[BlueSky: 4873] Re:4870 環境に対する一つの考え方


[From] "Masashi Yamaguchi" [Date] Tue, 18 Feb 2003 14:54:39 +0900

土田さん、須賀さん、

> 今の環境関係の方々が言うところの「保護」とは違う様に思います。

須賀さんが詳しく解説されたことに一つだけ付け加えたいと思います。

サンゴ礁の環境と資源の保全を考えることをテーマにして、具体的に
問題項目を設定して情報収集をベースにして討議しながら理解を
深める半分演習のような講義を私は大学で受け持っています。
resource conservationがその主題となりますが、あいにく対応する
日本語が明快ではありません。そこで、サンゴ礁の環境・資源保全
というタイトルをしかたなく使っています。

資源と訳されるresourceは懐の深い言葉です。この言葉でイメージ
される日本語は収奪されて消えるものを意味することが強いので
renewal または sustainable というのをわざわざ頭にくっつけて、
さらにいわゆる「環境」もこれに含まれるわけです。日本語の概念
としては本来の意味とはなかなかマッチしていないようです。

nature conservationでは「資源」と「環境」を人間の持続的な存在に
とって必須なワンセットとして認識しないと話しにならないのですが、
日本では「野生生物保護」ばかりが前面に出てくるのが残念です。
同じ公的なお金を使うなら、将来を見通した環境保全の問題に集中
して取り組むべきです。

> その観点で、海洋深層水などは、未だ採取して起業するなどもっての他だと思い
> ますが、これに異を唱える人を未だ知りません。

海洋温度差発電計画というのが昔あって、検討委員会で環境面
からの問題点を調べたことがありました。海洋深層水をくみ上げて
発電に利用する計画は立ち消えになりましたが、その後深層水
の利用が妙な方向に走り出しました。人間が直接体内に取り込む
ことが何かに良いかのごとく言われているのは、これまで話題にした
マイナスイオンや風化造礁サンゴと良い勝負ではないかと思います。
これが「水商売」になるとは、夢にも思いませんでした。深層水が
どのような良い効果を人にもたらすか、が科学的に証明されていない
と思いますが、それでも商品として受け入れられるのは何故でしょう。

表層水と性質が異なる海水としての利用、つまり水産養殖などに
利用することには異論はありません(しかし、この面は実験段階で
留まっているようです:安定供給がネックとなります)。

山口正士
903-0213 沖縄県中頭郡西原町千原1
琉球大学理学部海洋自然科学科


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