[BlueSky: 5253] Re:5247 心象


[From] "suka" [Date] Tue, 29 Jul 2003 10:42:29 +0900

葛貫さん ゲンゴロウさん みなさん

              須賀です。

葛貫さん:
> 夢現で窓際で鳴く鳥の声を聞きながら、聴き覚えがある鳴き方だけ
> れど、ちょっと違う、ん、何だ?と思っているうちに、目が覚めて
> しまいました(^^;。陽が昇る前で、シルエットしか確かめられなか
> ったのですが、まだ鳴き慣れていない幼いヒヨドリだったようです。

森のなかでねむったとき、明け方、鳥の声が満ち満ちて、
夢うつつの意識のそとに、宇宙の音楽が鳴り響いている
ように感じたことが何度かあります。京都府美山町にある
京大芦生演習林でキャンプしたとき。マレー半島にある
タマン・ネガラ国立公園のツーリスト用ロッジに泊まったとき。
カリマンタン島東部にあるクタイ国立公園の宿舎に泊めて
もらったとき・・・。

それらの鳥の声のひとつひとつを鳥の名前とむすびつける
ことはできませんでした。ただ、人類が誕生する前から、
地球には毎朝(というか、朝の時間を通過する地球上の
それぞれの場所で)こんな音楽が何千万年も鳴り響いて
きたんだ、と思いました。

何かの音楽雑誌で、こんな漫画があったのを思い出します。
宇宙人がやってきて、地球にある一番美しい音楽をサンプリング
したいといいます。音楽ファンがいろいろなジャンルのレコード
をもちだして、これはどうだ、いやこっちはどうだ、と推薦します。
けれども、宇宙人は首を横にふりつづけます。結局、宇宙人が
選んだのは、さえずる一羽の鳥でした。(くわしい展開はわすれ
ましたが、概略としてこんな話でした。)

わたし自身は、ひとがつくった音楽を聞くのも大好きですので、
それだけにこの話が心に残ったのかもしれません。

> 須賀 wrote:
> > 山鳥 重(やまどり・あつし)
> > 『「わかる」とはどういうことか―認識の脳科学』(ちくま新書339)

葛貫さん:
> 面白そうな本を紹介して下さり、ありがとうございます。
> 読んでみます。

この週末によみおえました。とても面白く、すくなくともわたしに
とってはたいへんためになる本でした。前のメールで引用させて
いただいたのはほんのさわりの部分だけです。今、手元にあり
ませんので、正確にご紹介することはできませんが、わたしなり
に理解したなかでは、次のようなメッセージが心に残りました。

ひとの思考や行動は記憶のつみかさねによって決まる。・・・
だから、記憶をつみかさねることを軽くみてはいけない。・・・
感覚への刺激は外からやってくるが、それに意味をあたえる
のは自分自身である。・・・わかったことは行動にうつすことが
できる。・・・ひとが生きていくうえでは、正解の決まっていない
問題に自分なりに答えをあたえていく能力が大切だ。そのため
には、細かい記憶の能力以上に、大きな文脈のなかで流れ
をよむ能力が重要になってくる。・・・

もちろん、本の内容はここに断片的に書いたように単純な
ものではなく、もっとちゃんとした話の展開になっているのです
が、それらのよみおえて、自分のなかに残っているメッセージを
今ざっと書き出してみると、こんな感じかな、と思いました。

ゲンゴロウさん:
> 人と人とが語ることの難しさを、ひしひしと感じる今日この頃で
> あります。語ることは、考えていた以上に難しいようです。。。
> ほんとにむずかしい。。。

そうですね。ただ、ゲンゴロウさんもおっしゃっていたように、
そのことを知ることにもまた、前向きな意味をみつけだす
ことはできるように思います。あの本を最後までよみおえて、
わたしもまたあらためてそう思いました。

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須賀 丈(すかたけし)
長野県自然保護研究所
電話026-239-1031
Fax026-239-2929



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