ゲンゴロウさんの意見で、以下のところが気になりました。
(速水林業さんについて)
>他の林業業者が手を引き、高級木材の値が高
>く維持できる状態というのは、他の山が放置されているという
>環境があるということです。
>それを考えると、私は、速水林業のケースというものは、
>「こうやれば人工針葉樹林でも大丈夫さ!」という例ではなく、
>他の山は放置されている例とも、とれるように考えます。
>
> しかしながら、もし消費者が家屋の化学物質によるチック症
>候群と嫌い、木材住宅を希望し、それを大企業が商売になると
>考え、日本の放置された山に、再び着目したら、また再び、山
>は管理・手入れされるようになるでしょう。(ただ速水林業は
>立ち行かなくなるでしょう。)
これをみると、ゲンゴロウさんは、
速水木材が成り立っているのは、市価よりも高額で
木材を販売できているからだと理解されたようですが、
実際そうなんでしょうか。
これは、重要な点だと思うので、
佐藤さん(葛貫さん)紹介の記事に、手がかりがないか注意してみました。
広さ 1000ha
従業員 19人
02年度売上高 1億6000万円
〃 ヒノキ伐採量 4200立米
ここから大雑把に計算してみますと、
売り上げはすべてヒノキであるなら、
ヒノキの販売価格 1億6000万円 ÷ 4200立米
≒38,000円/立米
それで、市価の木材価格というのは、『森林・林業白書』(平成13年度版)
http://www.shinrinbunka.com/datatable/2-1-04.html
によると
ヒノキ中丸太が、 平成12年 40,200円/立米
平成13年 37,800円/立米
ということなので、これはそのまんま市価ではないのかしらん。
それで何とか黒字になっている!!!
ついでに、乱暴な議論ながら、
作業員20人(先代も入れて!?)として、一人当たりの受け持ち範囲
というのを考えてみると
1000ha ÷ 20人 = 50ha/人
となるので、毎年一応一回りするとしたら、
ほぼ、一週間に一人で 1haということになる。
そんな割合でやっていけるということは、
おそらく、ほとんど手を入れなくても、自然に回っていくような
状態になっている、ということなのではないのかなあ。
つまり、速水林業の手法は、
うまいことバランスをとって、山の生命力を引き出せば、
そんなに手をかけずにすみ、現在の木材市価でも何とかやっていける
ということなのではないでしょうか。
おそらくこれより低コストの方法は、ありえない。
したがって、大企業が進出してこようが,輸入木材の動向が
どうなろうが、びくともしないのでは。
<ついで>
広葉樹と針葉樹の落ち葉、というより,落葉樹と常緑樹の落ち葉は、
常緑樹のほうが作りがしっかりして長持ちするようです。
そして、常緑樹は春先に新芽が出てきて、葉が入れ替わるようです。
つまり、梅雨・台風の季節に落ちてるのは(針葉樹も含めた)常緑樹の葉
ばかりのように私には思えますが、ゲンゴロウさんの近所では
そうではないのでしょうか。いくら秋に落ちてもねえ・・・。
落葉樹は、日の差すほうに枝を伸ばして成長します。
しだがって、その重心は根元からかなりずれているようです。
5月頃の台風の後、見回ったら、杉の列の脇で大きくなっていた
落葉樹(アカメがしわ)が、ぽっきり折れていました。
虫に食われてもいたようです。杉は大丈夫でした(どっちにしても隣の木)。
問題なのは、特定の種類の木だけを密植して、しかも放置する
ということでしょう。するとその弱点がもろに出てしまう。
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| 荻野 行雄 ogino.yukio@nifty.com
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