葛貫です。
> > 衛星映画劇場 「キャラバン」 BS2・後8・00〜9・55
標高何千メートルかのヒマラヤ山脈にある小さな村。
豊かに実った小麦畑の前にして、老人とその孫のこのような会話か
ら始まりました。
老人:これだけの麦で何日、食べられると思う?
孫 :何日だって大丈夫だよ。一生だって平気さ。
老人:この畑全部で、村の者が3ヶ月食べるのがせいぜいだ。
食いつないでいくためには、ここで取れた塩を袋に詰めてヤクに
背負わせ、麦と交換するために定期的に山向こうの町までキャラバ
ンの旅に出なければならない。
そのキャラバンの長(前の長の息子)が急死したためおこる旧世代
と新世代の対立がヒマラヤの圧倒的な自然の中で描かれていました。
この映画の舞台となっている辺境の地では、長老は、自身だけでは
なく村全の生死にかかわってくるリスクテイクな選択をして歩みを
進めていかなければならない。「古さ」の象徴である、かつての長
老が、単に慣習に従うのではなく、経験に基づき、慎重に現状をよ
みとった上で、次世代より大胆にリスクテイクな選択をしていく。
孫の世代(次々世代)をキャラバンに加え、次世代との対立、生じ
た損失を受け止めること等々、ありのままに体験させていました。
今、ちょうど、『「裸のサルの」幸福論』(デズモンド・モリス
新潮新書)を読んでいるのですが、その中の、
変化と挑戦に満ちた創造的生活を営み、努力を向けることの出来る
明確な目標を持っている人々は幸福です。それは、人類が進化して
きた過程に沿った生き方だからです。計画、奮闘、達成、リスクテ
イクが、人生に組み込まれています。(p.27)
という一節とあわせて、いろいろ考えさせられた映画でした。
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