[BlueSky:06000] Re: 都心の温暖化


[From] SUKA Takeshi [Date] Mon, 26 Jul 2004 20:14:17 +0900

みなさん
         ごぶさたしています。須賀です。
 
つづいていた大きな仕事が一段落したので、しばらくマレーシア
とベトナムを旅行してきました。むこうのテレビの天気情報でも
みましたが、ここのところ日本はずっと暑かった(というより
ゲンゴロウさんの表現によると熱かった)ようですね。ボルネオ島や
ボーチミン市(サイゴン)でも汗をたくさんかきましたが、東京や
大阪にいるよりはずっとましだっただろうと思います。

葛貫さん:
> 今年の酷暑や集中豪雨をもたらしているのは、「中央部太平洋の暖
> かな水塊」なのだそうです。

> 「今年の夏はどうしてこんなに暑いの?」
> http://www-aos.eps.s.u-tokyo.ac.jp/~yamagata/summer2004.html

この記事のなかに、「<エルニーニョの前駆症状>のようなもの」と
日本付近の夏のあつさとの関係が解説されていますね。今回ボルネオでは
サラワク州にあるランビル国立公園というところに行ってきました。

ここは日本人の熱帯雨林研究の観測拠点があることで有名なところです
が、ここでおこる樹木の一斉開花とエルニーニョ現象との関連が論じら
れているのをきいたことがあります。わたしは今回はじめてここを訪問
したのですが、滞在している日本チームの研究者や学生のみなさんに
たいへんお世話になり、ここに研究用に設置されているツリータワーや
樹冠の観測用ウォークウェイを歩いたり、クレーンに乗せていただいたり
しました。高さ80mのクレーンから見下ろす熱帯多雨林の樹冠の姿は
すばらしかったです。ちょうど天気がよく、はるか遠くに東南アジア島嶼
部の最高峰キナバル山ではないかと思える山影がみえるほどでした。
地図でみると、ランビル国立公園とキナバル山のあいだは350km以上
はなれています。しかし、国立公園のまわりは二次植生にかこまれて
いて、多くの動植物にとってはこのような保護地域が島状に残された
生息地になっていることも事実だろうと思います。このランビル国立公園
で国際的なチームによっておこなわれている研究やそのトレーニングは
たいへん興味深いものですが、その成果をつうじてひとびとの意識をかえ、
保護地域の外もふくめて社会と自然のあいだに持続可能な関係をきずく
というのは、迂遠とも思える長いみちのりを歩むことだなあ、とここでも
あらためて感じました。ただ、サラワク州はエコツーリズムに力をいれは
じめているようで、そのキャンペーンの広告を、この前後におとずれた
クチン市でもミリ市でも目にしました。すべてが同じ方向にむかっている
わけではないのでしょうけれど、またすべてが順調につながっているとは
かぎりませんが、ともかくなにかがゆっくりと動いているのを感じました。

ゲンゴロウさん:
> 人が家でエアコンを利用するのは、暑いからという理由だけ
> でなく、土ぼこりが、きれいな家の中に入ってくるのを避けたり、
> 精密機械をホコリから守るためだとは、以前、ここに書いたこと
> ですが、車のエアコンも、やはり愛車をホコリから守るためで
> もあるようです。

これを拝読して思い出したのは、ベトナム南部の中心地、ホーチミン市
(サイゴン)のことでした。ここには5年前にも行ったことがあるのです
が、あいかわらず、ものすごい台数のバイクに圧倒されました。ほとんど
は2人乗りで、なかには3人、まれには4人が1台に乗っている場合すら
あります。集計したわけではなく、直感的なあてずっぽうですが、平均
乗車人数2.3人、とわたしはみました。もともと信号が多くないところです
が、信号のあるところでは、それが青になった方向から一度に数十台、
草原のバッファローかヌーの群れのように、どどどっと走りでてきます。
ヘルメットをかぶっているひとはほとんどおらず、多くのひとは、野球帽
をかぶり、口をマスクや布でおおっています。ものすごい排気ガスのにおい
がします。これが沢木耕太郎や開高健の文章で有名なサイゴン川のほとり
に立つ由緒あるマジェスティックホテルの屋上のバーから夜見ると、
川面を行き交うホタルの光のようにもみえる。その喧騒とにおいはその屋上
のバーまでわきあがってきますので、ゴージャスで文学的なムードばかり
が感じられるわけではないのですが。

