[BlueSky: 4986] Re:4977 対イラク武力行使


[From] "ASHRAE" [Date] Sun, 23 Mar 2003 11:43:56 +0800

みなさん、初めまして。香港に住む鈴木と申します。
以前から貴MLは意見しておりましたが、小宮さんの投稿で少々
述べさせてください。

From: "ASHRAE" <alphaas@qa3.so-net.ne.jp>
Sent: Sunday, March 23, 2003 10:35 AM
Subject: Re:4977 =?ISO-2022-JP?B?GyRCQlAlJCVpJS9JcE5POVQ7SBsoQg==?=

順序が逆になりますが、まず小宮さんの国連に関する話から。

> しかし、本当に国連って何だったんでしょう?昔歴史の
> 時間に、悲惨な戦争を起こさないために国連が生まれた、
> と聞きましたが、全然機能してないじゃないですか?

大いなる誤解は、

1.「国際連合」という名称は、日本及び日本人が使っている
名称に過ぎないこと。

2.「国際連合」ではなく"The United Nations"という名称で
あること。同じ話ではないか、ですって?いえいえ。

3.「国連憲章」は、"The United Nations Charter"といい
ます。
↓"The United Nations"憲章のページ
http://www.un.org/aboutun/charter/index.html
↓国連憲章日本語訳のページ
http://www.unic.or.jp/know/kensyo.htm

4.INTRODUCTORY NOTE(序文)をご覧いただくとわかりますが、
(日本語訳)
国際連合憲章は、国際機構に関する連合国会議の最終日の、
1945年6月26日にサンフランシスコにおいて調印され、
1945年10月24日に発効した。
(原文)
The Charter of the United Nations was signed on 26 June 1945,
in San Francisco, at the conclusion of the United Nations
Conference on International Organization, and came into force
on 24 October 1945.
です。気づかれると思いますが、

国際連合憲章(The Charter of the United Nations)は、
国際機構に関する
連合国会議(the United Nations Conference)
の最終日の、1945年6月26日にサンフランシスコにおいて調印され、
1945年10月24日に発効した。

です。

つまり、本当に正確に訳すと、

(日独伊枢軸国に対する)連合国(多国籍軍)憲章は、
国際機構に関する連合国(多国籍軍)会議の最終日の、
1945年6月26日にサンフランシスコにおいて調印され、
1945年10月24日に発効した。

です。

小宮さんの言われる
「悲惨な戦争を起こさないために国連が生まれた」
という教わり方とは、ニュアンスが違うと思います。

「悲惨な戦争を起こ(した日独伊枢軸国が再度世界戦争を起こ
さない)ために国連が生まれた」

ということです。我が日本国は、大日本帝国という元祖「悪の
枢軸国」だったことをお忘れなく。

> 常任理事国とか、何の意味もありません。これから
> 学校では、国連のことをどう教えていけばいいんでしょうかね?

私が上に書いたことは、間違いないことですから、歴史通り、
国連(!?)憲章の記述通り教えられたらいかがでしょう。

さらには、国連憲章の第3条〔原加盟国〕では、

第3条〔原加盟国〕−
国際連合の原加盟国とは、サン・フランシスコにおける国際機構に
関する連合国会議に参加した国又はさきに1942年1月1日の連合国宣
言に署名した国で、この憲章に署名し、且つ、第110条に従ってこ
れを批准するものをいう。

と謳われています。これは、日本は第2次大戦の敵国です。連合国
ではないので、明確に〔原加盟国〕ではないですよね

国連憲章の第4条〔加盟〕

1 国際連合における加盟国の地位は、この憲章に掲げる義務を受
諾し、且つ、この機構によってこの義務を履行する能力及び意志が
あると認められる他のすべての平和愛好国に開放されている。

2 前記の国が国際連合加盟国となることの承認は、安全保障理事
会の勧告に基いて、総会の決定によって行われる。

とありますが、日本はこの「平和愛好国」に位置するのでしょうか
?それでしたら、北朝鮮と同じ地位なのでしょうね?

でも、第8章 地域的取極の第53条〔強制行動〕で、

1 安全保障理事会は、その権威の下における強制行動のために、
適当な場合には、前記の地域的取極又は地域的機関を利用する。但
し、いかなる強制行動も、安全保障理事会の許可がなければ、地域
的取極に基いて又は地域的機関によってとられてはならない。もっ
とも、本条2に定める敵国のいずれかに対する措置で、第107条
に従って規定されるもの又はこの敵国における侵略政策の再現に備
える地域的取極において規定されるものは、関係政府の要請に基い
てこの機構がこの敵国による新たな侵略を防止する責任を負うとき
まで例外とする。
2 本条1で用いる敵国という語は、第二次世界戦争中にこの憲章
のいずれかの署名国の敵国であった国に適用される。

と謳われています。この2項の「署名国の敵国であった国」とはど
こでしょうか?日本・ドイツ・ルーマニア・ブルガリア・ハンガ
リー・フィンランドを対象(イタリアは途中で枢軸国から脱退し、
連合国側に立って日独に宣戦したので除外)だそうです。国連憲章
の第8章が改訂されたわけでもなさそうです。未だに「日独枢軸」
は敵国で、「第107条に従って規定されるもの又はこの敵国にお
ける侵略政策の再現に備える地域的取極において規定されるもの
は、関係政府の要請に基いてこの機構がこの敵国による新たな侵略
を防止する責任を負うときまで例外と」しているままなのだと解釈
致しますが、どうなのでしょうか?

