[BlueSky: 1200] 1199 ゴミ焼却炉の小型分散


[From] "一ノ瀬 威" [Date] Mon, 20 Dec 1999 02:52:39 +0900

一ノ瀬(尼崎市)です。

<一ノ瀬<
 ゴミ焼却炉についても、小型分散のメリットが・・・>>
後藤さん<
 どうでしょうか。確かにごみ焼却の押し付け合いは回避できるかもし
れませんが、小型焼却炉からのダイオキシンの発生は、大型のそれを
確実に上回ります。

 後藤さんの指摘する通りで、確かに、確実に上回ると思います。
 が、上回ったとしても、なお、十分に低い排出量を保証できるのであれ
ば、問題ないと考えています。

(1)小型炉だって抑制できる

 例えば、ゴミにカルシウム(生石灰)を混ぜてから焼く、という方法が
あります。
 カルシウム配合の有効性は、RDFで既に実証されています。
 RDFは、あらかじめカルシウムを配合することで、燃焼時に塩素分を
塩化カルシウムの形で不活化させ、ダイオキシンの発生を抑制しています。

 RDFやカルシウム配合ゴミを燃やす場合でも、大型焼却炉の方が
『より完全に』
ダイオキシン発生を抑制することが可能でしょうが、果たしてそこまです
る必要があるのかどうか。

 また、焼却炉の改善という面でも「小型だから出来ない」技術があるよ
うには見えません。

<バグフィルターは高くて小型炉には取り付けられない>
という主張には、賛成しかねます。
 そのままでは無理としても、小型のものを開発して量産できれば、むし
ろずっと安く付けられるはずです。
 また、運転の立ち上げ時と立ち下げ時の中間温度域での燃焼で、ダイオ
キシンが集中して発生することが知られていますが、この対策など、熱容
量の小さな小型炉の方が、容易ではないかとすら思えます。

 要は、メーカー側が、利幅の大きい大型炉の方を作りたがっているだけ
ではないでしょうか?


(2)大型炉に対する疑問

 仮に、私の住む尼崎市に、500トン/日の処理能力を持つ大型焼却炉
を設置したとします。これ一基で、全尼崎市のゴミを焼却出来るだけの能
力があります。
 それはいいとして、人口減少や、各家庭のゴミ意識向上、或いは、一部
地域でコンポスト化(尼崎にだって農家はある)が進んだ結果、ゴミが、
何割か減ってしまったら、どういうことになるでしょうか?

 ガス化溶融炉などのダイオキシン抑制を重視した炉は、連続運転が前提
ですから、ゴミが減ったからと言って、おいそれとは止めるわけには行き
ません。
 無理に、停止と再起動を頻繁に繰り返せば、高価で複雑な設備に、ダメ
ージを与えてしまいます。

 しようがないから、ゴミを集めて回る、あるいは、それでもダメなら、
石炭でもくべるしかない。

 どう考えても小回りが利かない。状況の変化に、対応できないのです。

 この点、小型炉なら問題ありません。
 コンポスト化を決めた地域の焼却炉は止めればいいし、人口が減ったな
らば、運転頻度を減らせばいいのです。
 何より低コストの設備だから、少々稼働率が下がったところで、経済的
にも惜しくはありません。


(3)ダイオキシン=ゴミ焼却、は、どの程度本当か?

 母乳中のダイオキシン濃度は、過去25年間に半分以下に減少していま
す。湖の底質中のダイオキシン濃度も、減少しています。
 焼却炉がダイオキシンの発生源であることは間違いありませんが、焼却
炉が主たる発生源であるならば、ダイオキシンは一貫して増えていそうな
ものです。
 明らかに、ゴミ焼却以外にも大きな汚染源があります*)。
 この状況下で「大型ゴミ焼却炉」に走ることに、どの程度の意味がある
のか、疑問です。

 むしろ、
「排出者がゴミの処置(焼却orリサイクルなど)に責任を持つ」
というルールを、社会に定着させる事の方が、将来に向けて重要ではない
でしょうか。

参考:
*)益永先生 http://www.kan.ynu.ac.jp/~masunaga/CoPCB9911.html


▲前の記事へ ▼次の記事へ △記事索引へ △青空MLトップへ

(注)この記事が最新である場合,上記「次の記事へ」はデッドリンクです。