[BlueSky: 5777] 海綿状脳症


[From] 阿部 靖志(ABE Yasushi) [Date] Sun, 8 Feb 2004 09:47:51 +0900

みなさんこんにちは。阿部@春日です。


 米国産牛肉の輸入に関して、日本は輸入再開の条件から全頭検査の実施を外さなかったようで、キチンと言うべきことを言っているという感じがしました。治療法が無い病気なのですから、罹患を避ける努力は可能な限り実施すべきでしょう。


*病因
 海綿状脳症に関しては、変成プリオンの摂取による罹患が主因とされていますが、個人的には、それ以外にも原因があるだろうという気がしています(変成プリオン摂取による罹患を否定するものではありません)。あまり報道されませんが、米国では海綿状脳症の野生の鹿(当然、骨粉などは与えられていない)が発見されることもあるようですし、日本国内初の海綿状脳症に罹患した肉牛にも、そのような飼料は与えていなかったそうです。また、国内では肉骨粉が禁止された後に生まれた牛が海綿状脳症に罹患しています。これらの事例は変成プリオンの摂取以外にも海綿状脳症の病因があることを示しているように、私には思えます。遺伝的な問題でしょうか?。それともその個体の1つの細胞が変異して変成プリオンをその個体中で生産したのでしょうか?。あるいは腸内細菌が変成プリオンを生産したのでしょうか?(個人的にはこれだと思いますが)。いずれにせよ、その機構の解明は全頭検査実施の制度化の方がよほどマシと思えるくらいには困難でしょうね。


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*リスク分析
 全頭検査を実施しない場合、牛肉の価格は現状どおりですが、海綿状脳症罹患のリスクを引き受ける必要があります。現状でも変成プリオンが集積し易い部位は摂食対象外に指定されていますが、他の部位に変成プリオンが存在しないという訳ではないようですから。

 この場合、以下の不等式(構造を把握し易いように意図的に単純化しています)が成立すれば全頭検査が必要になります。


全頭検査をしない場合の海綿状脳症に罹患する確率×牛肉を食べる人間の総額>全頭検査に必要な総額


 この件において米国と日本の議論が噛み合わないのは、牛肉を食べる人間の総額を有限と取り扱うか無限と取り扱うかの差によるものでしょう。端的に言って、上記の不等式のような議論に嫌悪感をもつ人は全頭検査を必要だと見なすでしょうし、日本人の多数派でしょう。人間の総額の算出に保険会社が用いている基準を使えば、全頭検査の実施は非現実的という結論が導かれるかも知れません。いずれにせよ米国は、科学的な新たな提言が無い限り、現状の検査法が危険であると認める訳には行かないでしょう。であれば、輸入再開の条件は、日本向け輸出分への全頭検査実施が落としどころでしょう。


それではまた。     阿部 靖志(ABE Yasushi) abe_yasushi@yahoo.co.jp
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