一ノ瀬(尼崎市)です。
いささか長文になってしまいました。
後藤さん<
ぼくは現場での運転管理に信頼が置けません。役人であれ業者
であれ、現場の末端までモラルではもちろん、罰則で縛ることすら
不可能なのは、現在に至るまで不法投棄野焼きを平然と行う連中
がまだいっぱいいることからわかります。
>
この発言には、実際の現場で働く人々に対する、露骨な蔑視が
感じられて、不愉快です。
”不法投棄”すなわち、無法を行う人間と、真面目にゴミ処理業務に
従事する人々を一緒くたにして、見下し、軽蔑した物言いをしている。
後藤さんが「直接にも間接にもゴミを全く出していない」のならいざ
知らず、ゴミを排出しているのなら、こういう発言はすべきではありま
せん。
社会の側が、こういう目と態度をもって廃棄物処分業に接する中で
は、その業務に従事する人々は、自らの仕事に対する、誇りとモラ
ルを維持することが困難になります。
確かに、そういう中では、仰る通り危険なことも出てくる事になるか
も知れません。
でも、その原因を作ったのは一体誰なのでしょうか?
だいたい、「現場の末端の運転管理に信頼が置けない」というのな
らば、大抵の工場は閉鎖しなければなりません。
致死性の毒物を扱う工場は、世の中にごまんとあって、日々”信頼
できない連中”が作業を行っているのですから。
確たる根拠もなく、”信用できない”と主張するよりも、いかにして信
頼を置けるようにするか、知恵を絞るべきです。
私が、ゴミ焼却炉の小型分散に注目するのは、一つには、ゴミ焼却
場をより身近なものになれば、市民の監視の目が届きやすくなると
期待するからでもあります。
運転員も、各地域から雇用すれば、自分自身にも降りかかってくる
ことで、いい加減なことはしにくくなります。
逆に、相手が巨大なゴミ焼却プラントとなると、いかに市民が監視の
目を光らせようとしても、隅々にまで目を光らせることは、可能でしょう
か?
私は不可能だと考えてはいませんが、後藤さんの考えではいかが
でしょうか?
<一ノ瀬<「排出者がゴミの処置(焼却orリサイクルなど)に責任を
持つ」というルールを、社会に定着させる事の方が、将来に向けて重
要では・・>>
後藤さん<
そうですが別議題です。
>
別議題ではあるけれど、切り離して論ずる事は出来ません。
ゴミ問題は、優れて社会的な問題です。
その解決を、「ダイオキシン発生抑制」という技術一辺倒で図れば、
「大型焼却炉しかない」「しかし金がかかって困る」という、袋小路の
議論に陥るしかありません。
ゴミ処理を、社会の中にどう位置づけるか、という視点を持たなけれ
ば、自分たちが必要とする技術すら見えては来ません。
------以下、各論-------
後藤さん<
ただ、RDFは最近頭打ち尻つぼみですが、これは、単に住民の反
対が激しいだけでなくて、用途がないままに導入された反省からです。
>
私がRDFを持ち出したのは、
「カルシウム添加でダイオキシン発生は抑制される」
事を証すためです。
文章が拙いために誤解を招いたのかも知れませんが、後藤さんの
コメントを見る限り、カルシウム添加によって、小型炉でもダイオキシ
ンが発生しなくなる、という点については、異論が無いようです。
そう理解して置いてよろしいのでしょうか?
後藤さん<
量産するには消耗品の原価が高いし。これはどうしようもないです。
>
20年以上前、自動車の排ガス規制が議論されだした時、どの自動
車メーカーだったか、「世界中の白金を、排ガス処理装置に使っても
不足する」から、「不可能だ」「高価すぎる」と主張していたのを思い出
しました。でも、実際には、全然問題なく実現できました。
ゴミ焼却炉の排ガス処理は、確かに難しい技術ですが、小型化は、
まだ未開拓の領域です。こういう分野では、研究開発の余地は多く
残っているものです。
後藤さんは、メーカー側の主張を、あまりに鵜呑みにしてしまってい
るように感じられます。
<一ノ瀬<(3)ダイオキシン=ゴミ焼却、は、どの程度本当か?>>
後藤さん<
摂取源と排出源の問題は分けた方がいいのでは。
>
分けるとして、後藤さんは、どちらを重視すべきだとお考えなので
しょうか?
実際に摂取量が減ってきていることが明らかな以上、日本人の健康
維持を根拠とする限り、ダイオキシン対策は特に急ぐ必要はないこと
になります。
また、ゴミ焼却量が増えたにもかかわらず、環境中のダイオキシン
濃度が減っていた、ということは、ゴミ焼却以外にも排出源があること
になります。平岡教授が、他に大きな排出源が存在する可能性を、否
定しておられたとは思えません。
当然、ダイオキシン対策も、ゴミ焼却対策一辺倒ではいけないことに
なります。
一部の農薬やPCBが、排出源として疑われていますが、例えば
PCBの処置にも、かなりのお金が必要になります。
大型焼却炉のために莫大なコストを背負い込んでしまうと、PCB対策
が必要となっても「お金がない」という事になりかねません。
「大型焼却炉」は、そういうリスクも伴います。
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