第17章 安全保障の過渡的規定 では、

第107条〔敵国に関する行動〕

この憲章のいかなる規定も、第二次世界戦争中にこの憲章の署名国
の敵であった国に関する行動でその行動について責任を有する政府
がこの戦争の結果としてとり又は許可したものを無効にし、又は排
除するものではない。

となってます。

イラクは、国連憲章上「敵国」ではありませんが、日独旧枢軸国
は、未だに「敵国」で「要注意国」のままなのでしょうか?

日本人は、日本流に第2次大戦の贖罪は済んだ、ミソギは終わっ
た、原爆も落とされたことだし、と思っているのかもしれません
が、どうも「日本の常識は世界の非常識」で、未来永劫、次の大戦
が起こって、国連が解体され、戦勝国側に立って国際連合
Version.2を設立する側に立たない限り、53条と107条の規定
国から脱することはできない、ということですね。

国連分担金の20%支払っているわけです。日本人の大部分が国連
中心主義を標榜しているわけです。それでも、「旧敵国」なんです
ね。面白い。というか悲しい。

> 武力行使開始まで後数時間、ということで
> 戦争はもう避けられないようです。
> ところで、今回の武力行使の動きの中で、非常に
> 気になるのが日本の対応です。日本は、あからさまに
> アメリカに追従する立場をとり、いとも簡単に戦争を
> 認めました。小泉首相が悪いとかいうつもりは
> ありませんが、日本の今後を考えた場合、今回の対応
> は非常に危険ではないでしょうか?

しかし、「アメリカに追従する立場」をとらない立場を議論するの
を避けてきたのが我が国です。小泉さんから始まったわけでもない。
「護憲、護憲」と叫び党の建物にスローガンまで貼っている政党も
ありますが、米国に追従しないで、では、どうする?という行動指
針がない国、それが日本なので、どうしようもないです、としかい
いようがないでしょう?
何か行動指針があるのでしょうか?まさか、日本国憲法に従い、不
戦、軍隊を持たない、などといっても、世界が納得してくれません
よね?それだけのスローガンでは、安全保障上どう行動するのです
か?と他国に尋ねられたときに答えられないでしょう?

おまけにある日本人の頼みの綱の「国連」は、1945年から上に
書いたとおりの状況なのですから。

> アメリカは今回国連決議を蹴って戦争を決定しました。

大日本帝国も「国際連盟」の決議を蹴りました。歴史は繰り
返します。

> ということは、もうアメリカを止めることができる力は、
> どこにもないということです。今回の結果がよほど
> アメリカにとって悪いことにならない限り、必ずアメリカ
> は、第二、第三の戦争を起こすでしょう。アメリカにとって
> 危険そうだ、というだけで戦争を起こすのなら、いつまで
> たっても戦争は終わりません。戦争をすればするほど、
> アメリカにとって危険な国は増えていくのですから。
> で、次は当然悪の枢軸の残り、イランか北朝鮮に目が
> 向くでしょう。その時も、日本はアメリカ賛成の立場を
> とり、アメリカを支援するに違いありません。そうすれば
> まず間違いなく日本はテロ対象の国になり、日本でも
> 悲惨な事件が起こるようになるに違いありません。
> また、もしアメリカが北朝鮮に武力行使をとるような
> 動きをみせれば、北朝鮮はアメリカ、日本に向けて核を
> 打つことも十分考えられます。

「北朝鮮が日本に向けて核を打」った時、本当かどうか知りませ
んが、日米安全保障条約以外に味方がいないのが日本の現状です。

> 北朝鮮は武力行使して、早めにつぶしておかないと
> 危険だ、という意見もあるようですが、これはまったく
> 間違っていると思います。危険というだけで攻撃できる
> のなら、今回のイラクとまったく同じです。我々は少なくとも
> 相手が戦争してこない限りは、戦争するべきではない
> のです。相手を追い詰めたら、相手は非常手段をとらざる
> をえないでしょう。危険を防ぐつもりで戦争をするのは、
> まったくばかげた考えです。

しかし、ABC包囲網への危機感から「危険を防ぐつもりで戦争
を」した国がありましたよね?真珠湾攻撃とか。人のことはいえ
ません。米国は60年前も「大日本帝国を追い詰めたら、相手は
非常手段をとらざるをえない」という状況で、太平洋戦争の火ぶ
たが切られた、切らされたわけで、歴史は繰り返す、なのではな
いですか?

人間性に希望はないと考えます。日本は、パワーバランスゲーム
を再度開始すべきで、力無くしては、高邁な理想も志も実現でき
ない、というのが悲しいことに現実のようですね。

香港 鈴木



▲前の記事へ ▼次の記事へ △記事索引へ △青空MLトップへ

(注)この記事が最新である場合,上記「次の記事へ」はデッドリンクです。