[BlueSky: 5886] Re:5882 農薬などの河川への流出について


[From] "Yamaguchi" [Date] Tue, 9 Mar 2004 15:58:50 +0900

須賀さん

> 具体的にどうすれば、このような状況を、もっとのぞましい方向に
> 変えることができると、山口さんご自身はお考えですか?

最初の話から逸脱ですが、根源は同じですからよしとしましょう。
合法的に進められている行政の行為、特に国がやっている結果で
海辺の自然環境を痛めつけた状態が子孫に残されようとしている事、
と見て、それをどうしたらよいかという問いと受けとめます。

NACSJみたいな、きれい事のただの「事業反対」運動は役に
立つかどうか知りません。相変わらず、「希少な」ものが「貴重」で
それの保護が大切という論法ですね。「自然保護」という言葉は
誤訳されてできたものと考えていますが、自然は「保護」の対象
ではないというのが私の考え方です。何が人間の持続的な生存
にとって気持ちがよい環境であるかを考え、その中で海を視野から
外さないでください、というのが私の基本的なスタンスです。

トカゲハゼを養殖して放流する事業がこれまで長年継続されていて
周囲の学生たち多数を養ってくれましたが、これも公費の無駄遣い
であると思います。海で生息環境がほぼ完全に破壊されてしまった
動物を「保護」してどうなるのか、理屈がわかりません。日本でここに
しかいないから「希少で貴重」だから保護、というパターンですが、
この魚を特別扱いして何かしら自然保護対策をやっていると埋立て
事業者が言い逃れする材料に使われているだけですね。海草の
移植も基本的に同じパターンです。最近は、悪乗りしてオカヤドカリ
の里つくりまでが公共事業です。沖縄の釣具屋ではこの「天然記念
物」君たちが釣り餌として販売されているのですよ。
http://www.cc.u-ryukyu.ac.jp/~coral/Monologue/Ahman.htm

浅い海をむやみに埋立てることは、水産資源破壊につながるので
控えるべきことですが、沿岸水産資源に依存しているはずの漁業
協同組合が埋立補償金で赤字経営を解消するような依存構造が
できています。このような構造的な負のフィードバックを食い止める
ためには根本から何がどうして悪いのかを見極める必要があります。
国費をぶち込んで、高率補助事業をやるようなシステムが病原です。
事業をする理由が後からついてくるような姿は不健康です。

山口


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