[BlueSky: 1056] 被曝の危険度


[From] "一ノ瀬 威" [Date] Fri, 29 Oct 1999 11:35:26 +0900

 初めまして。一ノ瀬と申します。

前田@アースバグ号さん[1040]<
10/10ごろのJチャンでも、ホームレスを危険な原子炉のふき掃除に斡旋していたこ
とを取り上げていました。

 ”危険”という形容は、原子力を語る際の、一種の枕詞の様になっていますが、実
際にはどの程度危険なのでしょうか?

 作業員の被曝量が分かれば、健康への悪影響を推定することは容易です。
 でも、実際には、被曝量を調査することすらなく、”危険だ!”と騒いでいることが多
いように思います。
 ふき掃除の話にしても、調べに入れば、誤魔化し様はないはずです。
 が、調べて報道された形跡がない。

 東海村の臨界事故の際には、被曝量については大量の情報が流されましたが、
肝心な、「被曝量−健康リスク」の関係が殆ど報道されませんでした。
 これでは、徒に人々を不安に陥れるだけです。

 1シーベルトの急性被曝による相対リスクは、非被曝者に対して

白血病:5〜10倍
肺ガン:1.5倍
白血病を除く全ガン:1.3倍

程度です。

 これに対して、喫煙者の発ガンリスクは

喉頭ガン:30倍
肺ガン:4倍
全ガン:1.65倍

であって、正確な比較ではありませんが、1シーベルトの被曝と同程度の危険度です。

 臨界停止作業を行った作業員の中で、被曝量が最も多かった方で0.1シーベルトで
すから、喫煙の10分の1程度のリスクしか負っていないことになります。

 このように、実際に数字を追ってみると、私達が日頃抱いているイメージとは全く違
った結果が出てきてしまいます。

 日本は、世界唯一の被爆国であるが故に、被曝と人体への健康被害に関する、直
接的なデータを豊富に供給しています。
 が、私達日本人は、折角のデータに対して、あまりにも無知ではないでしょうか。


*参考資料:
・被曝の発ガンリスク
「人は放射線になぜ弱いか-第3版」(近藤宗平 講談社BlueBacks)p.75
・喫煙の発ガンリスク
http://wwwinfo.ncc.go.jp/statistics/japanese/tables/t09_j.html



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