[BlueSky: 5425] 少子高齢化


[From] 阿部靖志 (ABE Yasushi) [Date] Mon, 13 Oct 2003 11:21:29 +0900

皆さん、こんにちは(ご無沙汰して居ります)。

阿部@イジャペル改め春日です。


 1月末に帰国、現在はつくば市内で働いてます。新しい生活に適応するのに、
妙に時間が掛かり、ずーっとROM していました。最近、ようやく新しいパソコ
ンの環境が整ったので、久し振りにメールを打っています。


 少子高齢化が問題になっている、という話ですが、それは誰にとっての問題
なのでしょうか?。少なくとも私にとっては他人事です。他人事なので放って
おいても良かったのですが、暫く議論を眺めていて思うことが色々あったので、
それを出して見ます。


*年金?
 人口構造がこのまま固定すれば、現行の年金制度は破綻するでしょう。それ
を破綻させない為に、換言すれば老後の収入を若者からピンハネする構造を守
る為に、『もっと子供を作れ』と他人に強要するのは、かなり恥知らずな行動
の様な気もしますが…。

 年金云々を言い出すなら、年金を納めた人には子供の有無に関らず年金を受
け取る権利が有る筈(年金契約の内容に、子供に関して記された記述は無い)
ですが、現行年金制度の実態が労働者の支払分を食い潰すだけだから、本来は
関係ない筈の少子化の問題と絡めて『子供を作らなかった老人には年金受給の
権利が無い』という議論が出て来るのでしょう(勘違いも甚だしい)。

 現行の年金制度を維持するには国内居住か国内企業在籍の日本人が増え続け
ねばならないのですが、そんな解決策は必ず行き詰まります。だから今、政府
は解決策を模索しているのだと思います。私には、どれも形を変えた先送り案
にしか見えませんけど、自分が老人になった時に困らなければそれで良いので
しょう。


*少子高齢化とは?
 高齢化問題は、種々の能力が老いによって衰えて周囲に迷惑を掛け(糞尿を
たれ流したり、それを壁に塗りたくったり、深夜突然自分では代金を支払えな
い旅行を始めたり、周囲の人間や動物に暴力を振るったり、その他色々)る状
態になっても相当に長い期間を生き続ける、という問題でしょう。

 それが1ヶ月で終わるなら許容範囲かもしれませんが、10年以上も続いて
は許容し切れない、と言うのが本音では無いでしょうか。要するに高齢化問題
の本質とは、『人生の終わりに愛情収支がマイナスで、しかもその状態が長く
続く』という事です。

 したがって、高齢化問題を根本的に解決するには、生産性の低くなった鶏や
果樹を処分するように生産性の低い老人を処分するか、老人自身が生産性を高
く保ち続け、死の1ヶ月前位まではボケず、寝たきりにもならずに元気で居る
しかありません。

 現在は老人ホームや病院が、ボケたり寝たきりになった老人を引き受け、生
かさず殺さず治療のような行為を行なっては、その老人が貰う権利を持ってい
る年金をピンハネしています。話を聞いているとお金を払って拷問を受けてい
るような気もしますが、本人達はボケてしまっているので、何も感じないよう
です。

 ボケは色々な事が原因になって始まりますが、基本的に『すべき事が無くな
った』状態に端を発するように私には見えます。退職や子供との同居は、その
状態を創り出す原因でしょうから。

 では、老人をボケさせない為には停年を延長すれば良い、と言う話も出そう
ですが、実現する可能性は殆ど無いでしょう。老害、という単語が生まれる程、
平均的な老人の生産性が低く、状況変化を嫌うようになるので必要とされる組
織変化への障害となる場合が多々有るからです(だから議員も停年制を導入す
べきだという話が出たり、企業も停年を延長しないのでしょう)。もっとも中
には生産性が高い老人もいるので、そういう老人は顧問とか相談役として企業
に雇用され続けますが、これはごく少数の例外ですね。

