[BlueSky: 783] Re:776 遺伝子操作で賢いマウス誕生!


[From] can32960@pop07.odn.ne.jp (yuichiro) [Date] Mon, 6 Sep 1999 23:46:50 +0900

こんにちは、小宮です。

中澤さん、補足ありがとうございます。「BRAIN VALLEY」
とは何のことだろう?と思っていました(面白そうなので、
読んでみようと思います)。

>Brain Valleyというのは,瀬名秀明さんの小説で,先進国共同の
>脳科学の巨大プロジェクトを通じて脳とは何か,人間とは何か,
>神とは何か,と問いかける傑作SFです。作中,プロジェクトの
>アイディアの一部として,NMDAレセプターを過剰発現させたマウス
>の知能が向上し,感情を通わせ合うとかいう場面が出てくるのです。
>NMDAの中でも違うレセプターではありますが,実によく似ています。
>小宮さんのおっしゃる通り,現実が小説に追いついたかのような
>印象を受けました。

>著者たちが,論文の最後に「この研究はまた,知性や記憶を強化した
>遺伝子組換え哺乳動物を作るための前途有望な戦略を明らかにした」
>などと言っているのが,ちょっと怖かったです。

本当に小説と同じことが現実のものになったんですね。この
論文の言葉からすると、将来はいろいろな動物に応用される
ようになるのでしょうか?ペット用の犬や猫の知能を増す、
とか、特殊な技能を必要とする動物(警察犬や狩猟犬、盲導犬
等)を育成するために遺伝子操作を行う、とかいったことに
需要があるような気がします。

しかし、実際どこまで賢くなるものなのでしょうね。高等哺乳
類なら、言葉を理解できるぐらいにはなるかもしれません。
そうすると、将来、理性を持ったイルカとか、自己の存在に
ついて悩むチンパンジーとか、人生に絶望して自殺するゴリラ、
とかいったものも生まれるのでしょうか(ここまでくると、小説
というより漫画の世界ですが)。こうなると、人間とは何か、
動物とは何か、という考え方が、根本から変わってしまうで
しょうね。

>脳の病気の治療に
>使うという大義名分のもとに,人体に応用されるのも時間の問題かと
>思われますが,人間の客体化を進めることになり,ますます自己を
>失うような気がするので,ぼくは反対です。

僕も全く同感です。僕は一人一人の個性を決めるのは(個人の
アイデンティティの源は)、その人の思考、ものの考え方や感
じ方だと思います。よくは分りませんでしたが、NMDAレセ
プターの亢進により認知能力が高められる、ということは、
人間に適用された場合、その人本来の感じ方や考え方も
変わってしまう、ということになるので(「アルジャーノン」
でもそうでしたね)、遺伝子操作によって個人の人格というも
のが変えられてしまう、ということになると思います。こう
なると、本当に人間の存在とは何なのか、という問題になって
くるでしょうね。

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yuichiro komiya (小宮祐一郎)
e-mail:can32960@pop07.odn.ne.jp


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