[BlueSky:06394] 生物多様性ホットスポット


[From] SUKA Takeshi [Date] Thu, 10 Feb 2005 10:22:47 +0900

青空メーリングリストのみなさん

保全団体のコンサーベーション・インターナショナル(CI)による
世界の生物多様性ホットスポット(biodiversity hotspots)の追加
選定で、日本列島が選ばれました。
http://www.conservation.or.jp/Strategies/Hotspot.htm
http://www.conservation.org/xp/frontlines/science/02020502.xml
http://www.conservation.org/xp/news/press_releases/2005/020205.xml

(わたしは、数日前に、信濃毎日新聞の紙面の記事でこのことを知り
 ました。)

生物多様性ホットスポットとは、固有種(その地域にしかいない種)
が集中して分布し、その生息環境が特に危険にさらされている場所の
ことです。保全上、優先度の高い地域を特定するための概念で、1988
年に英国の生物学者ノーマン・マイヤーズ(2001年度ブループラネット
賞受賞者)によって提唱されました。

マイヤーズとコンサーベーション・インターナショナルにより、2000
年に生物多様性ホットスポット25ヶ所が選定され、科学誌Natureに
論文がのりました。
http://inbio.byu.edu/Faculty/kac/crandall_lab/courses/zool407/papers/Myers_2000.pdf

今回発表されたのは、その後、4年かけて約400人の科学者が再評価
をおこなった結果で、以前のホットスポットに若干の改訂がなされた
のに加えて、9ヶ所が新しく追加され、全部で34ヶ所になりました。
これらのホットスポットは、地球表面の2.3%を占めるにすぎないの
にもかかわらず、地球上の維管束植物(いわゆる高等植物のことで、
シダ植物と種子植物をふくむ)の50%、陸生の脊椎動物(哺乳類・鳥
類・爬虫類・両生類)の42%がこれらの地域のみに分布しているそう
です。(「地球表面」というのは、海もふくんでいるのではないかと
思います。)

日本以外のホットスポットのなかには、スンダランド(マレー半島から
スマトラ・ジャワ・ボルネオにかけての地域)、ウォラシア(スラウェ
シから小スンダ列島・マルク諸島のあたり)、ニュージーランド、マ
ダガスカル、ブラジルのセラードなど、貴重な生物が数多くみられる
場所として有名な地域がふくまれています。今回の選定で、世界の生物
の多様性を保全する上で、日本列島が特に重要な地域のひとつであると
位置づけられたことになります。

生物多様性ホットスポットとしての日本についての説明はここにあります。
http://www.biodiversityhotspots.org/xp/Hotspots/japan/

外来種、移入種の問題などを考える上でも、重要な視点のひとつになる
のではないでしょうか。

ご参考になりましたらさいわいです。

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須賀 丈(SUKA Takeshi)
〒381-0075 長野市北郷2054-120
長野県環境保全研究所(飯綱庁舎)
自然環境チーム 動植物生態グループ
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