 では、企業にとって生産性の高い社員とは、どんな人間でしょうか?。端的
に言って、仕事を熟知した、仕事を最優先させる人間です。独身か、家庭に不
在の父親です。日本はそういうエコノミックアニマル(仕事の鬼とか、修羅と
言っても良いが、『会社に養って貰おう』と言う下心が有る人達には社畜と言
う言葉が語感としては適当だろう)を高度成長時代には量産した訳です。

 もっとも、自然な人間の情としては、修羅だの鬼だのに成るよりは人で居た
い訳です。企業は人よりも修羅の方が欲しいですから、不況で職からあぶれる
のは『人』の方です。だから、家庭を持って安定を求めるであろう35歳以上の
男性や女性は企業から冷遇されている訳です。また、人を切り捨て易くし修羅
を再生産する手法として、終身雇用では無い雇用形態が主流と成りつつありま
す。要するに、日本社会は修羅だけを優遇する方向に向かっているのです(残
念ながら、社畜も冷遇されるように成りつつあります)。

 また、修羅は子供や家庭を持ちたいと思いません。以上の議論から、日本は社
会全体で少子化を奨めて来たと言えます。


*スローライフ
 ただし、そういった産業社会の有り様は、修羅と経済には好適であっても人
や生き物には好適とは言えません。それを痛烈に感じていた欧米社会では、産
業社会へのアンチテーゼとしてのヒッピームーヴメントや『沈黙の春』、環境
問題などが有り、行きたい方向性が『センスオブワンダー』や『ラダック 懐
かしい未来』、あるいは禅を含む仏教などで示されて来たのでしょう。ただし
産業社会と折り合いをつけられなければライフスタイルとして成立しませんの
で、最近では折り合いをつけた形がスローライフとして紹介されるようになっ
て来ています。

 日本でも『田舎暮らし』は、ある種の憧れを持って語られていましたが、そ
れは特殊技能を持った人々だけにしか実行できませんでした。ここでも産業社
会との折り合いが必要だった訳です。その折り合いをつける方法として、スロ
ーライフが模索されているのが現状でしょう。

 現状では、女性労働者が出産と子育てで休むと職場に居場所が無くなる、と
言う社会的慣習が日本社会には存在しています。父親が子育てを『手伝う』存
在でしかないのも不思議な話です。これらの話もスローライフが日本に定着し
て行く事で、解決されて行くのでは無いでしょうか。

 ユニバーサルデザインの普及やペットと同居可能な借家の増加など、日本社
会がスローライフの方向に向かっていることは確かです。ただし、それにはあ
る程度の時間が必要なので、いま暫くは日本の人口は減少を続けるのでしょう。


*ダーウィニズム
 以上の議論から、現時点での日本の少子化は必然と言う結論を得ました。こ
れをダーウィン進化論の立場から見れば、『淘汰圧が高い』と言い換える事も
できると思います。また、ダーウィニズムを、義務やモラルで子作りを強制す
る声に適用すれば、次世代に不適応な遺伝子を残すことをも強要している様に
聞こえます。

 親は確かに相手を見付けて子供を作ったのでしょうが、過去には子供を作ら
ずに死んで行った大人もゴマンといます。適応能力の低い個体は子供を作らず
に死んで行くのが、生物としては正しい有り様なのかもしれません。

 また、適応能力の高い子共だけが産まれて来るのですから、彼等が大人にな
った頃に社会環境が今と同じであれば、彼等は多くの子孫を残す事でしょう。
要するに、少子化は一過性の問題に過ぎない、と言うことです。


*おわりに
 色々論じて来ましたが、この文章の冒頭で投げた問いに、一応の解答を与え
て置きましょう。少子高齢化は、もうすぐ年金を受け取り始める世代より年上
の老人にとっての問題であって、今現在、子供の親であるとかいった若い世代
の問題ではありません。ただし、年金制度は破綻するものと考えて、目減りし
ない価値を蓄積する事は、若い世代にも必要かもしれません。


それではまた。 阿部 靖志(abe_yasushi@yahoo.co.jp)

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