[BlueSky: 105] 空気中のオゾン濃度について


[From] "Noriaki Ikeda" [Date] Thu, 15 Jul 1999 19:35:39 +0200

皆さんはじめまして。
ドイツ、フライブルク大学で森林学を勉強している池田です。

前からずっと気になっていたことを質問します。
人間、動植物が暮す対流圏のオゾン(光化学スモッグ)についてです。

日本では、この問題はもう解決されているのでしょうか。

空気中のオゾンは、微量でも人体に害を与えたりします(頭痛、めまい、呼吸器の
障害など)。
また、植物の細胞膜、気孔などに害を与え、水分代謝を狂わせてしまうそうです。
森枯れにも大きく関与しているのではないかという仮説も、私が勉強している大学
でよく聞きます。

空気中には微量のオゾンが存在しているそうです。ほとんどは、成層圏のオゾン層
から下にこぼれ落ちてきたものらしいです。しかし、このオゾンは、人間の活動に
よってもつくられるということがわかっています。車の排気ガスの中に含まれる二
酸化窒素です。これが強い太陽光線を受けてうけると一酸化窒素と酸素原子に分解
され、分解された酸素原子が空気中の酸素分子と結合してオゾンがつくられる、と
私の持っている本には書いてあります。

ドイツでは、毎年夏の熱い日になると、オゾンアラームがラジオなどで流されます
。1立方メートルにつき180ミクログラムになると、野外での運動、車の運転を
控えるように、という注意報が流され、240ミクログラムを越えると、その地域
での車の運転が禁止(例外は、商用車、旅行車、農業用車など)されます。これは
国の法律(1995年から)で定められています。

日本でも昔は、首都圏などで警報が鳴らされたと、聞いています。いまは、車のエ
ンジンに取り付けられたコンバーターによって二酸化窒素の排出は抑えられ、問題
はなくなったように見受けられますが、実際にそうなのでしょうか。首都圏などで
は、夏の暑い日、どれくらいのオゾン濃度が測定されているのでしょうか。もしご
存知の方がいましたらおしえてください。

ドイツでは、臭い排気ガスを出すかなり昔のぼろぼろの車もよく走っています。こ
ういう事が影響しているのでしょうか。

私の大学のある教授が言っていました。いくらコンバーターをつけていても、ふか
して走っていれば、たくさんの人が運転すれば、同じ事。空気中の二酸化窒素の濃
度は、昔とほとんど変わっていないそうです。

60年代、70年代に問題だった、工場から出る二酸化硫黄がもとになってつくら
れる硫酸を含む酸性雨による森林被害は、工場の排出規制によって、ここ黒い森で
は、ほとんど解決されているそうです。しかし、一般車から出る二酸化窒素によっ
て作られるオゾン、二酸化窒素がもとで作られる硝酸を含む酸性雨による森林被害
は、まだほとんど解決されていないそうです。


池田憲昭

Noriaki Ikeda
Peterbergstr. 31
79117 Freiburg, Germany
tel/fax. 0761/4002053
email. ikeda@uni-freiburg.de


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