気になったのは、4輪の車が5年前より増えたように思えたことでした。
サイゴン市内からメコンデルタに向かう国道1号線は道幅が片側2車線
両側で4車線にひろげられ、立派な橋もかかって、スムーズに流れるように
なっていました。しかし、サイゴン市内はこれからどうなっていくので
しょうか。

開高健はベトナム戦争の作品を書くとき、マジェスティックホテルのサイゴン
川に面した部屋に泊まっていたそうです。わたしもそれとは別ですが、同じ
ようにサイゴン川に面した部屋に泊まりました。東南アジアの宿では(かなり
の安宿を別として)クーラーががんがんにきいていることが多く、わたしは
それがスキでないので、そういうホテルに泊まるときには冷房をきることが
多いのですが、マジェスティックホテルのサイゴン川に面した部屋ではこれは
だめでした。すぐ下にある川べりの広い道をまる1日中(夜も)ひっきりなし
バイクや4輪車が走りつづけ、部屋のなかが排気ガスでくさくてたまらなく
なるのです。クーラーをつけると、すこしにおいが薄まるのですが、なやんで
しまいました。1920年代のアール・デコ?様式を今につたえるという由緒ある
建築のすきまだらけの構造だからこそ、こういうことになってしまうわけです。

雑談ばかりですいません。

ゲンゴロウさん:
> P.S.
> 明日から、ちょっと、軽井沢やら黒部やら上高地へ行こうかな
> と思っています。ほんとは北海道に行きたかったけど、ダメだった。
> 北海道なら釧路畜産大。長野なら須賀さんの研究所。。
> 去年は、森林の話で、つい、高知の須崎庁舎に。
> やっぱ、迷惑だろうから、、やめとこ。

もう今からではまにあわないかもしれませんが、迷惑ではありませんので、
もしよろしければぜひいらしてください。アクセスが不便だし、それほど
面白い場所でないのが難点ですが。きのうの夜中に帰ってきたところで、
ご返事がおそくなってしまってすみません。

今度の週末は、ひろく施設公開する日になっておりますので、もしご興味の
おありの方がほかにもいらっしゃいましたら、ぜひお越しください。わたし
は、31日(土)の朝から夕方までと、1日(日)の午前中います。案内を
以下につけます。ホームページにある地図もあわせてご覧ください。

http://www.nagano-eikouken.or.jp/topic/shokai16.htm

******************************
■◇■◇■◇ 環境保全研究所 飯綱庁舎 施設公開 ■◇■◇■

夏の暑い一日をさわやかな飯綱高原で過ごすのはいかがでしょうか。
楽しく、ためになる企画を用意してお待ちしております。どうぞ
お気軽にお越しください。

日時 7月31日(土)〜 8月1日(日) 午前9時 〜 午後4時

場所 長野県環境保全研究所 飯綱庁舎(長野市北郷2054-120)
電話 026-239-1031 Email kanken-shizen@pref.nagano.jp
ホームページ http://www.nagano-eikouken.or.jp/

● 自然生態園エコクイズラリー(随時受付)
今年度完成した自然観察路(延長約2km)に飯綱高原の自然に関する
クイズ旗門を設定。10問すべてに正解した方には、すてきな記念品を
差し上げます。

● 夏休みけんきゅう相談会
小学生の自由研究から一般の自然研究まで、データのとりかた、まとめ
かたについて専門スタッフが相談にのります。

31日  むし(須賀)・けもの(岸元)・しょくぶつ(川上)
    さかな(北野)・ひとと自然(浦山)・おんだんか(浜田) 
1日  とり(掘田)・かぶと、くわがた(前河)・しょくぶつ(尾関)
    石や地質(富樫)・自然とくらし(畑中)・森の手入れ(中村)

● 展示コーナー
信州の自然環境、研究所の事業や成果について、わかりやすく解説します。

「信州の水辺のいきもの」(清水義雄 写真展)
「絶滅のおそれのある長野県のどうぶつ」(パネル)
「野生生物との共存をめざして」(パネル&模型)
「信州のさかなたち」(山の上のミニ水族館) などいろいろ

※なお、展示は平日(月〜金)および夏休みの日曜日(7/25、8/8、8/15)
 にも公開します。



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須賀 丈(SUKA Takeshi)
〒381-0075 長野市北郷2054-120
長野県環境保全研究所(飯綱庁舎)
自然環境チーム 動植物生態グループ
Tel: (026)239-1031 Fax: (026)239-2929
E-mail: suka-takeshi@pref.nagano.jp


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