[BlueSky: 4922] 教育問題の解決のために


[From] "Takashi Suzuki" [Date] Tue, 25 Feb 2003 22:40:52 +0900

鈴木隆@福島県白河市です。

このところ、教育に関する議論がさかんですね。わたしは、20年来学習塾をやって
来まして、今年から、白河市の市民参加政策検討委員会のメンバーとなり、教育問題
を担当しています。不登校の問題などは、個人的な資質もかかわっているこはあるで
しょうが、現在のような状況は、制度の問題、そしてその制度を支える近代哲学の問
題なのだと考えたほうが、理があると思います。

委員会で提出された資料のひとつが「責任・選択・連帯の教育改革」があります。こ
れには、財団法人・社会経済生産性本部が1999年7月に公表した、教育に関する
報告書の全文が載っています。堤清二+橋爪大三郎編。勁草書房刊1800円。

結論から言いますと、これは非常に重要な、現実可能な、具体的な提案だと思いまし
た。決して対症療法ではありません。こころの教育、ゆとりの教育、生きる力の教育
とか、昨今、とみに言われている「教育改革」がいかに問題の表層をなでているだけ
のものであるか。この本を読んでみれば、教育問題の根の深さにきっと気がつくこと
でしょう。

たくさんの重要なことが書いてありますが、一部を書いてみます。

『学校が教育機関としてうまく機能しない原因は、つき詰めれば「連帯の欠如」であ
る。連帯は、信頼と言い換えてもよい。教育に取り組む、教師のあいだに連帯がな
い。学級を構成する、児童・生徒のあいだに連帯がない。家庭や地域社会に連帯がな
い。連帯が断ち切られたまま、お互いの信頼を欠いたままでは、いくら制度や規則を
手直しし、予算をつぎこんでも、教育を立て直すことはできない。』

『いまの学校教育のありさまは、全員が一団となって決められたペースで歩くことを
強制される、軍隊の行軍にたとえることができる。学習指導要領が、行軍のペースを
決めている。・・・・めいめいが自分のペースで歩くことにすれば、落ちこぼれのよ
うな現象はなくなる。同じ目的地をめざして、一人ひとりが自分のやり方で歩いてゆ
く。それを助けるのが、学校であろう。さまざまな子どもたちをひとつの型に押し込
めようとする、学習指導要領を廃止すること。ここからすべてが始まる。』


具体的な提案としては、

大学の定員制および入試の廃止。高校検定による学力認定=高卒資格。高校入試を
無試験に。小中学校の学区制廃止。学校経営権を校長へ、そして父母などによる学校
理事会の形成などなどです。これらの改革案は、全体としてひとつであり、部分だけ
を取り出して行えるものではありません。つまり、これは耐用年数を過ぎた現在のシ
ステムを完全に取り替えることを意味しています。基本OSの交換です。

私としては、現在の教育問題が、このような根本的な変革を必要としていることを共
通認識とした上で、今、ここ白河で何をなして行ったらよいのかを考えたいと思って
います。


May peace prevail on earth

鈴木 隆 
shienron with infinite love




▲前の記事へ ▼次の記事へ △記事索引へ △青空MLトップへ

(注)この記事が最新である場合,上記「次の記事へ」はデッドリンクです。