[BlueSky: 1012] Re:1011 環境社会学会


[From] 溝内 辰夫 [Date] Wed, 13 Oct 1999 21:35:53 +0900

宮内先生、すいません。
溝内です。このような状況になるとは・・・・・

実は関さんからいただいたコメントについて返信しようと思っていたのですが、関さんも青山さん
と同じ状況になっているなというようなことを思っていました。それは、宮内先生が指摘されたこ
となのです。要するに青山さんが言うような規制値を境にした議論は本来環境アセス前に不許可に
なっているものであり、アセスにかかるものは基本的には定量化できないものだ。それに対して定
量化を試みることはまたしても大切な何かを捨象することにつながり、同じ過ち、不毛な議論を繰
り返すだけだとおしゃっている思いました。また私も廃棄物処理施設の住民合意を担当していた経
験からも寺田さんと同じような思いをもっていたので、その分共感できたのだと思います。多分異
論があると思うのですが、私も寺田さんも体制派ですから、立場上精一杯の自分自身の納得の仕方
だと思います。まさか寺田さんも私も実は法律すら守られていないんだよねとは言えませんから、
遵守前提(すなわち法的には事業前提の状態)で話し合う(アセスを行う)。但し、話し合いの過
程で地域固有の価値とか伝統、言い伝えとか言った全日本ではともかく当該地域にとっては絶対的
なものがある場合は、すべての利害関係者が納得のうえで事業撤退もありうるということだと思い
ます。

まさかこのような形で宮内先生とお会いできるなんて思っていませんでしたので、質問させていた
だいて宜しいでしょうか?

先生は北海道の事例で公園という極めて限定された、しかもそこに住んでいる人が居ない等という
ような言わば日常生活と隔離された場所を用いて、環境自治につながるであろう先駆的な取り組み
として紹介されたあと、地域という言葉を使い、環境自治を説いておられたと思うのですが、ここ
で言う地域とはどのような地域なのでしょうか?例えば、行政単位なのでしょうか、事例のような
公園レベル(町内会単位)なのでしょうか、それともバイオ・リージョンで言うような地域なので
しょうか?
おそらく地域というものは問題の大きさや関係者の関わりなどの運動?のようなものがあって初め
て限定されるものであり、問題の立て方によっては当然地域割も違うだろうし、地域が重なり合
う、または内包されたりする場合もあると思うのですが。要は多様な主体が多様な目的により、
必要に応じて協力しあうと言ったイメージでしょうか?
で、その目的が異なる(あるいは目的が同じでも方法論が違う)グループ間を調整するシステムが必
要だということですよね。だから、今回の事例はある地域(ここでは行政単位とイコール)での公
園をよりよいものにするという目的が同じだけど、行政的な(グローバル・スタンダード)方法で
はなく、ローカルな方法が代案として提案され、結果的に採択されたと言うことなのでしょうか。
で、私が宮内先生の報告を割愛させていただいたのは、寺田さんも私も間違いなく事業者側(なん
だか知らないけどいつも悪者扱いされているような被害妄想がありますが)の人間だから、なんと
なく住民の主張はいつも正しいのかい?と言う思いがないわけではありません。(でも、実際問題
として、役所や企業が悪い場合が往々にしてあることは確かですけど)

でも、先生の2つの問題提起は正しいと思います。
でもでもいくら笑いをとる役人でもその部分は言えないのですよね。
(すごく寺田さんのお気持ちはわかります。私も住民の前で説明するときは遵法前提でしか話せま
せんから。ただ法的要求事項以上については聞く耳を持たないではなく、真摯に聞いて対応すべき
は対応し、出来ないものは根拠を示して出来ないと言う事業者の姿勢、それとこちらの都合から言
わせてもらえば、住民側もこれは法的要求事項を越えた部分であり、対立ではなく協働してよりよ
い事業とするための話し合いだという自覚も必要です。でも、大前提としておっしゃるように法律
の基準が少なくとも欧米先進国なみで、且つ遵法であることが担保されていないとなりません
が。)

ではでは。(長くなりました。すいません。)

----- Original Message -----
From: Taisuke Miyauchi <miyauchi@reg.let.hokudai.ac.jp>
To: <bluesky@sv2.humeco.m.u-tokyo.ac.jp>
Sent: Wednesday, October 13, 1999 7:28 PM
Subject:1011 Re:1004 =?ISO-2022-JP?B?GyRCNEQ2LTxSMnEzWDJxGyhC?=


> はじめまして。
>
> 宮内泰介@北海道大学と申します。開発社会学・環境社会学を専攻しています。
> 中澤さんの紹介で少し前にこの MLに登録させていただきました。
>
> > (その他、所沢のダイオキシンで一躍有名になった青山貞一さんや北大の先生が報告されてい
まし
> > たが。それは割愛します)。
>
> と溝内さんに割愛された(^^)今回の環境社会学会の報告者の一人です。
>
> 環境庁の寺田さんが報告された新しい環境アセスの理念をめぐって少し議論があ
> るようですが、私の受けた印象は、以下のようなものです。
>
> 寺田さんの説明された現在のアセスの力点は、溝内さんが [BlueSky: 992]で正確
> にまとめてらっしゃる通りで、よりまっとうなアセスとして評価できるものです。
> で、問題はこの先だと思うのです。(1)「絶対的に守るべきもの(規制法の範囲)」
> が日本の場合十分なのか(これが十分でなければ元も子もない)、(2)その事業
> 自体への住民の権利はどこで保証されるのか。
>
> (2)の部分が、私も含めて残りの2人のパネリストが論じたところで、それはア
> セスの範囲ではないとたぶん寺田さんは(環境庁は)おっしゃるわけですが、そ
> れはそうとして、じゃあどこで保証されるのか、という問題は相変わらず残って
> しまう。ここがやはり問題だということです。
>
> 寺田さんが主張されていた通り、藤前干潟などの例は、アセス云々以前の話で、
> アセスで計画が止まるというたぐいの話では本来ない(あってはいけない)。じゃ
> あ何なのか、がアセス以前に(アセス法以降に)論じるべきところだと思います
> (ということで少し私も論じたわけですが)。寺田さんはそこに関しては、「議
> 会制民主主義」を言うのみで、会場にもその点不満が残ったように思えました。
>
>
> ---------------
> 宮内泰介
> miyauchi@reg.let.hokudai.ac.jp
> http://reg.let.hokudai.ac.jp/miyauchi/
>
>
>


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