういうリスクも伴います。



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