[BlueSky:06632] Re: 田舎を世界遺産に


[From] 酒井千富 [Date] Fri, 11 Aug 2006 10:09:06 +0900

大塚さん
皆さん

ゆっくりとした議論,大歓迎です.
環境問題はゆっくりしていられない気もしますが(^^ゞ
なにしろ,継続していかなければd(^-^)ネ!

>  大変興味深いお話です。一関に行ったことはないのですが、もう少し北側の花
> 巻〜遠野の間(鱒沢, 宮守)に調査に通ったことがあります。遠目の雰囲気は一
> 関と似ていると思います。

遠野のお話が出たので,こちらについても
遠野に蓮池川(はせきかわ)という農業用水がありまして
カッパ淵で有名な川です.
ところが,最近ではカッパ淵に土砂が堆積してしまい
淵ではなくなっています(^^ゞ
地元では,カッパ淵を再現しようとする運動が始まっています.

私は岩手の友人(彼も環境共生型土木を目指している)に
誘われて地元のイベントに参加しました.
地元の人たちと話していて感じたのですが,どうも,淵の
再生を公共事業としてやってもらいたいらしいのです.
土木技術者として水理学的に淵を造る工事の提案は可能ですが,
(カッパ淵を見学して,こういう風にしたら淵になるかも,
ぐらいは話してきました.)
それ以前に蓮池川の利用形態が変化しているのが原因ではないかと
言ってきました.すなわち,上流部で水路改修を行ったため土砂が
滞留せずカッパ淵に流れ込んでしまう等々.

地元では,水路の上流端に土砂貯めを造ることを要望している
ようですが,土砂貯めが一杯になったら同じことです.
農業用水ですから,人が常に管理していることが前提ですね.

まぁ,ここカッパ淵では土地改良区などの権利関係が複雑で
簡単ではなさそうです(^^ゞ
(上流の土地改良区の人たちに,昔のように土上げをしてくれ
とは頼めないそうです.)
さて,どうしたものか・・・


>  当時の印象を一言で表せば「日本の正しい田舎」です。
>  私の「田舎」の記憶は、父の実家がある阿蘇外輪山の北側の盆地(近年脚光を
> 浴びている黒川温泉の近く)が基本ですが、杉の人工林が多い父の田舎よりも、
> ブナをはじめとした広葉樹が多い岩手の里山の方が、緑が明るく他の生物の気配
> も多く感じて親しみが持てました。

遠野も先に書いた本寺も,田舎特有の人間関係(権利関係)が
残っていて,土地改良事業等が進み辛かったところのようです.
そのため,環境が保全されていたのかもしれません.
今,こうした田舎も少子化,後継者不足,経済格差で喘いでいます.
人手不足のため,林道の草刈りができず除草剤を使う山村が群馬にも
あります.
「正しい田舎」も「豊かな森林」も,経済的に自立しなければ
持続出来ない社会になっています(;_;)


>  とりとめがなくなってしまいましたが、そのような風景が世界遺産として登録
> されるということはとてもすばらしい事だと思います。これをいかにして地域の
> 生き残りにつなげるか、また情報がありましたら教えてください。

本寺では,凍結保存を地域住民が選択しました.
國學院大學の先生(歴史地理学)は,住民が選択したのだから
あとは,住民にまかせるしかないと仰っていました.

ぼくの友人(農業土木技術者)は,文化景観を保全しつつ住民の
要望を酌み取る手段を考えています.経過報告いたしますね.
 
>  土木・公共事業についても近日中に書きたいと思います。

どうぞ,よろしく.

酒井(群馬県在住,土木技術者)




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