[BlueSky: 5242] 「環境教育推進法」成立  Re:5179


[From] "suka" [Date] Fri, 25 Jul 2003 12:49:03 +0900

青空メーリングリストのみなさん
                     (Cc:林 浩二さま)

     須賀です。

環境教育の推進に関する法律が、7月15日に衆議院、
18日に参議院で可決され、成立したそうです。

[BlueSky: 5179] で転載させていただいたフォーラム
「環境教育推進法を考えよう!」のホームページに、
国会審議や成立した法律案についての情報などが
追加されています。与党案に対して6月27日にこの
フォーラムが提出した意見書もあります。

http://www011.upp.so-net.ne.jp/ee_act/home.html

ホームページの全体をくわしくみたわけではありません
が、フォーラムが提出した意見書には興味をひかれる
論点がふくまれているように思いました。

「骨子」の部分だけ引用します。
------------------(以下引用)----------------
 1)本法案に言う「環境教育」の定義は、国際的にも
  国内的にも、きわめて特異なものであり、多くの
  環境教育関係者の賛同を得られるとは到底思え
  ません。

 2)本法案に言う「環境教育」は、もっぱら「自然体験
  学習」や地域の「自然環境の保全」に限定されており、
  国内外の環境破壊の現実に目をつぶるものとなって
  います。

 3)本法案は、その作成過程における情報公開がほと
  んどなされておらず、環境教育に関心を寄せる多くの
  人々の意見を聴く手続きを欠いています。

 4)本法案による人材認定事業の登録制度は、民間に
  よる環境教育にかかわる人材の養成及び活用を促進
  するどころか、疎外するものとなります。
------------------(引用終わり)------------------

1)では、「環境教育」ということばの定義を問題にしてい
ます。引用した「骨子」につづく「説明」によると、これは
次のようなことです。

法案では、「環境教育」を「環境の保全についての理解を
深めるために行われる環境の保全に関する教育及び学習
をいう」と定義している。しかし、この定義はせますぎる。
「環境教育」は「持続可能な社会のための教育」と広く位置
づけるべきだ。国内的にも国際的にもそのような流れに
なってきている。2002年のヨハネスブルクサミットでは、
日本政府が「国連持続可能な開発のための教育の10年」
(2005〜2014)を提唱した。今回の法案は、この課題に
対応できる位置づけをあたえられていない。

うえのホームページからリンクされている成立した法律の
本文をみても、この定義はもとのままになっています。
フォーラムの意見はとりいれられていません。確かに
これはよく考えてみると、なるほど少しヘンかもしれない、
と思いました。

「持続可能な教育のための10年」は、小泉首相がヨハネス
ブルクでの演説のなかで、日本のNGOとともに提唱した、
と述べ、サミットで採択された「実施計画」にもりこまれたもの
だと聞いています。

どうするのでしょうね。

フォーラムの意見書にあるこのほかの3つの論点にも注目
したいと思います。わたし自身は、これらの論点についても
それほどよく知っているわけではありません。けれども、
興味をひかれました。

ただ、国会議員もふくめて、国民の多くは「環境教育」について
このフォーラムのみなさんのように深く考えたことがあまりない
でしょうから、これらの論点がどのくらい理解されるだろうか、
ということも思いました。

いずれにしても、もっと考えてみる必要のあるテーマのような
気がします。

くわしい内容はホームページをごらんください。

みなさんはどのようにお感じになるでしょうか。

-----
須賀 丈(すかたけし)
長野県自然保護研究所
電話026-239-1031
Fax026-239-2929




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