> 限られた調査能力・時間で、歪みをもたらした要因をとらえるには、
> 何を指標にすればいいのでしょう?
死体を調べて死因を分析すること、検死にも意味はあるでしょうが、
資源が消滅、死んでしまう前にもやるべきことが多々あります。
ウナギの場合は海外から別種のシラスウナギの輸入を全面的に
止めるべきでした。これはすでに時遅しで、資源破壊の国際玉突き
スパイラルが疾走状態なので止めることはすでに不可能でしょう。
また、たとえ今になって止めても国際的に構造が出来てしまっていて、
国内措置で何とかなる状態ではなさそうです。
環境省が外国種のウナギを無視していることは在来種のウナギが
どうなっているのか、そして外来種の影響がどうなのか、具体的な
情報が乏しいからでしょうが、そもそも、かなり重要な水産動物で
ある在来ウナギについて、資源生態的な調査研究が十分なされて
きたのかが疑わしいものです。養殖技術研究ばっかりでしたね。
水産資源対象生物が希少になるという異常事態、これがウナギや
ハマグリの日本における現状なのですが、その理由は明白です。
水辺と海辺の環境破壊、そして資源管理政策の破綻です。
在来種の地域集団の遺伝的多様性について、一般認識がまだ
広がっていないので、近隣諸国を含めた地域間の移植放流に
ついて水産行政では歯止めが無いし、環境省は対象外にして
逃げるし、水産生物では今後も当分混乱したままでしょう。
とにかく、一般社会レベルの理解を促すのが先決でしょうね。
具体的な現状、事実の調査研究を進めるしかないのです。
山口正士
903-0213 沖縄県中頭郡西原町千原1
琉球大学理学部海洋自然科学科
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