[BlueSky: 5543] Re:5542 人間らしさ=動物らし


[From] "Kaz. Yokoyama" [Date] Wed, 26 Nov 2003 01:35:32 +0900

皆さんこんにちは、横山です

先日の日経新聞コラムにも紹介されていましたが、私からは最近読んだ出色の
面白本「ケータイを持ったサル」を御紹介しましょう。

養老さんの論とはちょっと違ってますが、現在への問題意識は似たところに
あるようですね。その原因を家族関係の変遷においているところが面白い。
世の良いお母さんは、読むとムッとするかも。。。。(これは失礼)

> で、結局は、都市環境が子育てには不適切な環境であるということを
> あの番組は暗示しているわけですが、そのことを決して口に出して明示
> することはないわけです

私は都市環境が殊更子育てに不適切な環境とは思いません(ことさら良いとも
勿論思いません)が、そんなことよりもっと重要な変化が人間社会に起きている
ことを本書は明解に示していると思いました。

著者である京大霊長類研究所教授で比較行動学者の正高信男氏の言葉を
「はじめに」と「あとがき」から引用しておきます。ヒトがサル化している
のは以前から氏と全く同感して居ましたから、本を読んでサル化した人の社会
がこれからどんな未来を選択するのか興味の尽きないところです。ひょっと
するとサル化した人類は自分の活きて行く環境を破壊したりしないかも知れま
せんね。

以下引用
「はじめに」から(前略)
結論を先取りして書くと、現在日本人は年を追って、人間らしさを捨てサル化し
つつある。
もっとも、人間の「人間らしさ」の遺伝的資質が変容しているわけではない。
ただ、人間というのは、放っておいても「人間らしく」発達を遂げるのではなく、
生来の資質に加えて、社会文化的になかば涙ぐましい努力を経て「人間らしく」
なっていく、サルの一種なのである。
いや、「そうであった」と書くべきかもしれない。というのも、今や社会のなか
に「人間らしく」なっていくように仕向ける要因が消滅しようとしているからで
ある。それが何で、どうしてなのかが、この本のテーマである。(後略)

「あとがき」から(前略)
本書を書き終えて私は、今世紀中ごろには日本人の思考やコミュニケーションは、
もっともっとサル的になっているのではないかと予想している。それは既製の人間
観では想像できないものではないだろうか。(中略)「どうしてそんなことを
するのか」とか「何を考えているのだ」とか尋ねても、相手が答えたくとも
答えられないようなイベントで日常が占めれて日が来るのも、そう遠くないよう
な気がするのは、私の妄想だろうか。(後略)

機械論的「脳学」ではなく、社会の中の人間行動に眼を向けている点、奇を衒っ
て居ないところが面白なと思いました。
では


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