[BlueSky:06863] Re: 『東京原発』は確かに傑作でした


[From] Minato Nakazawa [Date] Sun, 31 Jul 2011 12:16:18 +0900

和尚さん,皆さん:

中澤です。おはようございます。今朝は町のラジオ体操&講演の草取りを
やってきました。このところ雨が多いので草を取りやすかったのは良かった
のですが,たっぷり水を含んでいるので取った草を入れた袋が重くて大変でした。
この戻り梅雨のような天気はいったいいつまで続くんでしょうね。
# と思っていたら,昼前から青空と夏の陽射しが戻ってきましたが。

さて本題。

『東京原発』については,3月末にblogで紹介されている方がいました。
http://newsfromsw19.seesaa.net/article/192878523.html
ダムとかと同じで,推進してきた人たちの愛着(利権もあるでしょうが)
という問題も大きいのではないかという気もします。

> 最近知ったのですが、この問題の根源は純粋な経済問題ではないのです。
> 戦後すぐから、既に始まっていた我が国の世界一等国再回帰にはどうしても
> 原子力技術が不可欠だと考えた人々が居たということです。そのために日本は
> せっせとプルトニウムを製造し続けてきたと言うわけです。使用したウラン
> の量が分かれば、製造されたプルトニウムの量も計算できるはずです。現有量
> とかなり大幅に合わないのではないかと強く感じています。
宮台真司×飯田哲也『原発社会からの離脱:自然エネルギーと共同体自治に
向けて』講談社現代新書,2011年6月20日刊を読んでいるのですが,
p.13に,宮台氏の発言として,『最近,京都大学の小出裕章さんなどが
仄めかされるように,原子力推進の口実もしくはきっかけとして,「核兵器,
核武装の可能性について余地を残しておきたい」という理屈や心理がどこかで
機能しているのかどうか。飯田さんはどう思われますか。』とあって,
そこに飯田氏が答えて『その意見にはあまり賛成できません。確かにそういう
ことを言う政治家もいますが,それが日本の原子力政策のメインストリームに
影響を与えていることはない。ただ,そうとでも考えないと理解できないような
異常さ,非合理的な側面があるということだと思います』とありました。

飯田氏は京都大学の工学部原子核工学科卒で,かつて神戸製鋼で原発担当
業務を一人何役もしていた,「原子力ムラ」のインサイダーだった過去が
ありつつ,現在は自然エネルギー推進の先陣を切っている人なので,
「原子力ムラ」の内情がいろいろわかって恐ろしくなってくる本です。
その飯田氏が,『それはメインストリームではない』というのですから,
あるとしても,まさしく「……と考えた人々が居た」というレベルなの
だと思います。

> 私個人は、昔からそうでしたが、この機会にもう一度、自然と共生し、多様性
> を楽しみ、異なった価値観を慈しむ。だから「生きている間に、一度は日本と
> いう極東の貧しくも豊かな国に行ってみたい、そこに住む人々の生きざまに触
> れてから死にたいものだ」そう言われる国になってほしいと願っています。
ぼくもそう思います。

> そして、そのための行動をしています。
こちらは,お恥ずかしいですが,日常の仕事に埋没してしまって,あまり
できていません。
この関連で,前掲書で飯田氏が『普通の人が普通に変われることがないと,
絶対に世の中は変われない。』(p.81)と発言されていたのには,自分に
できることをやっていけばいいのだ,と思えて勇気づけられました。
鎌田實さんの本のタイトルではありませんが,「なさけないけど
あきらめない」とか「なげださない」といった姿勢が大事だと思っています。
# このMLとの関わりもその一つのつもりです。

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Minato NAKAZAWA, Ph.D., Associate Professor,
Dept. Public Health, Grad. School Med., Gunma Univ.
Phone/FAX +81-27-220-8011
[web] http://phi.med.gunma-u.ac.jp/
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