[BlueSky:06544] Re: エチゼン クラゲ


[From] "Yamaguchi" [Date] Sat, 8 Oct 2005 07:31:20 +0900

> 詳しいご説明ありがとうございました。大きいクラゲに関しては、
> 切られてどんどん増えるということはないのですね。少し安心
> しました。でも大きくなった固体は既に生殖をすまして死ぬ寸前、
> というのなら、大きいのをどんどん切っていっても、大量発生
> をくいとめる本質的な対策にはならないのでしょうね。難しい
> ところですね。

クラゲの被害とは定置網に大量に入って操業できなくなり、網が
破損することにあるので、とりあえず網のなかに溜まらない大きさ
の断片にすれば当面の対策となるでしょう。

クラゲの大発生の背景を考えると、クラゲになる前の段階である
ポリプ時代の生態を知る必要がありますが、これが難題です。
何しろ小さいので、自然環境で探し出すことがとても難しい。

エチゼンクラゲに限らず、最近では世界的に様々なクラゲたちが
あちこちで増える傾向があります。これは人工的な付着基盤が
海のなかで多く作られていることが原因の一つとなっているとも
想像されています。テトラポッドの防波堤などはクラゲのポリプの
絶好の付着基盤となっていることでしょう(実証のための調査が
待たれます)。

> ハリセンボンのことは全く知りませんでした。ニュースでとりあげ
> られることは目立ちますが、それ以外でもいろいろなことが
> 起こっているのですね。

前回、二〜三年前のエチゼンクラゲ騒ぎの前に数年間にわたって
ハリセンボンの大発生が見られました。エチゼンクラゲと同様で
約50年ぶりの大発生となり、全国的な(オンライン)聴き取り
調査も行われていました。これもかなりのニュースになったと
思いますが、一般人に身近でないことはすぐに忘れ去られますね。

ハリセンボンの大発生と流動分散現象の仕組みはまったく
わかっていません。沖縄では八重山では見られず、沖縄
本島では西側海岸に集中していました。九州以北では、
日本海に流れた集団と太平洋を流れていった集団とが
異なる年度に見られました。稚魚の集団が流れているのです。
これが各地の海岸に打ち上げられていて、砂浜で調査を
していると、砂の中に埋まった死骸の針を踏んで非常に痛い
思いをします。宮崎の南部で一度、高知で一度踏みました。

エチゼンクラゲの流動経路を見ていると、東シナ海がクラゲの
供給源でしょう。つまり、ポリプの大集団があるはずです。
ハリセンボンも沖縄の西海岸沖に出発域がありそうです。
(その産卵場所は沿岸部でしょうが、卵と稚仔が沖合に出て
育つのでしょう)とにかく海の生物の生態は謎だらけです。

山口


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