[BlueSky: 4958] Re:4995 お礼


[From] Sawaguchi Yuji [Date] Sun, 16 Mar 2003 13:19:12 +0900

澤口@大阪です。

Nobuya Tsuchidaさんの<3DF21A12.5010909@netscape.net>から
> 針葉樹と広葉樹との違いについてですが、針葉樹という言い方よりも、建材等
>に用いられる木材という事なのですが、それに対して落葉樹(広葉樹)はその保
>水力や腐葉土に重点がおかれるため伐採を行わないので、木質チップや木質ペ
>レットが基本的には発生しないという事です。
現象的にはその通りなのですが、解釈はちょっと違います。
広葉樹の伐採が行われないのは、単純に「採算にあわない」からです。
建材量販を仮定すると、太さと長さのそろった同一樹種の大径木が大
量に生えていなければなりませんが、日本にはそんな土地はありませ
ん。海外にもそうそうはないでしょう。
木質チップは、燃料としてより紙パルプの原料として使われる量が多い
わけですが、国産材でも採算があうケースであれば、広葉樹を伐採して
チップ化されています。現に、わたしの実家のある町にはチップ工場が
稼働しています。年に数回ですが。
木質ペレット生産に針葉樹が使われているのは、木質ペレットというの
は製材工場が建材を作ったおがくずや端材、バークから作る物だからで
す。いまの製材所はほとんど針葉樹しか扱いませんから、必然的に針葉
樹ペレットになるわけです。
要するに、木質ペレットというのは製材所の産業廃棄物処理以上のこと
は現状では期待できません。建材が売れていてこそ木質ペレットが低コ
ストで作れるわけで、木質ペレットのためだけに伐採しても採算があい
ません。
例えば、山からカラマツの間伐材を10トンばかり製材所にもちこむと
すると、伐採を含めて200万円ばかりかかります。これをペレット化
して消費者の手元までとどけて採算が取れるためには10トンで600
万円くらいの販売額でなければならないでしょう。キロ600円ですね。
従って、木質ペレット専業工場というものはそもそも成立しません。
現在、そこそこ採算があうように見えるのは、材料がもともと製材所で
出ている廃棄物ですから、搬入コストが0円であること、ただ燃やすに
しても産業廃棄物ですからトンあたり1万5千円くらいの処理費がかか
ることから、助成金の引き出しやすい木質ペレット利用が注目されてい
るわけです。
結局、木質ペレットが幅広く利用されるためにはその何十倍もの建材が
市場に出回らなければならず、海外であれ国内であれそれだけの樹木を
切り倒す必要があります。
ですから、木質ペレットだけを取り上げてこれを推進とか何とかは議論
できないわけですね。
環境負荷的には森林組合とか製材所がつぶれてしまった方が2酸化炭素
の削減効果は大きいかも知れませんよ。


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