[BlueSky: 5868] Re:5867 農薬などの河川への流出について


[From] "Y.kuzunuki" [Date] Fri, 05 Mar 2004 11:20:14 +0900

山口さん、こんにちは、葛貫です。

沖縄の沿岸域の水生生物に農業が与える影響というと、今迄、目に
してきたのは、赤土流入問題に関する文献がほとんどでした。

水生生物への農薬の影響を考える場合、水に溶けた状態で水域へ流
れ込み、食物連鎖に入る経路と、土に吸着されたかたちで流入し、
干潟域を始め周辺水域に沈殿・堆積し、堆積物を食べる生物により
食物連鎖に入る経路に大別されると思うのですが、MEPやDCMUは、
水と堆積物、どの位の配分で水域に入ってくるのでしょう?
小型甲殻類は何を餌にしていて、水と堆積物、どちらの影響を受け
やすいのでしょう?
分解される速度は?
堆積物から水へ溶出する速度は?
・・・・・・・・・・・???

というようなことをぼうっと思いながら、何かヒントになりそうな
資料はないかな、と検索してみたら、フガシティモデルというもの
を見つけました。

フガシティモデルについては、「本田財団レポート No.100
エコ・ケミストリー 環境保全と化学物質利用の調和に向けて」
http://wwwsoc.nii.ac.jp/hf/pdf/hofrep100_j.pdf
に概説されていました。

レベル1:対象物質の変換過程を考慮しない平衡モデル
レベル2:対象物質の流入,分解及び移流の速度(一次式)を考慮
     した定常速度平衡モデル,
レベル3:媒体間移動速度がフガシティ差に比例するとした定常速度
非平衡モデルである
レベル4:流入速度,濃度及びフガシティが時間に依存するとした
非定常速度非平衡モデル

このモデルに沿って室内実験、フィールド調査をしていくのが定法
ということになるのでしょうか。

> スポンサーもなく、研究費もなしで自腹を切りながらの調査です。
> 現場の海水に含まれる化学物質の濃度を測定するようなことも
> 今の段階ではまかなえないので、状況証拠をまず集めている
> わけです。来年度はこの問題をやりたい学生もいませんので
> 当分棚上げです。

> 今一番やってみたいのは現場に
> 指標となりそうな生物を怪しい時期においてみたらどうなるか
> を見る現場のバイオアッセイです。

最近、「一般的に水質は海水が流動的であるために短い時間スケー
ルの変動を示すのに対し,底質は堆積物の流動性が極めて小さいた
めに,その海域の平均的・累積的な性状を示すことが知られている。
底質の性状を明らかにすることにより,その海域の過去から現在に
至る平均的な漁場環境を評価することができる。」というような
コメントをみかけました。

どこか適当な(撹乱の少ない)場所を見つけて、底泥をボーリング
して層別に分析することで、流入した土に吸着している農薬濃度の
経年変化のようなものを見るということもできないでしょうか。

思い付いたことを、書いてみました。
(釈迦に説法、ですね(^^;;)。



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