[BlueSky: 4990] Re:4986 対イラク武力行使


[From] "ICHINOSE,Takeshi" [Date] Sun, 23 Mar 2003 23:55:33 +0900

 尼崎市の一ノ瀬です。鈴木さん、初めまして。

 早速ですが、#4986の鈴木さんの発言には、強い違和感を覚えます。
 一言で言えば、

「見通しが、甘い!」 

のではないでしょうか?(個人批判をするつもりはないのですが)
 米国に追従しておけば、それでリスクがない、我々は安心だ、と
言っているように読めてしまうのです。
 実は逆で、今回の狐泉首相の決断で、日本は、極めて大きなリスク
を背負ったと考えています。

鈴木さん#4986<
米国に追従しないで、では、どうする?という行動指針がない国、そ
れが日本なので、どうしようもないです、としかいいようがないでし
ょう?
何か行動指針があるのでしょうか?まさか、日本国憲法に従い、不戦、
軍隊を持たない、などといっても、世界が納得してくれませんよね?

 米国に追従しておけば、日本に代わって米国が北朝鮮と戦ってくれ
るなどという甘い夢は捨て去るべきです。そんなことは、まず、あり
得ません。

 戦争を回避できなかった場合は、戦いの主力は韓国と日本軍であっ
て、米国は支援はしてくれるでしょうが、一番やっかいな地上戦−−
しっかり洗脳されて頑強に抵抗する可能性が高い北朝鮮人民軍相手の
−−は、我々がやらなければならないと考えておくべきです。
 15万の陸上自衛隊では到底足りないとなれば、徴兵せざるを得ま
せんし、我々の世代は、それに応じなければなりません。

 或いは、鈴木さん自身は、当然の如く応召されるのかもしれません
が、世の中一般はそうでは無さそうです。テレビなどで”米国に追従
するしかない”と主張している政治家達を見ていても、「当然、徴兵
制度が必要になる可能性があるよ」とまでは言わずに、そのリスクを
国民に対して隠しているように感じられるからです。

 加えて、今、北朝鮮で戦争を起こしてしまえば、地政学的リスクの
増大、膨大な戦費と戦後復興費用の負担によって、日本経済は、破綻
に近い状況に陥る可能性が極めて大です。これは非常に恐ろしいこと
で、私たちの今の豊かな生活は、永久に失われるかも知れません。な
んとしても回避しなければならないリスクです。

 ネオコンサーバティブの強い影響下にあるブッシュ政権は、イラク
の例を見ても、平和的対処よりも、武力による根本的な解決を好みま
す。
 彼らに追従することは、北朝鮮と戦端を開く道へと進むことを意味
します。
 少なくとも、金正日はそう見ているに違いないし、今後、北朝鮮と
の間では緊張が高まることが予想されます。
 このような状況は、日本の国益には全くかなっていません。


鈴木さん#4986<
「北朝鮮が日本に向けて核を打」った時、本当かどうか知りませんが、
日米安全保障条約以外に味方がいないのが日本の現状です。

 #4977で小宮さん「相手を追い詰めたら、相手は非常手段をとらざる
をえないでしょう。」と書いておられますが、私も全く同感です。ま
ず、相手が核を撃たなくても済む状況を作るべきです。

 多分、この点で鈴木さんと私や小宮さんとの間には、根本的な認識
の相違があるのだと思います。
 鈴木さんは、北朝鮮を、
「いつ何時、核を撃ってくるか分からないから危険だ」
と認識しているのに対して、
 私は、北朝鮮は、
「撃つ振りをして、その実、決して撃ってこないからやっかいだ」
と見ています。

 もし、撃ってくれば、話は簡単なのです。水爆を2,3発打ち込ん
で北朝鮮は地球上から抹殺されます。生きた標的付きの大気圏内核実
験を堂々と行えるのですから、アメリカは大喜びでやってくれるでし
ょう。
 金正日も、こんな状況は当然理解しているわけで、だから撃たない。
 撃つ振りをして、脅かして、何とか譲歩を引き出そうとしています。

 北朝鮮の手の内は、言ってしまえばこれだけなのですから、適当に
エサを投げてやる心づもりがあれば、決定的な事態は回避できます。
北朝鮮には、日本を占領する能力も、韓国と戦ってこれをうち破る能
力もないことは明白です。しかも、外交的には完全に孤立していて、
戦争しようとすれば、常に二正面作戦以上を強いられる状況にありま
す。北朝鮮を積極的に援助しようと言う国もありません。こんなもの
を、過度に恐れるのは、むしろ愚かであると言うべきです。

 以上のような理由から、日本が取るべき基本方針としては、

1.北朝鮮との間の緊張は出来る限り高めない。
2.北朝鮮の封じ込めを維持する。米国の一連の行動に対する支持は、
この封じ込めの継続を目的とした範囲に限る。

とすべきだと考えています。
「北朝鮮が怖いから、米国に追従するしかない」という意見には、
”日本の国益のためには北朝鮮問題はどのような形で解決されるべきか”
という根本的な思考が欠落しています。本来は、この根本的な方針の
上に、日米同盟をどう利用してゆくか、という議論がなされるべきな
のですが。

 残念ながら、狐泉首相の言葉には、こういった観点からの分析が読
みとれませんでした。
 単なる、盲目的な全面支持。
 これでは、日本の安全は保てない。
 多分、狐泉首相は、北朝鮮問題を奇貨として、日本を戦争できる国
に変える腹づもりなのでしょう。今のまま行けば、北朝鮮との戦争は、
回避しがたくなりますから。




▲前の記事へ ▼次の記事へ △記事索引へ △青空MLトップへ

(注)この記事が最新である場合,上記「次の記事へ」はデッドリンクです。