[BlueSky: 622] Re:617 遺伝子組み替えと農薬


[From] Minato Nakazawa [Date] Fri, 27 Aug 1999 11:10:04 +0900

中澤@東京大学人類生態です。こんにちは。

(件名:[BlueSky: 617] Re:574 遺伝子組み替えと農薬に於て)
Fri, 27 Aug 1999 00:51:05 +0900頃,yuichiroさん:
> しかし、本当にこれから日本がこのような「環境収容力に
> あった」社会になるかについては、僕はかなり悲観的です。
> 結局は大量生産型システムの方が経済的に有利ですから、
> これからも、大量生産型の農業のシステムはますます加速
> されるでしょうし、地方の小さな農家は潰れていくばかり
> のような気がします。
天才投資家と呼ばれるジム・ロジャーズが,恋人と二人,バイクで
世界一周をして各国の状況を書いた本「21世紀<この国が買い,
この国が売り>天才投資家の世界バイク紀行」(講談社文庫※)
を最近読んで思ったのですが,計画経済として環境収容力にあった
農業に補助金を出すようなやりかたでは確かにうまくいかない
かもしれません。ロジャーズ氏が指摘する最大の問題点は,
計画経済,産業保護的なやり方だと,国際競争力がなくなる
こと以上に,生産者に向上心がなくなることだそうです。

※下記URLに書評を書きました。
http://sv2.humeco.m.u-tokyo.ac.jp/~minato/cgi-bin/bookres/19990826135651.html

しかし,無農薬無肥料のコメが高く売れることで採算がとれて
いるという現実データ([534], [543])がある以上,産業保護
でなくて,消費者が自主的に高くてもいいものを選ぶようになれば
(まあ,「いいもの」の定義は難しいですが),うまくいく可能性
だってあります。いかに消費者の当事者意識を昂揚させるか,に
かかっているのではないでしょうか。コンピュータでいうと,
Microsoftみたいに特許で固めた巨大商品を大量宣伝して売る
やり方は,使用者に参加意識がないことを前提として成功して
いますが,Linuxがオープンソースでも有効にバグとりがされて
改善が進んでいるのは,使用者が主体的に参加したからでしょう。
食に関しても同じことがいえないでしょうか?

=====
Minato Nakazawa, Ph.D. <minato@sv3.humeco.m.u-tokyo.ac.jp>
Department of Human Ecology, Univ. Tokyo
●灰谷健次郎「天の瞳 幼年編」角川文庫,を昨夜読んで感動中。
(教育とは何か,考えさせられます)


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