[BlueSky: 5834] Re:5828 食と農シンポ


[From] Minato Nakazawa [Date] Sun, 29 Feb 2004 14:56:02 +0900

中澤です。

昨日から山口県立大学看護学部のネットワークが外部と切れて
しまっているので,PHSでつないでいます。

>私は締め切りを越えた原稿を終えてないので一言だけ。
お疲れさまです。

>ただ、大よそ見当違いだと思いますね。彼(食品スーパーのボランティア
>チェーン:要するにスーパーのコンサルであるJVAの営業部長氏)が言いたかった
>のは、「安全は専門家に任せっきり」と言うことではなく、「安全か否か」は
>専門家にしか最早解りようがないと言うことで、「生身のお客」の前に立つ彼ら
>が出来ることは「客に安心を提供する」ことくらいが関の山だと言うことですよ。
発言の意図はわかるのですが,
ぼくが主張したことは,専門家でも安全か否かは判断できないことと
(専門家が言えることは,既に危険がわかっていることを危険ということだけ),
それゆえに判断基準を他人任せにしている限り誰も安心できないこと(だから
消費者一人一人がきちんとした情報と判断能力を持たない限り安心には至れない
こと)なので,やはり噛み合っていなかったと思います。
# 「難しいことはお任せして」は「客に安心を提供する」のは不可能なのです。
「カチンときた」というよりも,十分なコミュニケーションができなくて
残念だったと言うべきでした。

単純化していえば,次のような推論ができます(とりあえず現在の
生産=流通・小売=消費というルートが変わらないとした場合)。
(1)危険性が低く,そのことを確認するに足るだけの情報がついてくる
食べ物なら,多少高くても買ってくれる消費者が増えないと,そういう
食べ物を作る生産者は増えられない
(2)めんどうだから判断はしたくないけど,安全性が保障されている
食べ物が安く提供されるといい,もし安全じゃなかったら責任とって
もらうからね,でも安全じゃないって騒がれているから不安だなあ,
といった気分をもっているのが,現状の多くの消費者(と思われる)
(3)そこで,「安全だから高いんですよ」という言ってごまかしてはダメ。
未知の原因で事故が起こったら終わってしまう。「手間がかかって
いるから高いんですよ」と言って,それをちゃんと付加価値と認めて
能動的に選ぶように,多くの消費者を変えなくては。
(4)そのためには消費者に迎合するのではなくて,消費者を教育
しなくてはいけない。消費生活アドヴァイザーとか流通・小売り業界
の人は,その能力をもたねばならない。「難しい話はわかりません」
なんて言ってはダメでは?

>そう言う意味で彼はお行儀が悪いが非常に正直です。
正直なのはわかります。きっとぼくの話しかたがいたらなかったのでしょう。
ただ,シンポ前の昼食時の雑談で,子供の職業選択の話をしているときに
住んでいる世界が違うなあと思ったのをそのまま引きずってしまったような
気もします。本当はあっちから掘り下げなくてはいけなかったのかも。

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Minato Nakazawa <minato@ypu.jp> http://phi.ypu.jp/
Associate Professor for Public Health and Informatics,
School of Nursing, Yamaguchi-Prefectural University
Phone +81-83-933-1453 / FAX +81-83-933-1483


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